以下は『思考の整理学』の「整理」という稿からの一節です。ここで使われている「工場」と「倉庫」いうメタファーは、いずれも今日のワークプレイスにおいて健在です。 人間の頭はこれからも、一部は倉庫の役をはたし続けなくてはならないだろうが、それだけではいけない。新しいことを考え出す工場でなくてはならない。倉庫なら、入れたものを紛失しないようにしておけばいいが、ものを作り出すには、そういう保存保管の能力だけではしかたがない。 人間でいえば、「工場」は短期記憶であり、「倉庫」は長期記憶。コンピュータでいえば、「工場」はメモリであり、「倉庫」はハードディスク。料理の世界なら、まな板と冷蔵庫。お金の話に置き換えれば、手元の財布と銀行口座。洋服なら、着ている服とクローゼット。 挙げていくとキリがないのでこのあたりにとどめ、引き続き同書より引きます。 「工場」の整理と「倉庫」の整理の違い だいいち、工場にやた
2007年07月23日15:30 カテゴリ書評/画評/品評SciTech 書評 - スーパーコンピューターを20万円で創る 買え!今すぐ! スーパーコンピューターを20万円で創る 伊藤智義 この最高のドラマを、読みのがすべからず。 本書「スーパーコンピューターを20万円で創る」は、世界で最も有名な専用並列計算機GRAPEを創った四人の物語であると同時に、著者、伊藤智義の自叙伝でもある。 まず、「GRAPE創世記」として。この四人の長であった杉本の「手作りスーパーコンピュータへの挑戦」が絶版となった今、「中の人」によるものとしては、手軽に手に入る唯一の一般書である。GRAPEの黎明期の有様は、立花隆の「電脳進化論」でもある程度伺い知ることが出来るが、立花ほどの書き手であっても、それが「外の人」によるものであることは、本書を読めばすぐにわかる。例えば戎崎と著者の確執というのは、外の人には絶対に
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