――ある未来の話のこと。 ついに、人類は、永年の夢であった「ドラえもん」を開発することに成功した! そして、同時に「出して欲しい道具ランキング」で常に上位であった 『どこでもドア』も開発された。 しかし、この『どこでもドア』。 原作のように、念じた場所に自由に行けるような都合の良いものは、さすがに作れず、 事前に、町中に設置されている、別の『どこでもドア』に瞬時に移動できるという ものであった。 まぁ、ようするに、「あらかじめ、決まっている場所」にしかいけないのだが、 それでも、遠くの場所に瞬時に移動することができるわけで、 充分「どこでもドア」を再現することに成功したと言える。 この「どこでもドア」の発明により、 「通勤、通学、買い物、旅行」などの移動時間は 大幅に短縮され、人類の生活はさらに快適なものになっていった。 ――そんな、ある未来の話のこと。 ●「うわぁあぁぁぁあわあぁぁああ!
飛行機で隣の女性に「席を替わってくれませんか?」と言われた。替わる相手は彼女ではなく、席がばらばらになってしまった恋人である。二列後ろに彼は座っている。こころよく、「いいですよ」と言った。一瞬、めんどうくさいな、と思った自分を発見するが、人が喜ぶことをしてあげるのはいいことである、と言い聞かせた。 替わってあげるために、席を移動すると、黒人のボーイフレンドは、とてもうれしそうに、英語で感謝を述べ、ぼくをハグして頬のキスした。このリアクションにはぼくも少しびっくりしたが、その様子が本当に幸せそうだったので、ぼくもなんだかうれしくなってしまった。ぼくは、「My Pleasure」と返事をした。 その飛行気で、ぼくはちょうど手塚治の『ブッダ』を読んでいた。良く生きる、ということをつきつめると、人のために生きることになるという。他人の幸せについて考え、自分がそれをしてあげる、それが自分の喜びにつな
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