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ブックマーク / book.asahi.com (57)

  • 「異国の味」/「カレー移民の謎」 日本人好みのアレンジ生む構造 朝日新聞書評から|好書好日

    「異国の味」 [著]稲田俊輔/「カレー移民の謎」 [著]室橋裕和 海外旅行べた場の味。国内ではなかなか巡り合わない。外国料理店はたくさんあるのに、何で? そんなモヤモヤを解消してくれるのが一冊目『異国の味』だ。日では日人好みにアレンジされた料理でなければ広く受け入れられないという、意外な事実を指摘する。著者は南インド料理ブームの火付け役となった有名店の総料理長・稲田俊輔氏。自身は外国の料理は現地そのままの再現でなくてはならないという「原理主義者」だと明言する。 フランス料理やイタリア料理の章では、場の味を貫きたい作り手とそれを受け入れない客とのせめぎ合いが描かれる。例えば仏で修業したシェフの話。開店当初は場の味を提供しようと、内臓やスパイス、豆を駆使した煮込みなど繊細で豪快な料理をメニューに並べた。が、それは長く続かず、客が好むカルパッチョや煮込みハンバーグ、ナポリタンに置き

    「異国の味」/「カレー移民の謎」 日本人好みのアレンジ生む構造 朝日新聞書評から|好書好日
    moodyzfcd
    moodyzfcd 2024/04/27
    "著者は、日本人ほど外国料理をアレンジする能力に長(た)けた民族はいない、という説の再考を促す"
  • 「〈序文〉の戦略」書評 著者の説得・対抗 理論的に分析|好書好日

    「〈序文〉の戦略」 [著]松尾大 著述家を震撼(しんかん)せしめ、読者には読書の醍醐(だいご)味を教える書である。古今東西の文学作品の「序文」で、著者やその代理人らが読者にいかなる説得を行っているか、理論的根拠をもとに分析する。第Ⅰ部でその根拠の内容を説き、第Ⅱ部では文学が攻撃される訴因別に実例を紹介している。 古代ギリシャで生まれ、法廷を模した伝統レトリックは、発想、配置、修辞、記憶、発表の五つから成る。書は、その特徴が色濃い「発想」の技法を用いての分析という。これはいくつかに細分化されるが、例えば転送論法。著述の欠点を他に転嫁する技法だ。英国の小説家ホレス・ウォルポールの『オトラント城奇譚(きたん)』の序文にある「英語で語るのは難しい」という文は、イタリア語の原文の素晴らしさが伝えられないもどかしさを英語のせいにしている。 批評家に注文をつける序文もある。スコットランドの医師ヘレナス

    「〈序文〉の戦略」書評 著者の説得・対抗 理論的に分析|好書好日
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    moodyzfcd 2024/04/13
  • 「抑圧のアルゴリズム」書評 差別を助長する危うさに警鐘|好書好日

    抑圧のアルゴリズム――検索エンジンは人種主義をいかに強化するか 著者:サフィヤ・U・ノーブル 出版社:明石書店 ジャンル:ジャンル別 「抑圧のアルゴリズム」 [著]サフィヤ・U・ノーブル 人に薦めたくなるには、読んでいて楽しいと、不快になるが知っておくべきことが書かれているがある。書はどちらかというと後者。グーグルの検索エンジンが、人種的偏見や性差別を強化している状況を明らかにした重要な書だ。 著者が2010年前後に「黒人の女の子」を検索すると、ポルノサイトばかり表示されたという。黒人女性が商品ないし性的欲求の対象として表象されていた。 検索すると上位の結果が最も人気があるように見える。だがそれは広告費の支払いや、巧妙な検索エンジン最適化の影響により、上位に表示されたのかもしれない。ポルノ業界はその仕組みを最もうまく利用している業界の一つだという。商業主義によって今を生きる黒人女性

    「抑圧のアルゴリズム」書評 差別を助長する危うさに警鐘|好書好日
    moodyzfcd
    moodyzfcd 2024/04/13
    "商業主義は外見至上主義と結びついて利益を得る方向にシフトしたのだろうか"
  • 「データにのまれる経済学」書評 理屈と現実の間で揺れ動く学問|好書好日

    ISBN: 9784535540385 発売⽇: 2023/06/26 サイズ: 19cm/328,14p 「データにのまれる経済学」 [著]前田裕之 もともと経済や社会の仕組みを探求する経済学には、その理論を検証するデータが不足していた。ある地域の経済の活発さという基的な情報でさえ簡単に手に入らない状況では、研究は理論モデルの考察に偏る。英語が不得手な非英語圏研究者が活躍できるのは、数学を駆使する分野にさらに偏る。「理論家ニ非(アラ)ザレバ経済学者(ヒト)ニ非ズ」という「理論信仰」は、こと日では極端に強かった。それが最近大きく転換しており、書を読むとその変わりようを実感できる。 書が類書と異なるのは、研究者ではなくライターが執筆している点だ。日では研究者と一般をつなぐ層がどの分野でも薄い。必然的に、研究者が執筆した解説書が増え、自らがかかわる分野の紹介が多くなる。書は、研究と

    「データにのまれる経済学」書評 理屈と現実の間で揺れ動く学問|好書好日
    moodyzfcd
    moodyzfcd 2023/08/19
    "データから「因果関係」を読み取る方法が研究の本場欧米で急速に普及" "実証された理論モデルを用い、国家の政策や会社の戦略、人々の生活を望ましい状態に導けるという考え方が拡"
  • 「沈黙の勇者たち」書評 危険冒す素朴なヒューマニズム|好書好日

    沈黙の勇者たち ユダヤ人を救ったドイツ市民の戦い (新潮選書) 著者:岡 典子 出版社:新潮社 ジャンル:新書・選書・ブックレット 「沈黙の勇者たち」 [著]岡典子 ナチス政権下のユダヤ人虐殺の陰で、ドイツ国内に残らざるを得なかったユダヤ人がいかなる運命を辿(たど)ったのかを書は検証する。もっと嚙(か)み砕いていうならば潜伏者を守り、保護し、救援したドイツ国民はどれほどいたのかを公刊書を整理する形で明かしている。 収容所送りを逃れて潜伏したユダヤ人はドイツ全土で1万人から1万2千人、終戦まで生きながらえたのは5千人ほどで、ドイツ社会の救援者は2万人を超えると見られている。そういう救援者を「沈黙の勇者」と呼び、今も実態解明が進んでいるというのである。 書は、この「沈黙の勇者」と潜伏ユダヤ人がいかにしてゲシュタポなどの追及を逃れて、生を守る闘いを続けたかを多くのエピソードを積み重ねていく。

    「沈黙の勇者たち」書評 危険冒す素朴なヒューマニズム|好書好日
    moodyzfcd
    moodyzfcd 2023/08/19
    "ドイツ社会の救援者は2万人を超えると見られている。"
  • 「戦国日本を見た中国人」書評 陸の勢力争いの裏に水上の経済|好書好日

    戦国日を見た中国人 海の物語『日一鑑』を読む (講談社選書メチエ) 著者:上田 信 出版社:講談社 ジャンル:新書・選書・ブックレット 「戦国日を見た中国人」 [著]上田信 鉄砲伝来のイメージは、近年大きく変わった。かつては「ポルトガル船が種子島に漂着した」と教わったように思うが、ポルトガル人が乗っていたのは、中国の船だった。その船主は中国出身の密貿易商人ではないかともいわれる。であれば漂着というより、密貿易商による販路開拓だったか。 書がユニークなのは、そこにとどまらず、鉄砲に欠かせない火薬や弾の原料に目を向けたことだ。日で十分まかなえない硝石や鉛は外国から買うしかなかった。取引を担ったのが、ときに海賊行為を働きながら海を行き来する密貿易商たちで、中国人を中心に日人も加わっていた。彼らが根拠地にしたのが九州南部の海域だった。 海からながめると、戦国時代はどう見えるのか。中国

    「戦国日本を見た中国人」書評 陸の勢力争いの裏に水上の経済|好書好日
    moodyzfcd
    moodyzfcd 2023/08/19
    "鉄砲に欠かせない火薬や弾の原料に目を向けたことだ。日本で十分まかなえない硝石や鉛は外国から買うしかなかった。取引を担ったのが、ときに海賊行為を働きながら海を行き来する密貿易商"
  • 「声をあげて」 性加害隠蔽 大組織に立ち向かう 朝日新聞書評から|好書好日

    ISBN: 9784093891042 発売⽇: 2023/05/10 サイズ: 19cm/230,9p 「声をあげて」 [著]五ノ井里奈 誰からも信頼され、感謝されるような立派な自衛官になりたいです。 定時制・通信制高校生が参加するスピーチコンテストでそう語った著者は、2020年3月、自衛官としての一歩を踏み出した。東日大震災で被災した著者を助けてくれた自衛官たち。かれらの背中が、11歳だった少女の未来を照らす。 しかし22年6月、著者はその職を自ら辞する。 著者の夢を砕いたもの。それは、隊内で複数の男性隊員から繰り返し受けた性加害。加えてそこから派生した様々な出来事が、著者の生の底を揺らす。 口裏を合わせ、何もなかったとシラを切る15人ほどの隊員たち。味方と思っていたら、他の上司の前で手のひらを返す女性幹部。遅々として進まない警務隊の調査、居眠りをする書記係。 人の生は、自分が関わる

    「声をあげて」 性加害隠蔽 大組織に立ち向かう 朝日新聞書評から|好書好日
    moodyzfcd
    moodyzfcd 2023/08/19
    "被災した著者を助けてくれた自衛官たち。かれらの背中が、11歳だった少女の未来を照らす" "22年3月16日夜、延長コードを首に巻き付けた。  でも、その瞬間、部屋が揺れる。地震だ。"
  • 「関東大震災がつくった東京」書評 脆弱な街に警鐘 百年前に学ぶ|好書好日

    東大震災がつくった東京 首都直下地震へどう備えるか (中公選書) 著者:武村雅之 出版社:中央公論新社 ジャンル:新書・選書・ブックレット 「関東大震災がつくった東京」 [著]武村雅之 今年は死者・行方不明者約10万5千人もの被害を出した関東大震災から百年。書はそんな震災の実情を地震記録や被災情報など多彩なデータを元に浮き彫りにした上で、甚大な被害を出すに至った当時の東京の姿、そして震災復興事業の意義と現在の東京の問題にも筆を及ばせた、今読まれるべき一冊である。 東京は江戸時代にも、様々な地震に遭ってきた。だが当時の人口などを踏まえて比較すれば、関東大震災の被害は過去の地震の比ではない。筆者はその最大の原因を道路・公園などの基盤整備を行わないままに人口集中を放置してきた、明治政府の都市政策の誤りだと批判する。そもそも関東大震災の折、東京は横須賀市や鎌倉市などに比べて震源地から遠く、揺れ

    「関東大震災がつくった東京」書評 脆弱な街に警鐘 百年前に学ぶ|好書好日
    moodyzfcd
    moodyzfcd 2023/07/01
    "関東大震災の折、東京は横須賀市や鎌倉市などに比べて震源地から遠く、揺れも最大震度を記録したわけではない。"
  • 「ネット右翼になった父」鈴木大介さんインタビュー 晩年に豹変した亡父、嫌悪感を乗り越え検証した結果は|好書好日

    鈴木大介さん=北原千恵美撮影 鈴木大介(すずき・だいすけ)文筆家 1973年生まれ。若年女性や子どもの貧困などの取材を続ける。主な著作に『最貧困女子』(幻冬舎新書)、自身の障がいをテーマにした『脳が壊れた』(新潮新書)、障がいのある夫婦同士のパートナーシップを描いた『されど愛しきお様』(講談社)などがある。 昔から朝日新聞と共産党が嫌いだった父 ――第1章にも転載していますが、父親が亡くなって2カ月後に「デイリー新潮」に寄稿した記事では、ネット右翼的なコンテンツに傾倒していたことに、激しい怒りを見せていますね。 憎しみが暴走してますよね(笑)。我ながらそう思います。父親を喪っても気持ちが全く動かなかったのですが、それを自分の中でどう解釈すればいいのか、この時は当にわからなくて。動かない最たる理由は、父が晩年に右傾化した商業用コンテンツばかりを見ていたことだったので、自分が父の死を悲しめ

    「ネット右翼になった父」鈴木大介さんインタビュー 晩年に豹変した亡父、嫌悪感を乗り越え検証した結果は|好書好日
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    moodyzfcd 2023/04/30
  • 「中国のメディア統制」書評 締め付けの強化を統計で可視化|好書好日

    中国のメディア統制」 [著]于海春 独裁体制の下でも、メディアによる権力批判が許容されることがある。それは、統治の正当性を保つには、全ての不満を封じ込めるよりも、ある程度の批判を認めた上で、それに対応する方が効果的だからだ。 書が対象とする中国でも、厳しいメディア統制が行われる一方で、一部の報道機関は政府と距離を取ってきた。特に書は、改革開放後にメディアの商業化が進む中で、地方ごとに報道が多様化したことに注目する。2013年に広東省の週刊紙「南方週末」の社説が差し替えられた事件は有名だが、この事件は広東省メディアがそれまでも権力批判を行ってきたことを反映していた。 それでは、なぜ中国メディアにはこのような「不均等な自由」が生じたのか。この問いに答えるべく、書は地方レベルのメディア統制の手段に注目する。例えば、メディアのトップ人事が政府主導で決まり、政府を称賛する記者に賞が授与され、

    「中国のメディア統制」書評 締め付けの強化を統計で可視化|好書好日
    moodyzfcd
    moodyzfcd 2023/04/15
  • 「敗者としての東京」書評 「占領」の歴史から描く首都の姿|好書好日

    敗者としての東京 巨大都市の隠れた地層を読む (筑摩選書) 著者:吉見 俊哉 出版社:筑摩書房 ジャンル:新書・選書・ブックレット 「敗者としての東京」 [著]吉見俊哉 軍事力による占領。そのおぞましさを見せつけたのが、一時ロシア軍に占拠されたウクライナの都市からの映像だった。殺された市民の遺体が、路上にそのまま放置されていた。隠すことも埋めることもしなかったのは、見せしめのためではないかと言われた。 同じようなことが、明治維新のころの東京にもあったと、書で知った。幕府側の隊士たちの遺体は埋葬することが許されず、腐るにまかされた。明治政府が、「賊軍」となった者たちの悲惨さを見せつけようとしたのだ。 江戸=東京は、3度にわたり「占領」された。そんな観点から歴史を描こうとするのが書である。1度目は徳川、次いで薩長、そして米軍。そのときどきの占領者ではなく、敗者たちに焦点をあてていく。それは

    「敗者としての東京」書評 「占領」の歴史から描く首都の姿|好書好日
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    moodyzfcd 2023/04/15
  • 「巨大おけを絶やすな!」書評 手間ひまのリレー復活への思い|好書好日

    巨大おけを絶やすな! 日文化を未来へつなぐ (岩波ジュニア新書) 著者:竹内 早希子 出版社:岩波書店 ジャンル:知る・学ぶ 「巨大おけを絶やすな!」 [著]竹内早希子 高さと直径が2メートルはある、人が入れるくらいの巨大な木桶(おけ)――。 古来、醬油(しょうゆ)や味噌(みそ)、酒づくりに欠かせなかったものだが、現代の日ではこの桶を作れる職人が絶えようとしているという。書はその状況に危機感を抱き、桶づくりの再興のために奮闘した人々を描いた一冊だ。 立ち上がったのは香川・小豆島の醬油職人のグループ。彼らは日に一つしかない大阪・堺の製桶所(せいおけしょ)に弟子入りし、〈木桶職人復活プロジェクト〉を立ち上げる。 書では木桶の古くからの歴史が一通り解説されているが、読んでいて初めて知ったのは、一度作れば100年から150年は使えるというその寿命の長さだった。 例えば、醬油職人たちが

    「巨大おけを絶やすな!」書評 手間ひまのリレー復活への思い|好書好日
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    moodyzfcd 2023/04/15
  • 「顔のない遭難者たち」書評 人間としての息吹を与える格闘|好書好日

    「顔のない遭難者たち」 [著]クリスティーナ・カッターネオ アフリカや中東からヨーロッパへの移民・難民が、不幸なことに海難事故で亡くなっている。多くが漁船の、しかも定員無視による人為的事故だ。2001年から現在まで3万人以上という。その半分以上が地中海での死である。「祖国を去ろうとして叶(かな)わなかった移民たち」だ。 著者はイタリアの法医学者。こうした遭難者たちの名を探し当て、人格を持つ存在として弔わなければとの使命感から、同定作業を進めている。書は、遺体にいかに人間としての息吹を与えるかの格闘と、イタリア社会で遭難者に対するヒューマニズムの見方が広がっていく様子を記述し、現代が突きつけられた難民問題への向き合い方を教えてもいる。 著者の目には、遭難者一人一人の人生のドラマが映る。一足先にヨーロッパに来た肉親が、粗末な船で命を失ったのではないかと、著者たちの研究所を訪ねてくる。乗船名簿

    「顔のない遭難者たち」書評 人間としての息吹を与える格闘|好書好日
    moodyzfcd
    moodyzfcd 2023/03/11
    "電話番号のメモを見るなり、「これ、弟の筆跡です」と声をあげて泣く女性" "2015年4月の遭難事故" "定員30人ほどのエジプトの古い漁船「バルコーネ」に千人も詰め込み、出港後まもなく転覆、沈没"
  • 「ムーミンとトーベ・ヤンソン」書評 紡いだのは少数派と戦争の寓話|好書好日

    ムーミンとトーベ・ヤンソン 自由を愛した芸術家、その仕事人生 著者: 出版社:河出書房新社 ジャンル:伝記 「ムーミン」の生みの親トーベ・ヤンソンは、複数のマイノリティ要素をもちながらも、絵画、風刺画、漫画小説と多彩なフィールドで才能を発揮した。その波乱の人生を、貴重な資料を… 「ムーミンとトーベ・ヤンソン」 [著]ポール・グラヴェット 北欧生まれのキャラクター「ムーミン」は、日でもとても人気がある。しかし作者である芸術家、トーベ・ヤンソンについてはどうだろうか。書はそのトーベの生涯について、豊富な図版とともに評伝的にまとめた一冊だ。かくいうわたしも、ムーミンのイメージがトーベの若い頃、弟とカントをめぐる哲学的喧嘩(けんか)で苛立(いらだ)ち、家の離れのトイレの壁に「捨てゼリフ」として描いた妖精(トロール)の落書きがもとになっていたとは驚いた。 その写真は書でも見ることができるが

    「ムーミンとトーベ・ヤンソン」書評 紡いだのは少数派と戦争の寓話|好書好日
    moodyzfcd
    moodyzfcd 2023/01/14
    "第1作は翌年までに219部しか売れな" "数年後に公開された児童劇版は「地獄からやってきた雌馬(ひんば)と有袋類(ゆうたいるい)」と酷評" 随所で避難や別離、空襲やなかには原爆を思わせる終末的なイメージ"
  • 「インドネシア独立への悲願」書評 運動の全体図、体験者が証言|好書好日

    インドネシア独立への悲願 アミナ・M・ウスマン108歳の証言 著者:アミナ・マジッド・ウスマン長田周子 出版社:花伝社 ジャンル:伝記 「インドネシア独立への悲願」 [著]M・ウスマン長田周子、サルミヤ・M・ウスマン インドネシアの独立に協力、ないし貢献した日人は数多(あまた)いるだろうが、その一角に佇立(ちょりつ)する人物の評伝である。独立運動の志士アブドル・マジッド・ウスマンに嫁いだ日人女性、長田周子(おさだ・ひろこ)。彼女の目から見た日とインドネシアの近代史だ。これまでの歴史は、いくつもの虚構、自賛、隠蔽(いんぺい)、歪曲(わいきょく)が施され、史実が十分に精査されていない、との告発にもなっている。 インドネシアの独立運動の全体図、特に志士を利用して欺く手口などが詳しく書かれている。 ジャワの郷土防衛軍「PETA」と、スマトラの「義勇軍」とは成立背景が全く異なること、さらには日

    「インドネシア独立への悲願」書評 運動の全体図、体験者が証言|好書好日
    moodyzfcd
    moodyzfcd 2022/12/17
    ( "日本のスマトラ占有による遷都" !?
  • 「〈サラリーマン〉の文化史」「〈サラリーマン〉のメディア史」 時代の終わり告げるレクイエム 朝日新聞書評から|好書好日

    〈サラリーマン〉の文化史 あるいは「家族」と「安定」の近現代史 著者:鈴木 貴宇 出版社:青弓社 ジャンル:日小説・文学 「〈サラリーマン〉の文化史」 [著]鈴木貴宇/「〈サラリーマン〉のメディア史」 [著]谷原吏 鈴木貴宇『〈サラリーマン〉の文化史』のあとがきに「鎮魂歌(レクイエム)」という言葉がある。谷原吏『〈サラリーマン〉のメディア史』にも「レクイエム」が登場する。似通ったタイトルのが相次いで刊行され、不思議な偶然だと思っていたのだが、偶然ではなかった。サラリーマンの時代が今、終わりを告げているのだ。 戦後日小説映画で「江分利満(エブリマン)氏」や「平均(たいら・ひとし)」という名前の主人公が活躍したように、サラリーマンは普通の庶民の代名詞だった。両著によると、サラリーマンという言葉は1920年代に普及した。60年代、彼らは家族主義的な企業に属し、終身雇用と年功序列制度に

    「〈サラリーマン〉の文化史」「〈サラリーマン〉のメディア史」 時代の終わり告げるレクイエム 朝日新聞書評から|好書好日
    moodyzfcd
    moodyzfcd 2022/10/29
    "家族的経営は60年代に早くも崩壊に向かっ" "戦後すぐは、兵役に出た男性に代わって多くの女性が働いていた。「組合と衝突せずに合理化政策を推進させるための方策が(中略)社内結婚による女性職員の円満退職だっ"
  • 「日本のカーニバル戦争」書評 消費者に焦点 「影」を描き出す|好書好日

    ISBN: 9784622095231 発売⽇: 2022/08/18 サイズ: 20cm/385,23p 「日のカーニバル戦争」 [著]ベンジャミン・ウチヤマ タイトルの「カーニバル戦争」は見慣れない表現だが、総力戦下の文化状況をとらえた見方だ。文学理論家ミハイル・バフチンの概念を踏まえた。従来の研究は、「臣民」としての日人の「消費者」の部分を見ることを怠ったという。著者はそこに焦点を当てた。 カーニバル戦争には三つの特性があるという。柔軟な遊び心、転覆の曖昧(あいまい)な意味、近代戦争の暴力性とその痛快性の礼賛だ。そこには「カーニバル王」と言える存在があるとして、従軍記者、職工、兵隊、映画スター、少年航空兵を取り上げ、総力戦の「影」の部分を歴史の舞台に引き出す。 戦場の暴力性を「血湧き肉躍るモダンな楽しいものとして瞬時に読者に伝える新しい語彙(ごい)」を獲得した、従軍記者。スリルと

    「日本のカーニバル戦争」書評 消費者に焦点 「影」を描き出す|好書好日
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    moodyzfcd 2022/10/29
    "少年航空兵は、(略)真珠湾攻撃以降、雑誌などで少年たちのヒーローとして描かれ、魅力的な世界を作っていた"
  • 「GE帝国盛衰史」書評 白日のものとなった凋落の内実|好書好日

    GE帝国盛衰史 「最強企業」だった組織はどこで間違えたのか 著者:御立 英史 出版社:ダイヤモンド社 ジャンル:経営・ビジネス 「GE帝国盛衰史」 [著]トーマス・グリタ、テッド・マン ゼネラル・エレクトリック(GE)は、米国そのものであった。GEの拡大は米国の成長と共にあり、その歴史はエジソンまで遡(さかのぼ)る。 社員になることは人生の当たりくじ、GEへの投資は負けない賭けを意味した。 ところが2000年代に入ると、1株あたり2ドルあった配当は、セントの単位まで暴落、何千人もの社員が解雇された。ビル・ゲイツも注目した書では、GE凋落(ちょうらく)の内実が語られる。 工業製品を皮切りに、テレビ番組や保険も手掛ける超巨大コングロマリット(=複合企業)に成長したGEは、次第に金融業者のごとくなっていた。勝ち得た信頼を足場に企業売買を繰り返し、住宅ローンを販売した。金融部門は、GEの利益の半

    「GE帝国盛衰史」書評 白日のものとなった凋落の内実|好書好日
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    moodyzfcd 2022/09/10
    ( "苦境は気合で乗り切れと発破をかけるリーダー。" アメリカにも気合が
  • 「数字はつくられた」書評 官庁の利害 制作の動機に反映|好書好日

    「数字はつくられた」 [著]佐藤正広 制度の歴史を知ることは、社会を知ることにつながる。書で統計制度の成り立ちを知れば、日社会が政策に関わる情報をどう扱ってきたかを知ることができる。統計といえば、近代に西欧から移植されたものと思われがちだが、日にはすでに「土着の統計」なるものが存在していた。現代に通じる統計の多くは、戦時統制に必要なものとして制度化された。これらは、そのままではただの豆知識だが、書のように、厚生労働省の毎月勤労統計調査の不正に始まる一連の統計問題を理解するための材料として横串を通すと、にわかに現実味が増す。 統計問題は、一般には、行政が政治に忖度(そんたく)して法律に違反したかという問題に矮小(わいしょう)化されてしまった。その結果、予算増と手続きの厳格化で解決するという前提で対策がとられ、日社会の統計に対する態度、つまり日社会が「官庁に統計の占有を許してきた」

    「数字はつくられた」書評 官庁の利害 制作の動機に反映|好書好日
    moodyzfcd
    moodyzfcd 2022/05/21
    "日本の統計の制作動機が、利害関係者に直接影響され客観的にならず、政策担当者に直接役に立つ範囲にとどまっていた"
  • 「旧植民地を記憶する」 侵略を公的に認めることの意味 朝日新聞書評から|好書好日

    旧植民地を記憶する フランス政府による〈アルジェリアの記憶〉の承認をめぐる政治 著者:大嶋 えり子 出版社:吉田書店 ジャンル:政治・行政 「旧植民地を記憶する」[著]大嶋えり子 他国への侵略行為が目の前で起きた時、それを批判する足場の一つは、過去の侵略がもたらした被害の記憶である。だからこそ、旧宗主国の政府が植民地の記憶を公的に認めるか否かは、喫緊の課題なのだ。フランスの加害の記憶を扱った書は、このことを痛感させる。 フランスは、19世紀からアルジェリアを支配し、1962年の独立まで収奪や搾取を続けた。独立戦争時には多くのアルジェリア人を殺害した。フランス軍に参加したアルジェリア人戦闘員を保護することもしなかった。 著者が試みたのは、こうした事実の解明ではない。フランス政府が旧植民地の記憶をどのように承認してきたかをつぶさに追うことだ。 政府は加害の記憶を公的に認めてこなかった。補償や

    「旧植民地を記憶する」 侵略を公的に認めることの意味 朝日新聞書評から|好書好日
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    moodyzfcd 2022/04/09