事件のあらましはコチラから。 裁判長「それでは検察の主張をどうぞ」 検事「はい。まず今回の事件ですが、被告人が妻と性交渉を行っていると、突然妻が死亡しております。通常、このような事態は到底起こり得るものではなく、それ故被告人には結果を発生させる明確な作為が存在したものと断定します。普通なら起こりえない出来事が、起きた――つまり被告人には、妻に対する殺意があったのです」 ざわめく法廷内。未だ押し黙っている弁護人。孫被告人は押し黙って下を向いている。 検「殺意を裏付ける明確な動機も存在いたします。被告人はかつて一世を風靡した著名な格闘家でした。しかし昨今、格闘技界は深刻な観客離れに陥っており、それが為に被告人の仕事も徐々に減っていきました。仕事がなくなる、ということは収入もなくなる、ということ。それにも関わらず、被告人はあっちにフラフラ、こっちにフラフラ、仕事もないのに遊び呆けるばかりでした」