マダニの一部が媒介する重症熱性血小板減少症候群(SFTS)ウイルスの人への感染が山口県で確認されてから今年で10年となる。国立感染症研究所の調べによると、感染は西日本各地に広がり、関東や北陸へと“東進”を続ける。野生動物が運ぶマダニとの接触機会が多くなる農作業中の感染が半数以上を占める。死者は3割に上り、感染研は危機感を募らせる。 <ことば> SFTSウイルス 2009年以降、中国などで確認されている。日本にいるマダニ約45種のうち、全国に分布するフタトゲチマダニと東北以南に生息するタカサゴキララマダニの媒介が確認されているが、両種にはウイルスを持たない個体もいる。感染すると高熱が出て、免疫力が低下する。 SFTSは2000年代以降、東アジアでだけ感染報告が相次いでいるが、理由は解明されていない。日本では13年に狂犬病やマラリアと同じ感染症法の「4類」に指定されたが、ワクチンは開発途上にあ