iPS自動培養装置の外観=東京都世田谷区の国立成育医療研究センターで2010年6月28日、須田桃子撮影 さまざまな組織や臓器になるヒトの人工多能性幹細胞(iPS細胞)を自動培養する装置を、川崎重工業と国立成育医療研究センター、産業技術総合研究所が世界で初めて開発し、28日、報道陣に公開した。同品質のiPS細胞を安全で大量に培養できる。作成コストが削減され、再生医療などの発展に役立つと期待される。 iPS細胞は体細胞に複数の遺伝子を組み込むなどして作られる。ほぼ無限に増やせる一方で、さまざまな種類の細胞に変化しやすく、手作業で品質を保つのが難しかった。 装置は縦2.1メートル、横2.2メートル、奥行き1.4メートル。シャーレと呼ばれる円形の容器にiPS細胞を入れると、装置が培養に使用する物質を毎日交換し、約1週間で増殖していっぱいになった細胞の一部を切り取って別の容器に移す。1台で29~87
再生医療などに道を開く「幹細胞」の研究が、日本では行政主導の指針作りによって遅れたとする論文を京都大と理化学研究所のグループがまとめ、7日付の米科学誌セル・ステムセル電子版に発表した。 幹細胞研究は期待される一方で倫理面や安全面の課題も多く、文部科学省や厚生労働省などが、胚性(はいせい)幹細胞(ES細胞)の作製・使用、幹細胞を使った臨床研究など、分野ごとに倫理指針を定め、規制している。 京大人文科学研究所の加藤和人准教授(生命倫理)らは、各指針の内容や制定過程を検証。規制の枠組み作りは政府の委員会や審議会での合意が基本で、決定に5〜10年もかかっていた。 省庁に専門家が少なく、担当職員が2、3年ごとに異動することも議論の遅れや規制内容の硬直化を招いていた。米国や西欧では科学者の組織が政策決定に重要な役割を果たしているのに比べ、研究者の組織や団体による調査・分析、政府への積極的提言がないこと
ヒトの皮膚や骨髄に、iPS細胞(新型万能細胞)のように色々な種類の細胞に変化できる能力を持つ細胞が微量に含まれていることを、東北大学の出澤真理教授らが突き止めた。 大量に増やすのは難しいが、この細胞はiPS細胞と異なりがん化しにくく、安全な再生医療に役立つ可能性があるという。20日の米科学アカデミー紀要に発表する。 出澤教授らは、誤って細胞を溶かす酵素を加えても生き残ったヒトの皮膚細胞の中に、iPS細胞とよく似た細胞を発見した。この細胞を拒絶反応の出にくいマウスに移植すると、皮膚や筋肉、肝臓など様々な細胞に変化した。細胞表面には、iPS細胞と同じ目印物質(糖鎖)が付着。これを目印にすると、骨髄の細胞(単核球)約5000個に1個の割合で含まれていることがわかった。ただ培養しても約2週間で増殖は止まってしまう。
カエルのゲノム解読=水から陸へ進化解明に手掛かり−再生医療にも貢献・国際チーム カエルのゲノム解読=水から陸へ進化解明に手掛かり−再生医療にも貢献・国際チーム カエルの全遺伝情報(ゲノム)を米エネルギー省合同ゲノム研究所や奈良先端科学技術大学院大などの国際チームが解読し、30日付の米科学誌サイエンスに発表した。両生類のゲノム解読は初めて。水中の魚類がどのように陸上に進出したか、進化の解明が期待されるほか、手足を失っても再生する能力や皮膚の抗菌物質に関連する遺伝子群が、新たな医療や薬の開発に役立つとみられる。 解読したのは、西アフリカに生息する体長約5センチのネッタイツメガエル。生物学の研究によく使われる近縁のアフリカツメガエルに比べ、半分の大きさで成長が早く、染色体がヒトと同様に2本ずつあるタイプのため、対象に選ばれた。 DNAのサイズは約17億塩基対とヒトの約半分だが、たんぱく質を作
培養される「指」=再生医療技術がアートに−東大 培養される「指」=再生医療技術がアートに−東大 ガラスの手に載せられたフラスコの中で培養される「指」−。東京大生産技術研究所の竹内昌治准教授らがマウスの細胞を使って再現した女児の「人さし指」が、造形作家の鶴巻風(ふう)さんとの共同作業で芸術作品となり、東京・南青山のスパイラルホールで2日展示された。 この「指」は、長さ3.5センチ、直径が最大9ミリ程度。コラーゲンの微小なビーズの表面にマウスの皮膚細胞を付着させたものを大量に人さし指の型に入れ、約24時間かけて培養し、生み出した。細胞の固まりで内部に神経や血管はない。 竹内准教授によると、この技術は本来、再生医療への応用が目的。多様な細胞に変わるヒトの万能細胞を使い、肝臓や膵臓(すいぞう)の立体的な組織を作ろうとする際、細胞が高密度に詰まった大きな組織を速く作る技術が役に立つという。(20
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