(城郭・戦国史研究家:西股 総生) 大江広元の子孫は毛利氏 鶴岡八幡宮や大倉幕府跡にほど近い山裾に、頼朝の墓所があります。もともとは頼朝の法華堂があった場所ですが、堂が廃れて墓所として伝わっているわけです。 この墓所をよく見ると、丸に十文字のマークがついています。島津家の家紋です。そう、この頼朝墓所は、実は江戸時代に島津家が整備したものなのです。なぜかというと、島津氏が、始祖は頼朝の御落胤だと標榜してきたからです(事実ではありませんが、女好きの頼朝ならありそう、と思われたのかもしれません)。
(羽田 真代:在韓ビジネスライター) 2022年9月19日(日本時間20日)、英女王エリザベス2世の国葬が執り行われた。ロンドン中心部にあるウェストミンスター寺院には、各国から要人など2000人以上が参列。参列者たちは70年間英国を率いた偉大な女王に別れを告げた。 日本からは天皇皇后両陛下が参列された。 韓国からは尹錫悦(ユン・ソンニョル)韓国大統領と、その妻である金建希(キム・ゴンヒ)氏が参列した。 日本の報道では岸田首相ではなく天皇陛下が参列されたこともあってか、「各国の要人たちと外交を」など、海外の要人との積極的な交流を促す報道はほとんどなかった。 一方で、韓国の報道は尹大統領が英国に発つ前から「歴代級の弔問外交だ」「先取り、経済外交の展望は?」「日本からはナルヒト日王夫婦が出席する」と、要人らとの交流を期待する声が多かった。 韓国国民は保守・左派にかかわらず、自国民が海外で名を高め
5つの「ありがち」フレーズ ここ2か月、日本発のロシアに関するニュースやコメントでよく使われているが、ロシア暮らし9年目でロシア社会を取材してきた筆者にとっては、違和感があるフレーズがある。 「情報統制が厳しく正しい情報が伝わっていない」 「ロシアはありえない国」 この5つだ。本来のロシアの姿が「ロシアA」であるとするなら、上記5つの要素が合わさってニュースに登場することによって、日本人の中に「ロシアB」という、実態とズレたイメージが形成されているような気がする。 そのせいで、日本人が「ロシアB」を懲らしめて反省させるにはどうすればいいか考えている時に、肝心の「ロシアA」は痛くも痒くもない、ということになる。 ロシアAにおける価値観や世界観は、一般的な日本人のそれとはだいぶ違っている。それを順番に説明していきたい。 まず「対露制裁を強めれば国民が立ち上がる」説は、真逆の結果になる。 「ロシ
(町田 明広:歴史学者) 大河ドラマと幕末維新 2021年度の大河ドラマ「青天を衝け」が終了した。コロナ禍による放送開始の遅れや、東京オリンピック・パラリンピック期間中の中断があるなど、関係者の皆さんのご苦労は、言葉では言い尽くせないのではなかろうか。筆者は全41回をすべて視聴したが、見応えのある素晴らしいドラマであったと感じている。 本作に併行して、「渋沢栄一と時代を生きた人々」を27回にわたって連載させていただいた。今回は特別編として、私の主として幕末を扱った「大河ドラマ論」をお届けさせていただくことにした。締めくくりの回として、お付き合いいただければ幸いである。 大河ドラマは、1963年(昭和38)の「花の生涯」から始まり、再来年2023年(令和5)の徳川家康までタイトルが公表されている。この計62作のうち、幕末を描いたのは「青天を衝け」を含めて15作品であり、およそ4本に1本に及ん
7月12日、一週間後に行動制限を解除することを正式に発表するジョンソン首相(写真:代表撮影/ロイター/アフロ) (黒木亮・作家) ワクチン接種が十分でないところにデルタ株が猛威をふるっている日本の現状は、筆者が住む英国の去年の秋から冬にかけての状況を彷彿させる。ただ違う点が1つある。英国では医療が崩壊する懸念はほとんどなかった。理由は、昨年3月中にコロナ患者用の十分な病床と医療スタッフを確保し、それを厳しいロックダウンで支えたからだ。 昨年3月中に感染ピークの準備を完了 昨年3月17日、英国の人口の84%を占めるイングランドのNHS(無料の国営医療サービス)のCEOサイモン・スティーブンス卿は、NHSの約10万の病床のうち3万床以上をコロナ患者向けに用意するよう全NHS病院に命令を発した。 具体的には、4月15日以降、急を要しない手術を、最低3カ月間延期し(救急治療、がん治療、その他緊急の
平岡円四郎(1822~1864)は、徳川慶喜が一橋家の当主であった時代に、最側近として大活躍した人物である。NHK大河ドラマ「青天を衝け」においても、重要なキーマンとして登場している。しかし、その生涯は僅か40年余りに過ぎず、しかも、その名前が歴史に登場するのは安政5年(1858)の将軍継嗣問題の時から、暗殺される元治元年(1864)までと短期間であり、現在も語られることが極端に少ない人物である。 しかし、慶喜が歴史に名を残せたのは、平岡の活躍もあってのことである。慶喜の前半生、例えば将軍継嗣問題における慶喜擁立運動、将軍後見職時代の文久の改革、朝政参与時代の薩摩藩との暗闘、禁裏守衛総督・摂海防禦指揮への就任など、平岡が陰で支えていたことは数えきれないほど多い。 一方で、それだけの実績があるにも関わらず、その名前が歴史に埋もれていることは実に惜しいことである。これほどの重要人物でありながら
5月14日、39県で緊急事態宣言を解除することを記者会見で発表する安倍晋三首相(写真:代表撮影/ロイター/アフロ) (黒木 亮:作家) 日本の大手メディア(新聞、テレビ)が政治家の疑惑追及に消極的なのは、国民が常々不満に思っていることである。政府・安倍首相の森友・加計問題、桜を見る会疑惑、小池都知事の学歴詐称疑惑などが、メディアのこうした姿勢のために、今も野放し状態だ。メディアの機能不全は、民主主義の根幹にもかかわる重大な問題である。 筆者は英国に住んで32年になるが、欧米メディアの政治家に対する妥協のない報道姿勢を見るにつけ、日本のメディアの根本的改革の必要性を痛感させられる。 7月24日の英国の公共メディアBBCによるボリス・ジョンソン首相の単独インタビュー(https://www.youtube.com/watch?v=3rm45jiPrdw)もそうした思いをあらためて強くするものだ
昨年12月、中国・武漢で原因不明の肺炎が発生したという報道がされたときは、ほとんど関心がなかった。その後、新型コロナウイルスと認定され、あれよあれよという間に中国では感染者数が増え、発生元の1千万人都市・武漢は閉鎖された。日本でも1月28日、奈良の60代のバス運転手の感染が見つかり、国内初の感染者が出た。 テレビは早速世界の感染国地図を用意した。数百人の感染者がでた中国が赤く塗られるのはわかるが、まだ1人しか感染者がいなかったアメリカやロシアの全土を真っ赤に塗りつぶすことはどうなのよ、と思った。その後、この地図は姿を消した(「ミヤネ屋」はその後もやっていたが、色はピンク、と薄い)。 テレビで東京のスーパーや薬局からマスクやアルコール消毒液が払底するという報道がなされた。これは最初、都市の一部で生じた局地的現象だったのだろうけど、テレビに数店舗の売り切れ状態が映しだされると、あたかもそれが全
韓国・大邱では新型コロナウイルスの感染が相次いでいる。写真は2月19日、大邱の慶北大学病院に搬送された新型コロナウイルス感染が疑われる患者(写真:YONHAP NEWS/アフロ) (李 正宣:ソウル在住ジャーナリスト) 韓国内で新型コロナウイルスの感染が急拡大している。ソウルをはじめ全国にわたって新型コロナの感染者が続出し、21日20時現在、感染者数は204人に上り、死者も1名出ている。多くの専門家が「パンデミック(大流行)の兆しを見せている」と指摘する事態になっている。 1月20日に初の感染者が確認されて以降、しばらく小康状態を保っていた韓国内の新型コロナ・感染者数だが、ちょうど1カ月目に入った2月19日から突然急増し始めた。19日は1日で22人の感染者が確認され、20日に53人、21日は100人の感染者が発生するなど、拡散スピードはどんどん増している。 感染を疑われた入院患者が病院を抜
(花園 祐:中国在住ジャーナリスト) 2019年10月、中国メディア「環球時報」は、日本人アニメーターが日本国内における待遇の悪さから、このところ中国の制作会社などに引き抜かれているというニュースを報じました。 このニュース内容が翻訳されて日本でも報じられると、かねてアニメーターの薄給激務ぶりが報じられていたこともあり、ネット上を中心に日本のアニメ業界の現状を憂う声が広がりました。 日本のアニメ産業は、今や世界に誇る重要産業です。本当に日本のアニメーターが中国に引き抜かれているのか? 環球時報の報道の真偽、そして日中アニメ業界の現状について、日本のアニメ業界関係者に話を聞いてきました。 中国企業による引き抜きは起きているのか 話をしてくれたのは、日中間を跨いだアニメ制作に広く携わる、日系アニメ制作会社のAさんです。まず、日本人アニメーターが中国に流出しているという報道について尋ねたところ、
2017年5月、大統領府での昼食会で文在寅大統領(左)と昼食をとる民情首席秘書官時代のチョ・グク氏(写真:YONHAP NEWS/アフロ) 韓国社会では、8月15日を境に、あれほど沸き上がっていた「不買運動」や「日本経済報復」についての関心が次第に薄れていっているような気がする。「リトル文在寅」と呼ばれる元大統領府の民情秘書室長で、現在は法務部長官内定者であるチョ・グク氏をめぐる不正疑惑が次々と浮上し、韓国国民の怒りの矛先が日本ではなく文在寅政権に向かっているからだ。 チョ・グク氏周辺は「疑惑の山」 チョ氏は、文政権誕生直後から2年半も大統領府秘書室の民情首席秘書官を務めてきた人物。民情首席秘書官とは、政府高官の監視と司法機関を統括するポストで、政府高官や大統領の親戚など、権力層に対する捜査や、組閣のための候補者推薦と人事検証などを主要業務とするだけに、大統領府秘書官の中でも大統領と最も近
6月9日に香港で「逃犯条例」(犯罪人引渡条例)改正に反対する大規模デモが起きたことは、世界中のメディアにトップで報じられた。主催者発表103万人、警察発表24万人という規模は、1997年に香港が中国に引き渡されて以来、最大規模だ。香港人口を約748万人とすると、およそ7人に1人がデモに参加したということになる。2003年には、香港基本法(香港ミニ憲法)23条に基づいて国家安全条例(治安維持条例、中国に対する国家分裂活動や政権転覆扇動なども取り締まることができる法律)が議会に提出されようとしたことに反対するデモが起きた。このときは50万人デモだったので、今回は倍の規模である。 続いて、この条例の審議が再開される予定だった6月12日、香港立法会(議会)を数千人のデモ隊が未明から包囲。香港政府は5000人の警官隊を投入し、睨み合う状況が続いていた。それは2014年の雨傘運動(民主化を求めた反政府
「バレンタインデー」の季節である。あさって2月14日の「バレンタインデー」を前にして、日本中どこでもチョコレート商戦が活発だ。私が住んでいる地域のスーパーマーケットでは、おニャン子クラブ時代の国生さゆりの「バレンタイン・キッス」がBGMとして流れている。ほぼ同世代の私にはとってはなんだか不思議な気分だが、懐かしさを感じたりもする。 日本人の多くは「バレンタインデー」がいつ日本で始まったかについては、あまり関心がないかもしれない。もはや「伝統」といっても問題ないくらい定着しているからだ。 廃棄ロスが社会問題化している節分の恵方巻きとは違って(参照:本コラム「節分には恵方巻? 「伝統」はこうして誕生する」)、同じ食品であってもチョコレートの賞味期限は、はるかに長い。廃棄ロス問題がないという点に関しては、バレンタインデーのチョコレートに目くじらを立てる人はあまりいないだろう。 今回は、そもそも高
物理学、生物学、化学など自然界に存在している様々な法則性、「理(ことわり)」を明らかにする自然科学。ガリレオ・ガリレイ、ニュートン、ダーウィン、アインシュタインなど誰もが名前を知っている偉人から名もなき科学者まで多くの先達の努力によって様々な知見が発見され、現代においても日進月歩で研究が進み続けています。 この自然科学によって見出された知見から人と組織が織りなすマネジメントの世界を見てみることで、これまでには見えづらかった、しかし、本質的なマネジメントの「理(ことわり)」が見えてくることがあります。 「自然科学に学ぶマネジメントの『理(ことわり)』」では、物理学、生物学、大脳生理学などの自然科学の知見をご紹介しながら、マネジメントの「理(ことわり)」を探求していきます。 働かない「働きアリ」がいる? 今回のテーマは、「アリの生態学×ダイバーシティ」です。 皆さんは「働きアリ」という言葉を聞
中国の内モンゴル自治区の湖・チャガンノールから出土した竜脚類ヌーロサウルスの化石。フフホト市内の内蒙古博物院にて筆者撮影 突然だが、スズメやカラスが恐竜であることはご存知だろうか? 近年の研究によると、鳥が小型獣脚類(映画『ジュラシック・パーク』に登場するヴェロキラプトルの種類である)から進化したことはほぼ確実であるばかりか、鳥類と小型獣脚類の間に学術上の厳密な線引きをもうけることすら困難であるという。 近年の古生物学の世界において、“恐竜”という生物のわかりやすい定義は「スズメとトリケラトプスの最も近い共通祖先から生まれた子孫すべて」と説明される。私たちが日々、タマゴを目玉焼きにしたり肉にタレと七味唐辛子をかけて晩酌のツマミにしている生物の正体は、実は恐竜(のある系統の子孫)だったのだ。
ベトナムは中国と国境を接し、有史以来、何度も戦火を交えてきた。昨今の日中関係を考える時、その歴史から学ぶところは多い。 ベトナムは長い間中国の支配下にあった。その支配は漢の武帝(前141~前87年)の頃に始まり、約1000年間続いた、しかし、唐が滅びて五代十国と言われる混乱の時代を迎えると、その隙をついてベトナムは独立した。938年のことである。 ただ、その後も、宋が中国大陸を統一するとベトナムに攻め入った。その際は、今でもベトナムの英雄である李常傑(1019~1105年:リ・トゥオーン・キエット、ベトナムでは漢字が用いられてきた)の活躍により、なんとか独立を保つことができた。ただ、独立を保ったと言っても冊封体制の中での独立。ベトナムは中国の朝貢国であった。 中国大陸に新たな政権が生れるたびに、新政権はベトナムに攻め込んだ。朝貢していても安全ではない。相手の都合で攻めて来る。
このところ小売業をはじめ日本のサービス業系企業が次々と中国進出を果たしています。その際に発表されるプレスリリースには、決まって「日本の『おもてなし』に代表される高品質なサービスを中国で展開し・・・」といった文言が見られます。多くの日本人は、日本のサービスは世界に誇れる高いクオリティであると信じ切っているようです。 しかし対人接客サービスだけならまだしも、契約からアフターサポートまでを含めたサービス全体で見ると、果たして日本のサービスが「手厚い」と言えるのか疑問です。一部のサービス分野に至っては、むしろ筆者が暮らす中国より劣悪ではないかと感じることすらあります。 そこで今回は、中国よりも劣っている日本のサービス分野として、銀行、賃貸不動産、携帯電話業界を取り上げ、日本国内にいると気づきにくい日中間のサービスの差を明らかにしてみたいと思います。 【銀行】土日も普通に営業、振込手数料は格安 日本
中国・上海で開催されたオンラインゲームイベントの会見に登場した蒼井そら(資料写真、2010年6月17日、写真:アフロ) 2018年1月2日未明、元AV(アダルトビデオ)女優の蒼井そらが、DJの男性との結婚を自身のブログ上で発表した。彼女は1983年生まれの34歳。2002年のデビュー後、「ギリギリモザイク」シリーズなどの人気を背景にゼロ年代のAV業界で一時代を築いた有名女優だが、2011年に新作のリリースを停止している。通常なら、その結婚が大きく報じられることは少ないはずの芸能人だ。 だが、蒼井そらは中国では一二を争う知名度を持つ日本人である。2010年代に入ってから中国で人気に火がつき、日本国内以上のVIPクラスの芸能人として知られるようになった。彼女の結婚報道も中華圏メディアが先んじて報じ、日本側がこれを後追いした形である。よって、事実上は「中国の人気芸能人」のスクープニュースだとも言
2007年9月18日、フランス・パリ(Paris)のワイン販売店に並んだ日本酒の瓶。(c)AFP/STEPHANE DE SAKUTIN〔 AFPBB News 〕 ロバート・パーカー氏のワイン情報誌「ワイン・アドヴォケート」が日本の純米吟醸酒・大吟醸酒の初の評価ガイドを発表してから24時間以内に、最も評価の高い78銘柄が一躍、大人気の資産になった。 東京の高級ホテル、すしバー、ワイン収集家から、マカオのカジノ、ニューヨークのレストラン、シンガポールの大富豪に至るまで、「亀の翁・三年熟成」や「常きげん・キス・オブ・ファイア」を買おうとする業者やバイヤーが、すでに限られている在庫からボトルを確保しようと先を争っている。 ガイドが発表された6時間後に日本の業者から「根知男山」を40本買おうとした香港のコレクターは、電話の向こうで笑われたという。 ワイン収集にかかる莫大な費用とは対照的に、最高の
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