氷室冴子の『白い少女たち』について感想をあげるつもりであったが、刊行当時の状況を調べているうちに、昭和50年代のコバルト文庫についても触れたくなってしまった。ということで、『白い少女たち』の感想に加えて、昭和50年代のコバルト文庫について雑にまとめてみたのが本エントリである。 氷室冴子最初の一冊 さて、今回ご紹介する『白い少女たち』は1978年刊行作品である。なんと初版は昭和53(1978)年。40年以上も前の作品となってしまった。 前回紹介した『さようならアルルカン』収録の同名タイトルが、本当は一番最初に書かれた氷室作品(「小説ジュニア青春小説新人賞」への応募作だった)なのだが、書籍として出たのは本書の方が先になる。 なお、『白い少女たち』は長期に渡って入手困難な状態が続いていたが、2020年に「さようならアルルカン」に初期の文庫未収録作品を加えたソフトカバー版が刊行されている。未読の方