うつ病になってマンガが描けなくなりました 相原コージ ベテランギャグ漫画家相原コージ、コロナ禍の中、突如うつ病に。病いと戦う日々を真摯に淡々と描きます。
「『ドラゴンボール』で好きなのはラディッツ来襲からベジータとナッパ敗退までの一連の流れなんだけど、戦士たちがなすすべもなく敗れていくとこがすごくハードで絶望感があったし、悲しくなったよね。あの可愛い餃子があんな死に方をしたり、天津飯が一矢報いることもできなかったり。サイヤ人編、ほんとに怖かったな」 というようなことを友達と話していたのだが、 「ピッコロ大魔王編でクリリンが殺されたり、当時最強の一角を占めていた亀仙人が死んだ時だって、十分絶望感あったし、悲しかったよ! あんたはクリリンや亀仙人に興味がないから平気だったんだろ! さっきから聞いていれば天津飯と餃子の話ばかり。あんたは単なる鶴仙流だよ!」 と言われたのだが、確かに私は天さんと餃子が好きなだけだし、「さよなら、天さん…」のところを思い出すたびに切なくなるのが好きなだけの人間かもしれない。 亀仙人が「もうちっとだけ続くんじゃ」と言っ
2023年10月23日に最新刊となる第22巻が発売された『きのう何食べた?』(講談社)。実写ドラマseason2も、テレビ東京で2023年10月から12月まで放送。弁護士の筧史朗(シロさん)と、その恋人の矢吹賢二(ケンジ)の暮らしと食事、そして彼らの周囲で巻き起こる出来事が大きな反響を呼んだ。 本記事では、漫画家のよしながふみさんにインタビューを実施。『きのう何食べた?』連載開始から17年目を迎え、改めて連載当初から現在までをたっぷりと振り返っていただいた。「ラブを描くのが大変」だと感じていたよしながさんが連載を続けるなかで辿り着いた境地とは。 “大好き”を全部詰め込んだ『きのう何食べた?』 ――2007年12月号から連載がスタートし、今年で16周年を迎える『きのう何食べた?』(以下、『何食べ』)ですが、改めて、連載当初の頃のお話を伺わせてください。 よしながふみさん(以下、よしなが):『
最近、送られて来る『おぼっちゃまくん』の脚本が、 不調だ。 プロットの段階では、全体が短いから、ぽんぽんギャグが 出そうな気がするし、わしの創造力で埋め合わせて読んで いる部分がある。 それが脚本になると、全体が長くなるし、詳細になって くるから、ギャグが出てないし、冗漫になってしまう。 プロットに比べて見劣りがしてくるのだ。 そもそも『おぼっちゃまくん』は非常に難しい作品で、 アイデアが緊張感がぬけると、安易に「露骨な拝金主義と、 つまらない下ネタ」に堕ちてしまう。 PTAがいかにも先入観で見てしまう「露骨な拝金主義と、 つまらない下ネタ」にわざわざ自ら飛び込んでしまうと、 この作品はおしまいだ。 日本だろうとインドだろうと、視聴者はそれを見ぬいて、 一気に人気が落ちるだろう。 「露骨な拝金主義と、つまらない下ネタ」という言葉は 自らを律するために覚えておいた方がいい。 拝金主義も下ネタ
『ダイの大冒険』『仮面ライダーW』三条陸が語る、「ヒーローの条件」とは?──どんなにカッコよくても、「頑張れ!」と思えなければ好きにはなれない 「80年代」……それは『ウルトラマン』と『仮面ライダー』という日本を代表する特撮シリーズに「空白」が生じた時代である。 1980年に放映された『ウルトラマン80』を最後に、1996年の『ウルトラマンティガ』までの間、ウルトラマンシリーズのテレビ放映は16年に渡って中断されることとなった。 『仮面ライダー』においても、1980年に放映された『仮面ライダースーパー1』以降、1987年から1989年に掛けて放映された『仮面ライダーBLACK』、『仮面ライダーBLACK RX』という例外は在りつつも、2000年に放映された『仮面ライダークウガ』から始まる、いわゆる「平成ライダーシリーズ」までは長い休眠期間に入ることになる。 そして1980年代とは、1981
文/阿部裕華 編集/TAITAI 「すべて個人の見解で、何かを代表するものではございません」 東京ビッグサイトのレセプションホール半面で開催された本トークショー。開演時間には、おそらくコミケという戦場で戦いを終えた猛者たちで300を超える席がほとんど埋まっていた。そんななか、最初に登壇したのは某出版社(建前上、いちおう伏せてるらしい?)で『Dr.マシリト 最強漫画術』の編集を担当した齋藤氏。 注意事項に加え、「本日の内容はすべて個人の見解ですので、何かを代表するものではございません」と強く念を押し、早速会場の笑いを誘った。場の空気が温まったところで、サラッと会場内へ入ってくる鳥嶋氏、霜月氏、筆谷氏に会場から大きな拍手が送られる。 ここでまずは登壇者の自己紹介へ。 鳥嶋和彦氏(以下、鳥嶋): 初めまして。この本(『Dr.マシリト 最強漫画術』)の著者、Dr.マシリトこと鳥嶋和彦です。去年の1
障害を持つ方が体験した心霊現象を取材を元に漫画化しました。
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浅倉南の話をしたい。 もちろん、あだち充の傑作漫画『タッチ』のヒロインである「南ちゃん」のことである。 タッチ 完全復刻版(1) (少年サンデーコミックス) 作者:あだち充 小学館 Amazon 彼女が少年漫画史上に残る重要なキャラクターであることはあきらかだが、それにしてはその評価は個人個人で分かれる。 もちろん、だれからも愛される万人向けのヒロインなど存在しようもないわけだが、浅倉南の人気とうらはらの悪評は強く印象に残る。 なぜ、南はこれほどまでに嫌われるのか。ぼくにはそれはそもそも彼女が何を考え、何を思い行動していたか広く理解されていないからだと思えてならない。 当然、作中にはっきりと南の心理が書かれていない以上、すべては解釈の問題でしかなく、自分の考え方が「正しい」などと主張することはできない。 しかし、いままで浅倉南について、さらには『タッチ』という作品について伝統的になされてき
満席の映画館で『千と千尋の神隠し』を 立ち見した「原体験」 鮮烈な初連載を飾った『ファイアパンチ』、傑作読み切り『ルックバック』『さよなら絵梨』、そして現在は「少年ジャンプ+」にて『チェンソーマン』第二部が絶賛連載中の鬼才・藤本タツキ。藤本と言えば、SNS上等でたびたび言及される「映画愛」が印象的だ。中でも、スタジオジブリ作品には特に思い入れがあるようで、藤本ファンの間では有名な話になっている。 そこで本インタビューでは、『スタジオジブリ物語』(鈴木敏夫・責任編集)の刊行を記念して、はじめてまとまった形で「ジブリ」について、1時間ぶっ通しで語ってもらった。満席の映画館で『千と千尋の神隠し』を立ち見した「原体験」の個人史から始まり、『もののけ姫』の分析や宮﨑駿監督への想い、そして自身の創作術まで、藤本タツキのエッセンスが垣間見えるインタビューを一万字の大ボリュームでお届けする。 満席の映画館
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『ミスター味っ子II』 本コラムを読んでいるような漫画好きならご存知の人も多いと思いますが、先日、『イブニング』休刊により『コミックDAYS』へと移籍する連載作が無料公開される出来事がありました。これにより、高レベルで安定した面白さを持つことが知られて大きくハネたのが、90年代『少年マガジン』で長期連載された『スーパードクターK』の「2世もの」な続編である、真船一雄『K2』であることも言わずもがなでしょう(ギュッ)。ですが、『イブニング』で連載された2世もので面白い作品というのは『K2』のみではありません。というわけで今回の紹介は、やはり往年の『マガジン』連載作の2世もの、寺沢大介『ミスター味っ子II』です。 連載期間は03〜12年なのですが、作者がこの時期に同じ『イブニング』で食ミステリの傑作『喰いタン』を同時連載していた関係で、06年から09年には不定期掲載・一時中断の期間があり、10
初代JOJO担当編集 椛島良介インタビュー #1【週刊少年ジャンプ編】『リンかけ』に学び、諸星大二郎作品に救われた 「週刊少年ジャンプ」(以下「ジャンプ」)のいわゆる「黄金期」と呼ばれる時代の一翼を担った名編集者であり、今年2023年に連載開始100周年を迎えたマンガ『正チャンの冒険』※1の作者・樺島勝一氏の孫にあたる椛島良介氏。今回、椛島氏の生い立ちから当時のジャンプ編集部の様子、また『ジョジョの奇妙な冒険』の作者である荒木飛呂彦さんとの思い出や、おすすめのマンガまでさまざまなお話をうかがってきました。「週刊少年ジャンプ編」・「荒木飛呂彦編」・「おすすめマンガ編」の全3回に分けてお届けします。 ※1^ 1923年1月25日の「アサヒグラフ」創刊号から連載された4コママンガ。日本初のフキダシ型マンガともいわれる(諸説あり)。主人公の「正チャン」と相棒のリスによる冒険の物語が幻想的に描かれ、
「どこを探しても肉声が見つからないんです」「インタビュー記事が検索できない!」と小社の「マンガ読みマン」が騒いでいる。「あんなにビッグヒットを当てたのにですよ? 『ツヨシしっかりしなさい』は実写ドラマにも、アニメにも、映画にも、ゲームにもなった巨匠ですよ!」。行方を探し当てて、人となりと制作の秘密を、肉声を聞いてこい!と指令が下った。Wikipediaで予習すると年齢が72歳…いやいや、2022年は『テツぼん』がビッグコミックオリジナルで”連載300回”を超えたバリッバリの現役だ。多忙のなか時間をいただいて、都内某所の喫茶店で会うことができたのだった。 取材/文/撮影:すけたけしん 永松潔さん。 永松潔(ながまつ・きよし) 1950年1月5日、福岡県福岡市生まれ。1971年「コミックmagazine」(芳文社)に掲載された『望郷』でデビュー。1986年に「モーニング」(講談社)で連載を開始
アフタヌーンの編集長、金井暁と申します。ちょっと思い立ちまして、マンガについて考えたことなどを実話や経験とあわせて書いてみようと思います。 昨年2022年12月5日、渋谷LOFT9のイベントに高松美咲さん、幸村誠さんと一緒に、マンガ大好き芸人・吉川きっちょむさんのお招きで登壇しました。その際きっちょむさんから、 「アフタヌーンってどんな雑誌ですか?」 と質問され、正直うまく答えられませんでした。 「お前、編集長だろ!?」と言われても致し方ないのですが、アフタヌーンは言葉にしようとすると実相から遠ざかるんです。言葉で説明しにくい。その一方、SNSでやたら目にするのが「ジャンプ(またはジャンプ+)で読んだマンガ、アフタヌーンかと思った!」というコメント。目にするたびに「どこらへんで!?」って少々モヤモヤするのですが、読まれた方がそうお感じになったのならこれも致し方ないですね。というわけで最初に
いやあ、どうなっちゃうんだろうねと思いながら読み始めた13巻だった。 ブルーピリオド(13) (アフタヌーンコミックス) 作者:山口つばさ 講談社 Amazon そんでフジキリオにアジられて、まんまと買っちゃっただろ、『美術の物語』…。9350円もしたわ。 美術の物語 作者:エルンスト・H・ゴンブリッチ 河出書房新社 Amazon 『ブルーピリオド』は現在美大生の生活を描いているが、藝大の生活やシステムに馴染めないでいた主人公・矢口八虎は知り合いに誘われて、反権威主義的な芸術運動団体・ノーマークスに出入りするようになる。そのリーダーであるフジにすっかり魅入られて1か月も大学生活をほっぽり出してノーマークスのスペースに入り浸ってしまうのである。 kamiyakenkyujo.hatenablog.com この「たまり場の魅力」は左翼運動でぼくがあこがれて、しかも体験し、今もその魅力に取り憑か
https://anond.hatelabo.jp/20221105115632 ぼく勉と五等分、かぐや様とではクオリティに差があるのだから、パラレルストーリーが悪いのではなくぼく勉が悪いのだという説が散見される。 これはぼく勉の話がつまらなかったから盛り下がったのだという趣旨で一理あるように見える。 しかしあえてぼく勉ではなくパラレルストーリー自体が悪いのだと私は主張する。 まずメディアミックスであるがぼく勉より単行本売り上げが低かったゆらぎ荘の幽奈さんですらゲーム化している。 単に人気が低いというだけではゲームより遥かにコストが低いボイスドラマが打ち切られる理由にはならないだろう。 またそもそもジャンプで2年以上連載していた作家に対してお前がうまく出来なかったから悪い、もっとうまくやれたはずだと言うこと自体傲慢極まりないと一蹴しても良いだろう。 そもそもの話として、ぼく勉に話の良さは求
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