「建築界のノーベル賞」といわれる米プリツカー賞を受賞した世界的な建築家、坂(ばん)茂さん(66)が、能登半島地震で甚大な被害が出た石川県珠洲(すず)市で、自ら設計した木造2階建て仮設住宅の建設を進めている。長年、国内外で建築を通じた被災地支援を手掛け、今回もいち早く県や市と連携して支援に動いた。「住環境で困っている人がいたら、改善するのはわれわれの責任」と言い切る。 5月下旬、地震で崩落した名勝「見附島(みつけじま)」近くの市有地に、工事の進捗(しんちょく)状況を確認する坂さんの姿があった。7月末までに木造2階建て仮設住宅6棟90戸が完成する予定。家族の人数に合わせて6坪、9坪、12坪の3タイプをそろえる。 特徴は市松模様の外観だ。並べた杉の板に棒状の木を打ち込み、接着剤を使わず接合した集成材「DLT」で作った箱型ユニットを積み重ね、仮設住宅では初の木造2階建てを実現した。県内産の杉を使い