高齢者が入る施設で、必要のない介護サービスまで提供する「お手盛り介護」が相次いでいる。介護サービスの利用計画(ケアプラン)をつくるケアマネジャーが、施設などの意向に沿って介護報酬を増やす例があるからだ。高齢者に合った介護が提供されず、介護保険の無駄づかいにつながるおそれもある。 「歌ばかり歌わされて。嫌で嫌で」。東京都中野区の有料老人ホームにいた男性(92)は昨夏まで、夕方になると疲れ果てていた。童謡を歌ったり風船を突きあうゲームをしたりするデイサービスが、昼食や入浴を挟んで朝9時から午後4時半まで続いたからだ。 昨年7月の利用明細には、ホームが運営するデイサービスが1日7~9時間、週6日びっしり。月に約3万3千円が本人に請求された。介護保険は本人が1割、保険が9割を負担する。「要介護4」の男性が使える限度額約33万円いっぱいがつき、ホーム側に介護報酬が支払われた。 まもなく別のホームに移
高齢者介護施設などで職員と事業者の間で賃金や休暇など労働条件をめぐるトラブルが絶えない。尼崎市の訪問介護施設では未払いの残業代を職員が求めたところ、事業者が「経営が成り立たない」と赤字を理由に5月末での閉鎖を決めた。全職員を解雇するといい、この職員は「正当な賃金を要求したら会社がつぶれてしまうのか」と困惑している。(中部 剛) 施設は同市稲葉元町、クローバー訪問介護センター。高齢者専用賃貸住宅「ハート・ピア尼崎」内にあり、主にこの住宅内の高齢者を訪問介護している。昨年、夜間勤務の職員2人が、残業代や割増賃金に未払いがあり、休憩も十分に取れていないと訴え、同センターの運営会社「バックオフィス」(大阪府豊中市)と労使交渉を始めた。 同社は、尼崎労働基準監督署から改善を指導されたが、労働条件はその後も変わらなかった。2人は労働基準法に反しているとし、昨年12月、同労基署に告訴した。 労使交渉でバ
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