知識社会が高度化するにつれて、とてつもなく高い論理的・数学的知能をもつ者に富が集中する現象が顕著になってきた。シリコンバレーに集まる彼ら(そのほとんどは男性)は「テクノ・リバタリアン」と呼ばれている。 リバタリアニズムは「自由原理主義」のことだが、IT起業家はなぜ「自由」にこだわるのか。それは、彼らの特異な能力が自由な社会・経済のもとでしか花を咲かせることができず、国家や法のきびしい規制のあるところでは枯れてしまうからだ。 そしていま、テクノ・リバタリアンたちは指数関数的(エクスポネンシャル)に高度化する強大なテクノロジーを駆使して、(自分たちに)最適化された世界をつくろうとしている。そんな話を新刊の『テクノ・リバタリアン 世界を変える唯一の思想』(文春新書)で書いたが、ここではその番外編として、本書では詳しく触れることができなかった生成AI(人工知能)をめぐる人間関係の波乱万丈を紹介して