ドイツでの評価 つい先日(2024年3月半ば)、『関心領域 The Zone of Interest』を鑑賞した。わたしが居住するドイツでは2月末から上映されており、欧州のメディアでの作品紹介やアカデミー賞式典でのジョナサン・グレイザー監督の発言をめぐる応酬などもあって、絶対に劇場で観なければならないと考えていた。 「ドイツでは賛否両論」のように言われることもあるが、本作は総じてドイツでも高く評価されているように思う。ただ、ナチスの歴史に触れる作品だからといって、他のアカデミー賞作品以上に高い関心が寄せられているかと問われれば、そうではないという印象だ。実際に映画館でも、平日の夕方上映の回だったからということもあろうが、200席近くある劇場に、15人程度の観客がまばらに座るのみだった。 日本でも5月下旬から公開されることが決まっており、本稿ではなるべく鑑賞体験を損なうほどのプロットへの言及