裏を返せば「財物」といえぬ有償のサービス(利益)について、お金を払わずコッソリ享受しても、窃盗罪にあたらないのだ。 司法ジャーナリスト 長嶺超輝=文 ライヴ・アート=図版作成 罪に問われない食い逃げの方法をご存じだろうか。 代金後払いの店で料理を注文し、出てきた料理を食べている途中、あるいは食べ終わった後に「金を払わず逃げてやろう」と思い立ち、店員に見つからないよう、トイレの窓などから逃亡した場合、じつは現在の日本では犯罪に該当しない。これを「利益窃盗」と呼ぶ。 「同じように、自動改札を飛び越えて電車に乗ったり、野球場のスタンドに忍び込んで試合を観戦したりする行為も、(建造物侵入罪はともかく)窃盗罪には問えない」と説明するのは、幅広い法律問題に精通する佃克彦弁護士(東京弁護士会)。 このほか、コインパーキングで金を払わずに駐車中のクルマをムリヤリ出したり、部屋の家賃を滞納したまま夜逃げし