簡単なたとえ エントロピーの正体を理解するために、次のような小道具を用意して考えよう。 次の図のように容器の内部を 6 つの領域に分けて番号を付ける。 特に仕切りを作る必要はない。 ここでサイコロを一回振って、出た目と同じ番号の場所に玉を一つ置く。 これを 100 回も繰り返せば、100 個の玉は 6 つの領域にほぼ均等に置かれることになるだろう。 経験上そうなることを知ってはいるが、なぜそうなるのだろうか。 逆に質問をこう変えると分かりやすい。 全ての玉が左端に集まったりしないのはなぜだろうか。 それは確率の問題である。 左端に集まるためのサイコロの目の組み合わせは、 100 回とも 1 の目が出るという一通りしかないからだ。 玉が全体にほぼ均等に散らばるのは、それを実現するようなサイコロの目の出方が、 他と比べて圧倒的に多くあるからだと言える。 玉が 1 だけに集まる組み合わせは一通り
測定値とは何だろうか? 我々は多数の粒子の集団を観測することで、 その集団を代表するようなごく僅かな物理量だけを測定値として得る。 例えば、圧力とか、温度とか、比熱とか。 それらは一体、何を測った事になるのだろうか。 このような物理量は集団が平衡状態に達している時にだけ意味を持つ。 なぜなら、非平衡状態では場所や時間による値の揺らぎが大き過ぎるため、 測定した値が全体を代表する値だとは言えないからである。 それでも、統計力学が非平衡系を扱えないというわけではない。 しかしそれは最近になって発展して来た分野であるし、 かなり難しそうでもあり、私もまだ詳しくは知らないので今しばらくは話を平衡系に限る事にしよう。 しかし平衡系であっても、ごくごく短い時間範囲に限ったならば 揺らぎは生じているのではないだろうか。 例えば、粒子が容器の壁を叩き付ける力などを思い浮かべてみるといいだろう。 我々が測定
ホーム コンテンツ 相対論(No.002) 『「相対論」はやはり間違っていた』はやはり間違っていた 『「相対論」はやはり間違っていた(早坂秀雄、後藤学、窪田登司、他著:徳間書店)』に対する反論です。 この本は相対論に対する典型的な誤解が網羅されていた『アインシュタインの相対性理論は間違っていた』の続編とでも言うべき本で、輪をかけて混沌としています。その一番の原因は、本書はそれほど科学的ではなく、単に思想・信条を吐露しただけという記述も多いからです。そういうわけで、本書は前書よりも大部になっているにも関わらず、見るべき部分は少ないと言ってよいでしょう。 なお、あらかじめ述べておきますが、例によって著者達自身を批判するつもりは全く有りませんし、思想・信条についてあれこれ言うつもりも毛頭ありません。 常識をもって相対論を考え直す:森野正春氏 この章で述べている事はただ一つ。 『時計が遅れるという
実は変分法と同じ内容 ここでは「汎関数微分」を物理から離れて説明しようと思う。 前にも話したが、汎関数微分というのは、 第 3 部の「ベルヌーイの問題提起」のところで説明したのと論理的には同じ内容である。 しかしそうは言われても、 じっくり考えてみないとどこまでが同じなのかなかなか気付けないものだ。 普通の微分があらゆる分野のあらゆる場面に使われているように、 汎関数微分も色んな場面で利用されている。 最速降下線問題に限って使うような話ではないわけだ。 特定の具体例に縛られて思考を狭めてしまうことが無いように、 論理の要点だけをもう少し抽象的にまとめ直しておこうと思うのである。 抽象的にとは言っても、難し過ぎることにはならないだろうから安心して欲しい。 厳密な話をするつもりもないので、過度の期待はしないでもらいたい。 要するに私自身が何となく納得が行かず、もやもやしたものを感じ、 それを晴
1.母集団と標本 例えば「群馬県の高校生の学力調査」を行おうとしたとき、母集団は"群馬県に存在するすべての高校生"ということになります。しかし実際には群馬県に存在するすべての高校生(すなわち母集団)に対して調査を行うのは難しいでしょう。そこで母集団の中から何人かを抽出(サンプリング)して、そこから得た代表値をもとに母数を推定したりするわけです。ここでいう「そこから得た代表値」というのは、例えば標本平均だとか標本分散、標本標準偏差などのことを指しており、母数というのは母集団の代表値(すなわち母平均や母分散など)のことをいっています。 2.全数調査と標本調査 母集団の構成員すべてに対して調査を実施するのは困難だから、母集団から何人かをサンプリングして調査を行うと説明しました。でも母集団の構成員すべてに対して調査が行われるような場合もあり、国勢調査などがその例としてあげられるでしょう。ここで、母
ストークスの定理とは ストークスの定理はベクトルが定義されている空間内での 線積分を面積分に変換する便利な公式である。 考え方はガウスの定理に似ているが、 完全に納得するためにはガウスの定理より少々の根気が必要かもしれない。 しかし一度イメージが出来てしまえばとても理解しやすい公式である。 ストークスの定理は次のような式として表される。 これはベクトルの回転を表す量なので「rotation」を略して と書く。 教科書によっては と表記しているものもある。 この面倒な組み合わせがなぜベクトルの回転を表すのかという説明は最後にすることにしよう。 式の意味 上に書いたストークスの定理の左辺は線積分になっている。 線積分をするためにはコースを決めなくてはならない。 この定理の場合どんなコースを選んでもいいのだが、 ただ一つの条件として空間内をぐるっと一周した後で元の位置に戻ってきて輪を作るような
電磁場の熱平衡 物質が熱放射を行っていることはかなり前から知られていたが、 その正体が電磁波であることは電磁気学が完成に近付いてようやく 明らかになったのである。 もし物質が熱放射を行う一方だとすると、どんどんエネルギーを失って冷えてしまうだろう。 いや、実際そういうことはあるのだ。 天気予報などで「放射冷却現象」というのを時々聞くことがあるだろう。 良く晴れて雲一つない日には、 地表からの熱放射が何にも遮られることなく 宇宙空間へ向けてどんどん逃げてしまうため、気温が急激に下がったりする。 しかし断熱容器の中に置いた物体の温度が勝手にどんどん下がってしまうことはない。 全てのエネルギーが電磁場に渡されるなんてことはなくて、 およそ一定の温度に落ち着くのである。 これは電磁場と物質の間に一方的でない熱のやり取りがあって、 やがて熱平衡と呼べる状態に達するからであろう。 すると、電磁場にも温
失敗の記録・あらまし 分光光度計の原理 ディジタル分光光度計 新製品の生涯 もくじにもどる 分光(吸光)光度計の原理 分光吸光光度計(absorption spectrophotometer)は、単色光を作り出して、これを試料に照射し、透過した光の量を測定して、試料の、その波長における吸光度を求める。 吸光度が、試料中の吸光物質の濃度に比例するところから、定量分析の重要な道具として便利に用いられる。 下図に、原理的な装置の構造を示す。 図の上部は、分光器を主体とする光学系で、光源ランプの白色光をプリズムを使って分光し、単色光をスリットから取り出して、試料を透過させ、光電子増倍管で光の量を検出する。 図の下部に示す電気系によって、光量を精密に求める。 用いる単色光は、測定対象物質がよく吸収し、他の共存物質による吸収の影響は無視できる波長を選ぶ。(この前提条件を満たすことが難
三種の赤方偏移 宇宙のどこかの、ある原子から放たれた光は、 遠い距離を旅した末に地球に届く。 しかしその光の振動数は発射された時と比べて ごくわずかだが低くなってしまっていることが多いということが分かった。 可視光のスペクトルを調べた時、 全体的に波長の長い赤色の方へとずれるという現象として観察されたので 「赤方偏移」と呼ばれるようになった。 同様の現象は光だけではなく、 電磁波と呼ばれる領域でも同じように起こっていることが後に確認されたが、 それでも赤方偏移と呼ぶのである。 そのような現象が起きる原因としては今のところ三種類の 仕組みがあると考えられている。 その一つは「ドップラー効果」だ。 音のドップラー効果と同じように光でも同様の現象が起きるだろうということは、 特殊相対論が発表されるかなり前から指摘されていたのだが、 長らくの間、実験で確認するのは難しかった。 後に特殊相対論が出現
武田邦彦氏と洋泉社に対して謝罪を求める申し入れ書を提出しました! ・『環境問題はなぜウソがまかり通るのか』に関して申し入れ書(2008年4月16日付) ・『環境問題はなぜウソがまかり通るのか』の問題点(会報第73号 2008年4月25日発行) ・武田邦彦氏と洋泉社からの回答(2008年5月28日付) ・武田邦彦氏と洋泉社への再質問(2008年7月6日付) ・武田邦彦氏と洋泉社からの回答(2008年7月27日付) ・武田邦彦氏と洋泉社への再々質問(2008年8月28日付) ・『環境問題はなぜウソがまかり通るのか』のウソに対する古紙ネットの見解(会報第76号 2008年12月4日発行) ・古紙ネット見解に対する洋泉社からの反論書簡(2008年12月17日付) NEW! ・『環境問題はなぜウソがまかり通るのか』のウソに対する古紙ネットの最終見解(2009年2月18日付) NEW
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