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岩手県釜石市では、市内の小中学生、ほぼ全員が津波の難を逃れた。多くの人たちは、これを「奇跡」と呼ぶ。しかし、そうではない。教育で子どもたちが身につけた対応力が「想定外」を乗り越えさせた。★英訳版はこちら ⇒ http://p.tl/UDIF 死者の声に耳を傾ける 最初にある少女のことを書かせていただきたい。私は、岩手県釜石市の小中学校で先生方とともに防災教育に携わって8年になる。「どんな津波が襲ってきてもできることがある。それは逃げることだ」と教えてきた。特に中学生には「君たちは守られる側ではなく、守る側だ。自分より弱い立場にある小学生や高齢者を連れて逃げるんだ」と話していた。今回の震災では、多くの中学生が教えを実践してくれた。 ある少女とは、私が教えた中学生の一人だ。彼女は、自宅で地震に遭遇した。地震の第一波をやり過ごした後、急いで自宅の裏に住む高齢者の家に向かった。そのおばあさんを連れ
児童らが避難した後、津波で押し寄せたがれきに覆われた越喜来(おきらい)小学校の非常通路(中央)。右の児童たちも、この通路から高台に逃れて助かった=28日、岩手県大船渡市三陸町越喜来、仙波理撮影平田武さん=親族提供津波避難用の非常通路が取り付けられていた場所(写真中央)には、流されたがれきが山積みになっていた=岩手県大船渡市三陸町越喜来、其山写す越喜来小学校の非常通路 岩手県大船渡市の海沿いの小学校に、津波から逃れる時間を短縮する非常通路をつけるよう提案し続けていた市議がいた。昨年12月、念願の通路ができた。市議は東日本大震災の9日前に病気で亡くなったが、津波にのまれた小学校の児童は、通路を通って避難し、助かった。 海から約200メートルのところにある越喜来(おきらい)小学校。3階建ての校舎は津波に襲われ、無残な姿をさらしている。校舎の道路側は、高さ約5メートルのがけ。従来の避難経路は、
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