ブックマーク / academist-cf.com (6)

  • 【特別寄稿】深海生物「テヅルモヅル」とは何者か?

    これまでacademist journalにテヅルモヅルに関する記事をいくつか寄稿してきたが、せいぜい「深海生物である」という説明にとどまっていたように思う。稿では、テヅルモヅルとはどういう生きものであるかを、学術的にみなさまにご説明したい。 テヅルモヅルの分類 テヅルモヅルは、学術上、「棘皮動物門(もん)のクモヒトデ綱(こう)」に分類される。棘皮動物とは、ウニ、ナマコ、ヒトデを含むグループであり、クモヒトデとは、腕が細長いヒトデのような形をした生きものである。 その形や、クモ「ヒトデ」という名前のせいか、よく「クモヒトデはヒトデのいちグループですか?」と聞かれることがあるが、ヒトデとクモヒトデは「綱(門のひとつ下の階級)」のレベルで分けられる別の分類群である。我々に近いところに置き換えてみると、魚綱と両生綱くらいの違いに相当する(2)。 クモヒトデとヒトデの一般的な体制。メナシクモヒト

    【特別寄稿】深海生物「テヅルモヅル」とは何者か?
  • ナメクジの出現を予測する!- 市民科学と最新統計の融合

    外来種問題は突然に 2014年7月某日、札幌市の円山原始林で私が出会ったのは、体長15cmもの巨大な豹柄のナメクジ、マダラコウラナメクジでした。私はそれを知っていました。過去に一度だけ、ドイツ・ドレスデンの森の中で見たことがあったからです。北欧原産のナメクジがどうしてここに? 慣れ親しんだ円山の森に現れた、不似合いな新参者との突然の出会いに、目眩がしました。私の知る北海道の生態系は、これからいったいどうなってしまうのか? 我々ヒトの生活への影響は? 体長15 cmほどのマダラコウラナメクジ 市民のブログが教えてくれた 予期せぬ出会いに衝撃を受けた私は、研究室に戻るや否や、飛びつくように現状を調べ始めました。わかったことは、マダラコウラナメクジが2006年に茨城県で最初に侵入・定着が確認されたということ、さらに2010年には福島県、2012年には長野県にも侵入し勢力を拡大しているということで

    ナメクジの出現を予測する!- 市民科学と最新統計の融合
  • 最古の学問「天文学」を世界中の子どもたちに! | academist (アカデミスト)

    大塚美穂 宇宙、星、天体観測——。なにかワクワクする響きがあります。最も古くから存在する学問のひとつである天文学には、人間の根底に響く、文化のような側面があるという海部さんと縣さん。「子どもたちに天体望遠鏡を届け、天体観測の機会を身近につくる」ことで、人間の素養としての宇宙への関心を育むことを目指します。日から世界にも広げていきたいという今回のチャレンジに応援をよろしくお願いします! 科学の一分野を超える「天文学」 天文学には不思議な魅力があります。たとえば、宇宙の大きさを知ることで、日々の悩みが小さなことに感じられることもあるでしょう。また、星にはなにか心に響くものがあり、夢や希望を与えてくれることもあります。 私たち「子どもたちに天体望遠鏡を届ける会」は、土星の環や金星の満ち欠けが観察可能な組み立て式簡易天体望遠鏡キットをつくり、全国の子どもたちに届けたいと思い、2008年から活動を

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  • 文学のなかの〈恐竜〉を求めて(前編)

    私の研究は英語圏文学で、包括的な関心としては、19世紀から20世紀初頭における動物の表象、動物の近代的諸制度に興味があります。現在は、『ユリシーズ』(Ulysses)などの著作で知られるアイルランドの作家ジェイムズ・ジョイス(James Joyce; 1882-1941)と動物の関わり合いを中心に研究を行っています。研究内容を紹介する上では複数の対象を思いつきますが、『ジュラシック・ワールド』(2015)と『シン・ゴジラ』(2016)の記録的な大ヒットのこともあり、今回は動物のなかでも最も遅く人類知に触れた古生物を選びたいと思います。そしてジョイスがある古生物に言及しているたった一行の糸口から、膨大な記憶や歴史文化、言説の一部を引き出すことで、文学研究という学問の魅力を伝えられればと思います。 *** ジョイスは決して恐竜や古生物に数多く言及する作家ではありません。だからこそ不思議に映る

    文学のなかの〈恐竜〉を求めて(前編)
  • ニホンアマガエル、実は日本国内東西で別種か

    東西日でちがうニホンアマガエル 古くから日人に親しまれてきたカエルのひとつがアマガエルです(図1)。春から夏に掛けて繁殖地の水田に出掛けると、華やかな大合唱が聞こえてきます。夏の終わりから秋に掛けては、繁殖地を離れて拡散し、雨の降りそうな日には人家の庭などから大きな鳴き声が聞こえています。北は北海道・利尻島から南は九州・屋久島まで日の至る所に生息する、ごくごく普通のカエルです。このアマガエルすなわちニホンアマガエルが、実は日の東西で遺伝的に大きく異なることがわかりました。今後の研究の展開によっては、東西で別々の種名がつけられる可能性があります。稿ではその発見の経緯と意義、そしてこれからの調査についてお話しいたします。 ニホンアマガエル (西日:東広島市) 先入観と外圧 2011年秋、一通のメールがドイツの研究者から届きました。ヨーロッパのアマガエルやヒキガエルを使って性決定や進

    ニホンアマガエル、実は日本国内東西で別種か
  • 科学史の研究って、どんなことをしているの? – 国立科学博物館・有賀暢迪研究員に聞く

    科学史という研究分野をご存知だろうか。言葉をそのまま解釈すると、科学と歴史を組み合わせた学問というように捉えることができる。しかしながら、科学という言葉には多様な意味が含まれており、また歴史を調べるにしてもいつからいつまでの出来事をどのように分析するのか等、考える余地が多すぎるように思える。実際のところ、科学史研究はどのように進められているのだろうか。今回、国立科学博物館・有賀暢迪研究員に、科学史研究の基的な考えかたや、実際の研究テーマに関してお話を伺った。 ーー科学史とは、何を明らかにするための学問なのでしょうか。 読んで字のごとく、科学の歴史を明らかにすることを目的としています。ただ、「科学」という言葉で何を指すかは、人によって違うのではないでしょうか。たとえば、教科書や論文に書かれているような知識そのものを「科学」と捉えることができます。この場合、科学的知見が得られて定着するまでの

    科学史の研究って、どんなことをしているの? – 国立科学博物館・有賀暢迪研究員に聞く
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