東洋経済オンラインで貧困に喘ぐ女性の現実を連載するノンフィクションライターの中村淳彦氏と「貧困報道」は問題だらけだを連載するルポライターの鈴木大介氏。この2人が、性産業の問題から教育・福祉・介護の悲惨な状況、日本社会の構造的問題にいたるまで、計12時間にわたる対談を行った。その全容は8月10日刊行の『貧困とセックス』(イースト新書)に収められているが、ここでは前後編に分けて、そのうちのエッセンスを紹介する。今回は、その前編。 親世帯の収入が下落し、学費は高騰している 中村:僕は「裸の女性たちは社会を映した鏡」だと思って日々取材しているけど、それを痛切に感じたのは大学奨学金問題。いくら話を聞いても家庭に問題があるわけではなく、本人の性格も普通のいい子。裸になってリスクが高い仕事をする理由がないわけ。彼女たちから奨学金という言葉がたまに出てきて、若者の貧困問題だったと気づいたのは2011年くら