「道具感を演出するための変更だが、これが意外と大変だった」。こう振り返るのは、スペーシア ベースの開発を担当したスズキ四輪商品第一部アシスタントCEの小黒雅史氏である。 窓ガラスと同じ形状の樹脂パネルを用意して貼り付けるだけでよさそうにも思えるが、そう簡単な話ではない。難易度を上げたのは、外気温の変化で膨張・収縮するという樹脂の特性である。樹脂パネルの体積が変われば、接着面が剥がれてしまうのだ。 体積変化の少ない鋼板を使えば、ガラス窓と同様に接着して固定しやすい。だが、鋼板のパネルを製造するためには、金型を新規に用意する必要がある。年間販売台数が1万台と少ない車両のために、金型代として多額の投資するのは現実的ではない。このため、「樹脂でなんとかする」(同氏)という開発方針となった。樹脂パネルでも金型は必要だが、鋼板向けのものよりコストを抑えられると判断した。 外観部品に樹脂パーツを適用する