桐生悠々が昭和8年に信濃毎日新聞の社説コラムで書いた「関東防空大演習を嗤う」は、空襲を想定した防空訓練の無意味さを説き、これに反発した在郷軍人協会の言論弾圧によって退社に追い込まれたことで知られています。後の太平洋戦争で関東は空襲によって灰塵と化し、桐生悠々の主張は正しかったと謂われていますが、このコラムの主要な論旨が詳しく紹介されることはあまりありませんでした。 「関東防空大演習を嗤う」 桐生悠々:青空文庫 初出が昭和8年と古く著作権が切れている為に全文が青空文庫で読めますが、少し古い時代の言い回しなので読み難いところがあります。そこで現代風の簡易な言い回しに直した上で、主張の各所を解説してみたいと思います。 「関東防空大演習を笑う」 桐生悠々 (現代語訳) 1. 防空演習は以前に大阪でも行われたが(昭和3年)、昨日9日から行われている関東防空大演習はその名のように東京付近一帯にわたる関