6.思うところ(1) 最後に私の感想をばらばらと書いておきます. 検察側が提示した国家市民保護局長官と州政府市民保護局長の電話音声を聞けば,行政側に「安全宣言を出す」という明確な意図があったのは明らかです.その点において,本来であれば国民の命を守る立場である省庁の責任者がそれをまったく取り合わなかったのですから,なんらかの刑事責任が問われても仕方がないと思います. でも科学者については,刑事責任は重すぎると感じています.確かに,結果的には行政担当者の身勝手な思惑を科学の力でねじ伏せることができませんでしたし,むしろ利用されてしまった点は,犠牲者の命の重さを考えれば,軽率だったとも言えます.しかし,現在進行形で起きている事象に対して,しかも今の人類の英知ではなんの結論も出せないような状況においては,可能な限りの知見を提供し,「わからない」ということを表明するのが科学者としてもっとも誠実な態度