2021年の国の統計で、結核の罹患率(1年間に新たに診断される人の人口十万対率)が初めて10を割り、日本は国際的な基準でいう「結核低まん延国」の仲間入りを果たしました。先進国の中で唯一「中まん延国」の名に甘んじてきた日本でしたが、官民の努力が叶って、例えば米国などから遅れることおよそ40年にしてやっと到達した水準です(図1)。しかし、これで気を許せば、1997年~1999年の「結核逆転上昇」のような事態を招きかねず、現に米国でもこの水準に達した後、逆転上昇の苦い経験を味わっています。結核は「再興感染症」の名にふさわしい、しぶとい病気です。なぜなのか、どう対処すべきか、考えたいと思います。