ブックマーク / saebou.hatenablog.com (141)

  • 野心的だが、内容はちょっと…『シャーロック』スペシャル版『忌まわしき花嫁』(ネタバレあり) - Commentarius Saevus

    『シャーロック』のスペシャル版『忌まわしき花嫁』を映画館で見てきた。 いつもの現代版ではなく、ヴィクトリア朝を舞台にしたスピンオフということでどうなるんだろうと思って見に行ったら、途中でなんとヴィクトリア朝版は現代版シャーロックの夢だという構成で、まるで『インセプション』みたいな夢と現実を行き来してどっちが夢だかだんだんわからなくなるような展開になっていってしまった。さらにヴィクトリア朝版の展開は完全にシャーロックの夢なのでちゃんと解決もされないし、さらにけっこう夢の中のホームズは現実のシャーロックよりにぶちんで事件をきちんと独力で解決できなかったり、意外なシャーロックの自己評価の低さ(!?)が垣間見えたりするところは面白い。さらにヴィクトリアンの夢の世界ではワトソンがホームズものの作者で、ホームズの行動がかなりワトソンによって規定される。これはおそらく現代の世界でもシャーロックがジョンを

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  • オタクと召命〜『スター・ウォーズ/フォースの覚醒』(ネタバレ多数) - Commentarius Saevus

    やっと『スター・ウォーズ/フォースの覚醒』を見てきた。全体的に言うと、すごく「オタクが作った映画」である。ふつう、映画オタクが作った映画というのは歌取りした元の作品に及ばない分、どこか溢れる愛がはみ出しているみたいな可愛らしさがあるものだが、この『フォースの覚醒』はとんでもない予算と技術がかかっているので、なんかもう有り余る金でオタクが好きなことしたらこうなるのか…っていうような映画だった。 なんで「オタクが作った映画」かというと、基的にストーリーの構造が『スター・ウォーズ エピソード4/新たなる希望』とほぼ同じだからである。ちょっと前に見た『Re: Life』で、スター・ウォーズオタクの学生がほとんど『スター・ウォーズ』の焼き直しみたいな脚を書いて教員に怒られていたが、元の作品が好きすぎるとその話を再話したくなってしまうことがある。そして『フォースの覚醒』はそういう作品だ。田舎の砂

    オタクと召命〜『スター・ウォーズ/フォースの覚醒』(ネタバレ多数) - Commentarius Saevus
    symbioticworm
    symbioticworm 2015/12/26
    客観性を努めた批評の間から抑えきれず溢れ出るSW愛が素敵(笑)。
  • 来学期から東京大学非常勤を辞めることになりました - Commentarius Saevus

    今年で東大駒場の非常勤講師を辞め、1年間実施した英日翻訳ウィキペディアン養成セミナーは来年から務校の武蔵大学に移すことになったのですが、この辞職とクラス移動の経緯について皆さん興味があるらしいので、学生に迷惑がかかるなどの差し支えが無い範囲で簡単に説明しようと思います。めちゃめちゃ長いので、イントロのあと3つの節に分かれています。 ・イントロ まず、私は2013年に留学を終えて日に帰ってきてからずっと東大駒場で英語の非常勤をしており、最初の二年は英語一列、今年は実験的な科目としてウィキペディアン養成セミナーをやっていました。学部から博士の一年まで東大駒場に所属していたので、英語一列には院生の時からTAとして関わっていました。去年からは武蔵大学に専任講師として就職したので非常勤先は辞めても良かったのですが、図書館とデータベースが使えること(これは研究者にとっては大変大事で、給料なんかより

    来学期から東京大学非常勤を辞めることになりました - Commentarius Saevus
    symbioticworm
    symbioticworm 2015/12/22
    大学周りのお金絡みの話題はこのところ世知辛いものしか出てこないのう……。向こうも向こうで合理的に動けない理由があり、玉突き的に非常勤その他の不利な立場の人間にしわ寄せが来てるということなんだとは思うが
  • もし『お姫様とジェンダー―アニメで学ぶ男と女のジェンダー学入門』に続編があったら? - Commentarius Saevus

    この間、ツイッターで「もし2007年に亡くなった若桑みどり先生が生きていたら『お姫様とジェンダー―アニメで学ぶ男と女のジェンダー学入門』の続編があったでしょうねー」という話になった。 お姫様とジェンダー―アニメで学ぶ男と女のジェンダー学入門 (ちくま新書)posted with amazlet at 15.12.02若桑 みどり 筑摩書房 売り上げランキング: 43,338 Amazon.co.jpで詳細を見る 『お姫様とジェンダー―アニメで学ぶ男と女のジェンダー学入門』(筑摩書房、2003)は、ディズニープリンセスもののアニメを中心に分析したフェミニスト批評の入門書で、映画を扱ったフェミニスト批評としては私が知っている中でも最もとっつきやすく、わかりやすいもののひとつである。『白雪姫』や『シンデレラ』、『眠り姫』などのおなじみのプリンセスストーリーをジェンダーの視点から読み解くことで、こ

    もし『お姫様とジェンダー―アニメで学ぶ男と女のジェンダー学入門』に続編があったら? - Commentarius Saevus
  • 稀に見る流動性映画〜『恋人たち』 - Commentarius Saevus

    橋口亮輔監督の新作『恋人たち』を見てきた。通り魔にを殺された男、自分の関心の無い夫と郊外で暮らしている、ゲイの弁護士の3人の生活を並行して描く作品である。 とにかく気合いの入った作品で、独特のリアリズムが全体をつらぬいており、ちょっと実験的でもある。おそらく完全に現実に近づけているというわけではないのだが、自分語りとかちょっとした表情の強調とかあまり現実にはなさそうなことを織り交ぜつつ、やたらに散らかった部屋とか、ゴミゴミした街路みたいなありふれた背景をバックに、見ている人の生活感覚をぐいぐい喚起してくる演出を使っているせいだろう。最初は出てきたどの人物にも全く感情移入できず、どっちかというとみんなやな感じの人たちに見えるのだが、だんだん背景が明らかにするとともに登場人物の人間味を増し、ぐんぐん観客を中に引き込んでいく作品だ。一方でたまにご近所のごたごたをのぞき見しているような変な気分

    稀に見る流動性映画〜『恋人たち』 - Commentarius Saevus
  • 植民地時代の朝鮮半島と日本の関係を背景にしたポストコロニアル的『テンペスト』〜『颱風奇譚』 - Commentarius Saevus

    東京芸術劇場で『颱風奇譚』を見てきた。シェイクスピアの『テンペスト』を、1920年代、植民地時代の朝鮮半島と日の関係を舞台に翻案したものである。台はソン・ギウン、演出は多田淳之介が担当している。『テンペスト』のポストコロニアル的な演出というのはけっこういろいろあるが、これはかなりうまくいっているほうだと思った。 プロスペローにあたる役は、亡命した朝鮮の老王イ・スン(チョン・ドンファン)である。朝鮮を逃れて島に娘のソウンと隠棲しているイ・スンは、近くの海を自分の仇敵である日政治家たちと弟のイ・ミョンが航海していると知り、魔法で颱風を起こして一行を引き寄せる。イ・ミョンは日の西大寺公爵の妹櫻子と結婚しており、この三人の他に西大寺公爵の息子成保や藤村男爵、宮部大尉などが船に乗っていた。一行の運命やいかに… 日語、韓国語、先住民の言葉がいりまじるプロダクションで、どの言語が覇権を握るか

    植民地時代の朝鮮半島と日本の関係を背景にしたポストコロニアル的『テンペスト』〜『颱風奇譚』 - Commentarius Saevus
  • ごく当たり前の状況についての戯曲〜パリ市立劇場『犀』 - Commentarius Saevus

    フェスティバルトーキョーの一環として彩の国さいたま芸術劇場にで上演されたパリ市立劇場の『犀』を見てきた。ウジェーヌ・イヨネスコの不条理劇である。これ、私は毎日そこらへんで起こっていることについての戯曲だと思うのだが、私の好みからするとちょっと演出が洗練されすぎていて、イマイチそういう泥臭い現実感を生かすことができていなかったように思う。 話じたいは、おそらくフランスのどこかと思われる小さな町で人々がどんどん犀になっていくというものである。主人公であるうだつの上がらないベランジェはとにかく犀になりたくないと思っているが、周りの人たちはどんどん「そのほうが楽だから」みたいな感じで犀になっていってしまう。 で、私はこれは実にありふれた状況を描いた作品だと思う。まわりの人がどんどん犀になっていくのは、まあ少なくとも女性だったり、同性愛者やトランスジェンダーだったり、民族マイノリティだったりする人た

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  • アリストパネス『女の平和』をドキュメンタリー演劇化〜空『リューシストラテ』 - Commentarius Saevus

    横浜のArchiship Library & Cafe 吉田町で空による『リューシストラテ』を見てきた。アリストファネスの『女の平和』をもとにしたドキュメンタリー演劇で、いろいろな言語を話す2人の女優が、現代におけるさまざまな「女の平和」にまつわる活動のインタビューなどを読み上げていくというものである。 とりあえずセックスストライキというのは『女の平和』という舞台芸術史上非常に影響力の大きい作品が元ネタとしてあるので、今でも世界各地で実施されている抗議行動である。女性が男性との性交渉を拒むというだけで既に女性は自分の性的決定権を行使しているわけであって男性中心主義的社会に対してはある種の脅威なのだろうし、また暴力をふるう男たちに対して「暴力はセクシーじゃない」ということをあからさまに伝えるという意味合いがある。2003年のリベリアではセックスストライキをちらつかせて女性たちが長期にわたる内

    アリストパネス『女の平和』をドキュメンタリー演劇化〜空『リューシストラテ』 - Commentarius Saevus
    symbioticworm
    symbioticworm 2015/11/20
    うーむ
  • フェミニストとしてすすめる、フェミニズムに関心を持つための本5冊(5)文学編 - Commentarius Saevus

    フェミニストとしてすすめる、フェミニズムに関心を持つための5作品」シリーズで、「フェミニストとしてすすめる、フェミニズムに関心を持つための5冊(1)物語・ノンフィクション編」だけでは物足りないのでもっと文学作品だけ選んでみてほしいという要望があったため、今日は文学作品でおすすめのものを5、選んでみようと思う。前回選んだ作家のは基的に選ばないことにする。 ・アン・ブロンテ『ワイルドフェル・ホールの住人』(The Tenant of Wildfell Hall, 1848) アン・ブロンテは姉のシャーロットとエミリーの影に隠れた地味な作家だが、代表作『ワイルドフェル・ホールの住人』は昼メロみたいな起伏があってかなり面白く、かつ執筆当時のちょっとした過ちで女性がどんどん不幸になってしまうような社会のあり方を鋭く批判した作品である(以下ネタバレ注意)。ヒロインのヘレンは世間知らずな若い時

    フェミニストとしてすすめる、フェミニズムに関心を持つための本5冊(5)文学編 - Commentarius Saevus
    symbioticworm
    symbioticworm 2015/11/15
    ブロンテならシャーロット『ジェーン・エア』かと思いきや、そうきたかー。
  • フェミニストとしてすすめる、フェミニズムに関心を持つための映画5本(1)歴史映画編 - Commentarius Saevus

    さてさて、6月に実施した「フェミニストとしてすすめる、フェミニズムに関心を持つための5冊(1)物語・ノンフィクション編」、「フェミニストとしてすすめる、フェミニズムに関心を持つための5冊(2)理論・学術・専門書編」、「フェミニストとしてすすめる、フェミニズムに関心を持つための5冊(3)フェミニスト批評編」だが、手すさびのつもりで作ったのに思ったり大きな反響を頂いてしまい、「映画」(とくに歴史もの)、「ガチの文学作品のみ」、「女性史」、「まだ翻訳が出ていないフェミニズム選書」、「シェイクスピア関連のフェミニズムもの」などについても選書企画やってもらえないかというリクエストを受けていたのだが、その後いろいろ仕事が増えたりしてなかなか手を付けられなかった。しかしせっかくリクエストを受けたものをほっておくのは教育上よろしくないので、ほそぼそとやろうと思う。 そこで、イギリスで女性参政権がテー

    フェミニストとしてすすめる、フェミニズムに関心を持つための映画5本(1)歴史映画編 - Commentarius Saevus
  • 男であることの美と問題〜新国立劇場『血の婚礼』 - Commentarius Saevus

    新国立劇場で演劇研修所9期生試演会『血の婚礼』を見てきた。私の好きなフェデリコ・ガルシーア・ロルカの戯曲なのだが、この演目を舞台で見るのは初めてである。 もとの戯曲はけっこうシンプルなあらすじのもので、スペイン田舎を舞台に、結婚式の場から花嫁と昔の恋人が闘争し、花婿と昔の恋人が死ぬまでを描くというものである。えらく単純な話のようだが、地方の暮らしを克明に描くリアリズムと、神話的・表現主義的な詩が同居する一筋縄ではいかない悲劇である。 やはり戯曲じたいが非常に優れていると思ったのだが、読んだときよりも劇場で見た時のほうがより現実的な問題を扱った作品としてとらえられるような気がした。運命とか選択とかを神話的に描いた作品ではあるのだが、一方でこの作品は伝統的な男性性を問題化した作品でもある。母親に期待されている花婿と、花嫁を愛するレオナルドはそれぞれ別種の「男らしさ」を体現した存在として描かれ

    男であることの美と問題〜新国立劇場『血の婚礼』 - Commentarius Saevus
  • さまざまな女たちの美しいハーモニーをキタナイ下ネタで楽しく表現!〜『ピッチ・パーフェクト2』(ネタバレあり) - Commentarius Saevus

    『ピッチ・パーフェクト2』(リンク先音声注意)を見てきた。 『ピッチ・パーフェクト』の続編である。バーデン大学の女子アカペラグループ、バーデン・ベラーズが、コペンハーゲンのアカペラ世界大会で優勝するまでの苦闘を描いた作品だ。 とにかく出てくる女性たちが人種も性的志向も生い立ちも多様で、ヒロインのベッカ(アナ・ケンドリック)はちっちゃいのだが「ファット・エイミー」ことエイミー(レベル・ウィルソン)はかなり太っててオーストラリア人、アジア系のリリー(ハナ・マエ・リー)やアフリカンでレズビアンのシンシア(エスター・ディーン)、グアテマラ出身のフロー(クリッシー・フィット)などなど、全然違うがそれぞれ個性も魅力もある女性たちが自分たちらしく、完璧に調和したハーモニーを奏でる。ベクデル・テストはもちろんパスする。最後にエイミーが「いろんな民族でほとんど女性の私たちの力を見せてやる!」と言い、ビヨンセ

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  • 愛より自分が大事〜『わたしはロランス』 - Commentarius Saevus

    グザヴィエ・ドラン監督、メルヴィル・プポー主演の『わたしはロランス』を見てきた。久しぶりにすごいヘヴィなフランスの恋愛映画で、ストーリーや演技はとても良かったと思うのだが、半端にヌーヴェルヴァーグ+キューブリックみたいな撮り方と音楽の使い方にはちょっとあまり好きになれないところも…とにかく作家性が強くて好みが分かれそうな映画である。 ストーリーは、モントリオールに住んでいる教師のロランスがある日、恋人のフレッド(名前が男性っぽいが女性)に自分は当は女性になりたいのだと打ち明けるところから始まる。ロランスを愛するフレッドは戸惑ったり怒ったりしながらもロランスの決断を支援しようとするのだが、結局二人はくっついたり離れたりの腐れ縁に…という話。こう書くと泥沼の恋愛を描いた非常につらい映画のようだが、後味はそんなに悪くない。 この映画の面白いところは、ロランスとフレッドは愛し合っていてしかもどち

    愛より自分が大事〜『わたしはロランス』 - Commentarius Saevus
  • あらすじはカルト宗教のプロパガンダ作品みたいだと思うが、パパパパパパパゲーノには勝てん〜ロイヤルオペラ『魔笛』 - Commentarius Saevus

    先週の木曜は昼に『リア王』を見て面白かったのでそのまま授業に出て帰ろうと思っていたのだが、授業でなんかひどい映画を見せられたので帰りにお口直しということでロイヤルオペラの『魔笛』を見てきた。言わずとしれたモーツァルトの超有名オペラで、ケネス・ブラナーの映画も見たことあるしテレビやCDでは知っていたのだが生舞台は初めて。 …しかし、映画で見たときも意味不明なあらすじだと思ったのだが、舞台で見ると意味不明な台詞が出るたびにお客さんが爆笑するのでいっそう変だと思った。あらすじは、若者タミーノが夜の女王から仇敵ザラストロに誘拐された娘パミーナを助けてくれと頼まれるところから始まる。タミーノは女王に仕える愉快な鳥刺し男(猟師の一種?)パパゲーノとパミーナ救出にむかう。ザラストロはイシスとオシリスを信仰する教団のボスで、一見悪党っぽいのだが、実はザラストロはパミーナの亡き父の友で、夜の女王の影響でパミ

    あらすじはカルト宗教のプロパガンダ作品みたいだと思うが、パパパパパパパゲーノには勝てん〜ロイヤルオペラ『魔笛』 - Commentarius Saevus
  • こんなマニアック分野にまで専門雑誌があるのか、とうならざるを得ない奥深きオタクな学問の世界 - Commentarius Saevus

    最近マニアックなことばかり調べているせいでいろいろ無名の学術誌を取り寄せる機会が増えているのだが、世の中には一体誰が投稿するんだというようなマニアックな分野に関する学術誌がある。 Journal of the Catch Society of America『アメリカキャッチ協会誌』 Catchというのはキャッチボールではなく、17-18世紀頃に流行した輪唱曲の形式らしい(今は発行されてないみたい)。YouTubeにパーセルのキャッチがあがっていた。 The Lute『リュート』 ルネサンスに流行った楽器であるリュートに関する論文だけをのせる専門誌。リュートはこんな楽器。 Arthuriana『アーサリアーナ』 アーサー王伝説に関わる論文だけを載せる専門誌。 The Gilbert & Sullivan News「ギルバート&サリヴァンニュース」 19世紀に一世を風靡したサヴォイオペラの製

    こんなマニアック分野にまで専門雑誌があるのか、とうならざるを得ない奥深きオタクな学問の世界 - Commentarius Saevus
  • シェイクスピアをこれから読む人向けの研究書20冊 - Commentarius Saevus

    ちょっとリクエストを受けたりしたので、「シェイクスピアをこれから読む人向けの研究書20冊」というのを作ってみようと思う。選択基準としては、 (1)これからシェイクスピアを読もう、という人が基的な議論の知識を得るのに必要そうなである。 (2)英語か、あるいは日語訳がある洋書である(もともと日語で出ているはちょっとイギリスにいた間ほとんどフォローできなかったんで除外。これはそのうち別にリストしたい)。 (3)シェイクスピア研究における代表的な研究書、古典と見なされているもの。 (4)シェイクスピア研究に紙面の大部分を割いているもの。一般的な英文学書でシェイクスピアについて数章程度しか扱っていないものや、イギリス・ルネサンス文化中心でそれほどシェイクスピアに重点を置いていない研究書、シェイクスピアを読むのに必要だがシェイクスピアを少ししか扱っていない批評理論のは除外。 (5)学術研究

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  • 「バーレスクってなんだろう?」エッセイをWLに掲載しました - Commentarius Saevus

    9/9に私がガイドをつとめ、観客発信メディアWLの主催で実施したバーレスクツアーが行われたのですが、それについて片山さんの観劇報告と一緒に私が書いたバーレスクについてのエッセイがWLに掲載されました。 「バーレスクってなんだろう?」 なお、このエッセイで触れられている「ニュー・バーレスク研究入門」は専門誌にのった論文で入手しにくいので、欲しいがアクセスが無いという方はご一報下さい。

    「バーレスクってなんだろう?」エッセイをWLに掲載しました - Commentarius Saevus
    symbioticworm
    symbioticworm 2015/09/21
    “なお、このエッセイで触れられている「ニュー・バーレスク研究入門」は専門誌にのった論文で入手しにくいので、欲しいがアクセスが無いという方はご一報下さい。”探してみて手に入らなさそうならお願いするんぬ。
  • 現実よりはフィクションに生きることが安全だという厳しい現実〜ベン・ウィショー&ジュディ・デンチがアリスとピーターパンのモデルを演じる『ピーターとアリス』(少しネタバレあり) - Commentarius Saevus

    ベン・ウィショーとジュディ・デンチが『スカイフォール』の脚家であるジョン・ローガンと再び組んだお芝居、『ピーターとアリス』(Peter and Alice)をノエル・カワード座で見てきた。 これはJ・M・バリーの『ピーターパン』のモデルになったピーター・ルウェイン・デイヴィスとルイス・キャロルの『不思議の国のアリス』のアリスのモデルとなったアリス・リデルの邂逅(実際に起こった出会いをもとにしているらしい)を描いたものである。まあ一言で言うと若いピーターと老いたアリスがそれぞれの「世界で最も有名な児童文学の主人公になる」という特異な経験を交換しあう話、ということになるのかもしれないが、すごく面白いけど実につらい話だった。 と、いうのも、アリスもピーターもバリーとキャロルという作家と出会ったことでその後の人生を変えられてしまったというか、子供にしては強烈すぎる体験をし(2人とも性的虐待はされ

  • 学者つらい映画にして女性映画〜『アリスのままで』 - Commentarius Saevus

    『アリスのままで』を見てきた。コロンビア大学で教えている言語学の研究者、アリス・ハウランド(ジュリアン・ムーア)が難病である若年性アルツハイマーにかかり、記憶をどんどん失っていく様子を描いた作品である。 結論から言うとこの作品はものすごい学者つらい映画であり、またたいへん丁寧に作られた女性映画である。世の中には学者つらい映画というジャンルがあると個人的に思っており、『アベンジャーズ』(ブルース・バナーとトニー・スタークの待遇の違いを見よ)とか『リトル・ミス・サンシャイン』(スティーヴ・カレル演じるフランクが自殺未遂したプルースト学者)などがこれに該当するのだが、『アリスのままで』はこれらをはるかにしのぐ学者つらい映画である。アリスはたいへん優秀な研究者なのだが、病気になることで自分の拠り所であった知性がガラガラと崩れていく。病気に気付いてショックを受けた後、毎日毎日、少しずつ認知機能が失わ

    学者つらい映画にして女性映画〜『アリスのままで』 - Commentarius Saevus
    symbioticworm
    symbioticworm 2015/09/15
    観てから読む。
  • 女に幻想持ちすぎじゃない?『彼は秘密の女ともだち』(ネタバレあり) - Commentarius Saevus

    フランソワ・オゾン監督の最新作『彼は秘密の女ともだち』を見てきた。 主人公は親友ローラを失ったクレール(アナイス・ドゥムースティエ)。ショックを受けているクレールは夫ジルにすすめられたこともあり、亡きローラの夫ダヴィッド(ロマン・デュリス)と娘のリュシーを訪ねるが、そこでダヴィッドがローラの服を着て女装しているのを発見する。ダヴィッドの話によると、ローラと結婚する前から女性の服を着たい気持ちがあり、ローラと結婚している間はその気持ちが抑えられていたが死後にまたその気持ちが強くなったのだという。クレールはこの秘密を黙っていることを誓い、ダヴィッドのペースにまきこまれて彼の女性としての暮らしを助けることになるが… この作品、ロマン・デュリスの女装は可愛いし(趣味の問題なので可愛いと思わない人のほうが多いかもしれないが)、デュリスもクレール役のドゥムースティエも演技はとても良かったと思うのだが、

    女に幻想持ちすぎじゃない?『彼は秘密の女ともだち』(ネタバレあり) - Commentarius Saevus
    symbioticworm
    symbioticworm 2015/09/14
    さえぼう先生も『わたしはロランス』の評価高いのね。そのうち観よう……。