平本歩(あゆみ)ちゃん。 私(記者)と同じ保育園に通っていたお友だちです。 最後に会ってからおよそ25年。 「障害者は不幸をつくることしかできない」 あの事件を起こした被告の裁判を傍聴していたとき、思い起こしたのが重い障害のあった歩ちゃんの姿でした。 障害者とともに生きること、“共生社会”ってなんだろう。 お母さんに連絡を取ると、歩ちゃんは去年亡くなっていたことがわかりました。 私は彼女の35年の人生をたどることにしました。 (社会部記者 寺島光海)
知的障害をもつ女性(30)が強制わいせつの被害を訴えた刑事裁判で、1審の宮崎地裁延岡支部は昨年9月、女性の「告訴能力」を否定し、検察官の起訴を無効とする判決を言い渡した。「女性には裁判所に訴える能力がない」。公訴棄却判決は、いわば「門前払い」の内容だが、女性の周辺にはその判断への疑問の声が相次いでいる。12月21日に予定される控訴審判決を前に事件の周辺を歩き、司法における知的障害者の人権を考えた。 「携帯で胸を撮られた。みんなに見せるって」。昨年2月24日夕、宮崎県北部の山あいにある福祉作業所。家族や職員ら15人がかたずを飲んで“告白”に聞き入っていた。 きっかけは数日前、女性が友人に相談したことだった。本当だと思った職員は警察官にも同席を頼んだ。 「自分で男について行ったの」という問いに「1回か2回断った。でも早よこれ(車)に乗らんねって怒られた」。「何をされたの」「いやらしいことをされ
重いダウン症の長男(当時27)の将来を悲観した妻(同53)に頼まれ、2人を殺害した夫(57)に対する判決が4日、さいたま地裁であった。死刑を求めた夫に裁判所が出した答えは、懲役7年(求刑同10年)。若園敦雄裁判長は「長男がダウン症を持って生まれてきたことには必ず意味がある。あなたが生き残ったことにも意味がある」と諭した。 長男正大さんに対する殺人と、妻きみ衣さんに対する承諾殺人の罪に問われたのは、埼玉県川越市の福島忠被告。福島被告は公判で「体調が悪化して長男を介護できないと自分を責める妻に『3人で死のう』と言われ、決意した」と語った。 検察側の冒頭陳述や福島被告によると、長男の症状は重く、知能は2、3歳程度。生後間もなく医師に「20年ほどしか生きられないのでは」と言われたといい、夫婦は「子どもに罪はない。20年を大切にしてあげよう」と誓った。 食事やトイレなども付ききりで妻が世話した
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