2回目の面談は、それから10日ほど後だった。売上台帳や借入金の残高、家賃領収書などの確認で、10分もするとそろそろ面談終了の気配が漂ってきた。Yさんが気にかかったのは、この事業の経験はないのですね、という担当者のつぶやきだった。そういう印象を持たれるのは困るので、このときばかりはYさんも必死で現在の仕事と新事業の関連性を強調して抗弁したが、担当者は自分の感想をいうと、それ以上の興味はなさそうで淡々と聞き流した。こうして一抹の不安を残したまま面談は終わった。 ●将来性とは関係のない融資 ところが、10日ほどたって融資決定の連絡が入った。Yさんは狐につままれたような思いだった。前出のコンサルタント・N氏は今回のケースについて、次のように説明する。 「身元はしっかりしているようだし、現状確認で問題にするようなことがなかったというだけの話です。新規事業の可能性や将来性とは関係のない融資です。公庫の