2018年9月24日に東京オペラシティコンサートホールで行われたバッハ・コレギウム・ジャパン(BCJ)の第129回定期演奏会は、BCJにとってもクラシックファンにとっても忘れがたい時間になったのではないだろうか。 モーツァルトの「レクイエム」を中心に据えたこの日の公演は、鈴木優人の首席指揮者就任記念という特別な意味合いを持つコンサートであり、28年の歴史を刻む世界屈指の古楽アンサンブルBCJにとっては、まさに次の時代の扉を開く公演であったに違いない。 当日のプログラムには、BCJ音楽監督鈴木雅明による「鈴木優人首席指揮者就任のお知らせ」という1頁が加えられ、そこには「今日のヨーロッパやアメリカには、バロック音楽を専門とする古楽器のオーケストラは多数存在しますが、多くの場合、創設者やリーダーの引退や逝去によって活動は消滅し、あるいは再編成されていく状況を目の当たりにする時、BCJにおいては、