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「死の谷はいつまで続くのか」――。いま、テレビ局の将来をそう憂う声が日増しに強まっている。 電通が2月に発表した「2023年 日本の広告費」によると、日本の総広告費は過去最高の7兆3167億円を記録した一方、地上波テレビの広告費は前年比4%減の1兆6095億円となった。 コロナ禍では、ネットフリックスやU-NEXTなど動画配信サービスの利用者が急増。それに押されるかたちで2021年以降、地上波テレビの視聴率は低下に拍車がかかり、テレビ局の収益柱である広告収入の減少がいっそう鮮明となっている。 「3冠獲得」に燃えるテレ朝 日本民間放送連盟(民放連)の定める放送基準では、節度ある広告などを目的に、週間でのテレビCMの時間を総放送時間の18%以内とする規制が明記されている。 放送できるCMの本数(時間)に限界がある以上、カギを握るのはCM1本当たりの単価だ。一般的に、視聴率が高いほど広告主がCM
『花束みたいな恋をした』は、ファミレスの物語だ。坂元裕二が脚本を書き、2021年に公開された同作は、主人公2人の甘く、苦いラブストーリー。それは、ファミレスでの告白からはじまり、ファミレスでの別れ話で終わる。 ちなみに筆者はこうした「ファミレスでだらだらするシーン」が出てくる物語を「ファミレス文学」と呼んでいるが、本作は「ファミレス文学」の代表格といえるだろう。 学生が社会人になっていくときの心の動き、そしてある種の「子どもだった自分たちへのノスタルジー」を多分に含んだ本作は、深夜のファミレスで過ごした時間が、どこか夢のような、幻のような空間だったことも表している。ファミレスで、恋人とだらだら話した時間は、もう戻ってこない。本作を見終えたあとに感じるのは、そんな気分だ。 そして、現実に、そんな「だらだらできたファミレス」は過去のものになっているのかもしれない。 苦境に立たされるファミレス
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4月10日に発表されるイオンの2024年2月期の通期決算。人流回復に伴う食品スーパーや総合スーパーの収益改善により、本業の儲けを示す営業利益は過去最高を更新する見込みだ。そんなグループの中で存在感を高めている事業会社がある。小型スーパーを展開する「まいばすけっと」だ。 「まいばす」は、首都圏の1都3県にイオンが展開する小型スーパー。店舗数は1130店を超えた。生鮮三品から総菜まで、通常のスーパーと同様の品ぞろえながら、標準的な店舗面積は約50坪とコンビニサイズ。食に関するニーズをひと通り賄うことができる便利店として、消費者の支持がじわり広がっている。 男性よりも女性の利用が多い 「『普段の食事は一手間かかっても安く、そしておいしくすませたい』という、コンビニに抵抗感のある人の利用が増えている」(イオン中堅幹部)。価格面でもコンビニより安いものがほとんどで、価格に敏感な若年層やファミリー層の
春は新生活スタートの季節でもある。進学や就職でそれまで暮らした土地を離れて新たな場所に移り住む人もいるだろう。各種の「住んでみたい街」ランキングでは、首都圏の場合、横浜や吉祥寺のように昔から人気の街もあれば、近年人気が高まった例もある。 そのひとつが「立川」だ(東京都立川市。同市の人口は約18万5000人/2024年3月1日現在)。調査によって順位は変わるが、例えば「住みたい街(駅)ランキング2023」(首都圏総合・都県別。2023年9月、長谷工アーベスト調べ)では6位だった。 玄関口である立川駅は乗降客数も多いターミナル駅で、同駅周辺は、東京・多摩地区で有数の繁華街だ。一方で「昔は怖い街」「長年、通過される存在だった」という声も聞く。東京都下では町田や八王子と比較されることも多い立川は、現在、どんな状況なのか。 「街の活性化」「にぎわい」を掲げて地域の再開発に取り組む地元企業、立飛ホール
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コンビニ最大手セブン-イレブン・ジャパンが、400円以下の弁当類の強化を急いでいる。 コンビニの主力商品の1つであるチルド弁当。セブンの店頭をのぞくと、その品ぞろえに変化のあることに気づく。以前は税込み500円以上の商品がほとんどを占めていたが、直近では「バターチキンカレー」「麻婆丼」「五目チャーハン」など、370円(税込み399円)の弁当の存在感が高まっている。 セブンでは商品の価格帯を「松・竹・梅」の3つに分類している。チルド弁当の例でいえば、600円以上の商品を「松」、401円~559円を「竹」、400円以下を「梅」とする。関東の一部地域における各価格帯のチルド弁当の商品数は、2023年2月下旬で7:9:3だったが、今年3月には4:9:5に変わっている。 客数はコロナ前の水準に戻っていない 400円以下の「梅」の商品を増やす背景には、消費者の根強い節約志向がある。 賃上げが叫ばれる中
2023年から北海道日本ハムファイターズの本拠地となった北広島市の「エスコンフィールド北海道」を運営するファイターズスポーツ&エンターテイメントは、売り上げが251億円となり、札幌ドーム時代の前年より91億円の増収となったと発表した。 入場料収入、広告収入に加え、試合のない日の来場者による飲食、物販収入もあり大幅な増収となった。関係者からは「もっと早く移転すればよかった」という声も聞かれる。 「ネーミングライツ」の応募もない札幌ドーム 対照的に札幌ドームは苦境を伝える報道が相次いでいる。ファイターズが去った昨年、ドーム側は新たな需要を喚起するためドーム内を半分に仕切った「新モード」を発表。場内を仕切る高さ30mの暗幕などの設備に約10億円を拠出したと言われるが、この新モードは札幌ドームが主催したパブリックビューイングなどに使われただけで、実質的に利用者がなかった。 ファイターズ人気でついて
「行政指導でここまで踏み込んだ文書は、あまり見たことがない。次こそは許しませんよ、というメッセージだろう」 総務省は3月5日、SNS「LINE」や検索サービス「Yahoo! JAPAN」などを運営するLINEヤフーに行政指導を行った。その指導内容を記した文書を見た通信業界関係者は、驚きの声を上げた。 LINEヤフーは2023年9~10月、LINEの利用者や取引先の情報など約51万9000件を外部に漏洩させていた。総務省はこのうち2万件以上が電気通信事業法上の「通信の秘密」の漏洩に当たると判断した。 具体的な指導項目として、LINEヤフーの親会社に50%出資する韓国のIT大手、NAVERとのシステムの切り離しや、グループ全体のセキュリティガバナンス体制の強化などを要請。その取り組み方針などを4月1日までにとりまとめたうえで、今後少なくとも1年間は、四半期ごとに総務省に対応状況を報告することを
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東海道新幹線はこの数年で大きく変化した。 車両をN700A、N700Sに変更したことによるスピードアップ、信号システムの変更による「のぞみ」の増発と、利用者にとってプラスとなる変化もあった。だが、マイナスとなる変化も起こっている。 喫煙ルームが廃止へ まずは、コロナ禍の影響による売店の廃止だ。「のぞみ」が停車する東京、新横浜、名古屋、京都、新大阪のホームには、「当面の間休業」の札が貼られた売店がある。品川、三河安城、岐阜羽島のホームはドリンクの自動販売機売店が設置されているだけで売店はない。 次にワゴンによる車内販売サービスの廃止だ。2023年10月31日、「のぞみ」「ひかり」の車内ワゴン販売サービスが終了(「こだま」は2012年に終了)、現在は「のぞみ」「ひかり」のグリーン車の乗客を対象に、スマートフォンで飲み物や食べ物を注文、パーサーが注文品を届ける「モバイルオーダーサービス」を実施し
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イトーヨーカドーが北海道・東北・信越の全17店舗をこの春から順次撤退していくというニュースが報道された。多くの論者が指摘する通り、都心周辺の店舗を残し、都心に特化する戦略だ。 前回(大量閉店「イトーヨーカドー」どこで間違えたのか)はこうした経緯に至る過程を、立地戦略というマクロな視点から概観した。 今回は、よりミクロな視点でヨーカドーについて考えてみよう。都心でヨーカドーは勝ち抜くことができるのか? それを考えるべく、筆者は週末から平日にわたって、東京都23区にあるイトーヨーカドー全15店舗を実際に巡り、現場を徹底的に分析してきた。 この後繰り広げる論考は、あくまで、イチ消費者かつイチ・イトーヨーカドーファンである筆者の個人的な感想に過ぎない。しかし、数日でギュッと見てきたからこその濃さはあるはずだ。 見えてきたヨーカドーの“リアルな姿” というわけで、筆者は数日間で23区の15店舗を巡っ
GMS大手の「イトーヨーカ堂」が、北海道と東北、信越にある「イトーヨーカドー」の全17店舗を、今春から順次閉店することがわかった。 近年、GMSは苦境を強いられており、特に地方立地店舗では郊外型店舗への客足流入などで苦しい状況が続いている。撤退店舗の半分は譲渡先の企業が決定したというが、まだ半分は譲渡先が決まっておらず、もし完全閉店となれば、買い物難民が生まれる恐れもある。 一時は日本を代表するGMSとして名を馳せたヨーカドー。そんなGMSの王者は、どこで道を誤ってしまったのか。今回は、ヨーカドー拡大の歴史を追いながら、その立地戦略に注目してヨーカドー苦境の理由について迫っていこう。 ヨーカドーの前身は「羊華堂洋品店」 ヨーカドーの前身である「羊華堂洋品店」は1920年、東京・浅草に誕生した。創業者は吉川敏雄で、後にヨーカドーを立ち上げる伊藤雅俊の叔父にあたる人物。太平洋戦争ののち、この洋
各種の国際比較調査から、日本の従業員のモチベーションやワークエンゲージメントは世界最低であることが明らかになっています。しかし、本当に日本人は世界で最もやる気・熱意がないのでしょうか。今回は、この残念な定説の真偽について考えてみましょう(以下、モチベーション=やる気、ワークエンゲージメント=熱意とします)。 やる気・熱意が低下傾向にあるのは事実 オランダのランスタッド社の調査(2019年公表)によると、日本は「仕事に対して満足」と回答したのは42%で、34カの国と地域の中で最下位でした。アメリカのギャラップ社の調査(2023年公表)によると、「熱意あふれる従業員」と回答したのはわずか5%で、日本は125カ国中最低でした。他にも、日本のこうした状況を示す調査結果が多数あります。 では、当の従業員はどう受け止めているのでしょうか。大手・中堅企業に勤務する従業員にヒアリングしました。 「以前のよ
「日本の警察はめちゃくちゃ友好的です。中国だと勝手にドアを破って入ってきますからね」 2023年春に北京から東京に拠点を移したばかりの郭氏(33歳、仮名)はそう呟く。若きドキュメンタリー映画の監督だ。かつて中国には、当局の審査を受けないインディペンデント映画としてドキュメンタリーを撮った監督が、欧米で賞を獲得しスターダムに登り詰めるというキャリアパスがあった。 だが、2012年に習近平政権がスタートして以降、記録映画業界は徐々に追い詰められて行き、北京、南京、雲南にあったインディペンデント映画祭は2020年までに全て終了となった。 「言論の自由」が移住の理由に 「日本に来たのは、作品の安全のためです。私の作品は未来の人に向けたものなのです」。彼が中国で撮った歴史をテーマとする作品は全て未公開のままで、採算は取れていない。日本に来た最大の理由は、自分が苦労して作った作品をせめて守り通すこと。
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