19世紀のドイツの数学者ワイエルシュトラスは地味だが重要な業績をたくさん残している。 函数論や楕円関数において彼の業績はふんだんに引用される。 ガロアやアーベルほどロマンチックな生涯ではなかったかもしれないけれど、幾分特徴的な人生を、ある意味悲劇的な前半生を過ごしている。 ドイツの学問制度が未熟なためグーデルマンの推挙があったにもかかわらず、26歳から15年間ものあいだ、中学そして高校の教師であったのだ。 この間、二重生活を送った。昼は教師、夜は数学者。 そうして、ある朝突然に博士号を与えられたのである。 ところが、新しい研究生活と大学教授という負荷は彼を神経衰弱にしてしまう。人生とは、何ともうまく行かぬものだ。 だが、やがて立ち直ったワイエルシュトラスはヨーロッパの数学界に君臨しはじめる。フランスのエルミートは自分のもとに留学してきたミッタグ・レフラーに 「君はワイエルシュトラスのもとで