研究以前のモンダイ〔 その(12) 〕 認識論間マルチメソッド研究を上手に実施する方法 西條剛央 (日本学術振興会研究員) (前回よりつづく) 前回は,認識論が操り人形を繰るように研究実践の方向性を規定しているという「認識論の呪縛」の話を踏まえたうえで,マルチメソッド・ミックスメソッド・トライアンギュレーションにかけられた呪縛を解くツールを整備してきました。今回は研究実践例を通してさらにマルチメソッドのモンダイについて考えていきたいと思います。 2タイプのマルチメソッド 研究以前のモンダイから見ると,マルチメソッドはシンプルなタイプと,複雑なタイプに大別することができます。シンプルなマルチメソッドとは,認識論を一つに固定した上で分析手段だけを質的アプローチ・量的アプローチといったように併用する方法です。 これは表面的には質的・量的といった大きな違いがあるように見えますが,同一の世界像(観)