ブックマーク / shorebird.hatenablog.com (77)

  • 書評 「心理学を遊撃する」 - shorebird 進化心理学中心の書評など

    心理学を遊撃する 作者:山田祐樹ちとせプレスAmazon 書は認知心理学者山田佑樹による,「心理学の再現性問題」についてそれをリサーチ対象として捉えて突っ込んでいった結果を報告してくれる書物である. 「心理学の再現性問題」は,心理学者にとって自分のリサーチの基礎ががらがらと崩れていくかもしれないような重苦しいテーマであるに違いない.しかし著者はそれを軽やかに取り上げ,様々な角度からつつき,質を見極めようとする.物語としてはその突貫振りが楽しいし,再現性問題が非常に複雑な側面を持ち,かつとても興味深い現象であり,到達点がなお見えない奥深いものであることを教えてくれる.それはまさに最前線からの「遊撃」レポートであり,迫力満点の一冊だ. 第1章 心理学の楽屋話をしよう 第1章では心理学の「楽屋話」が書かれている.まず著者の駆け出しのころの研究(ランダムネスの知覚),面白い効果を実験で示せたと

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  • 書評 「不平等の進化的起源」 - shorebird 進化心理学中心の書評など

    不平等の進化的起源: 性差と差別の進化ゲーム 作者:ケイリン・オコナー大月書店Amazon 書は,科学哲学者でありかつ進化ゲーム理論家であるケイリン・オコナーによる進化ゲームの均衡解として(差別的偏見がなかったとしても)社会的カテゴリー間の不平等をもたらす慣習や規範が創発しうることを丁寧に論じたである.社会的カテゴリーとしては特にジェンダーが大きく取り上げられているが,人種や宗教などにも当てはまる議論になっている.原題は「The Origins of Unfairness: Social Categories and Cultural Evolution」. 序章で各章の概略と文化進化の簡単な解説(文化進化の存在は書において進化ゲームを用いる基礎的な前提になる)をおいた後に論に入る. 第1部 社会的強調による不平等の進化 第1章 ジェンダー,協調問題,協調ゲーム 最初のジェンダーと

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  • 書評 「ダイナソー・ブルース」 - shorebird 進化心理学中心の書評など

    ダイナソー・ブルース: 恐竜絶滅の謎と科学者たちの戦い 作者:尾上 哲治発売日: 2020/02/21メディア: 単行 恐竜がなぜ絶滅したのかというのは1970年代までは全くの謎とされ,様々な説が提唱されてカオスのようだった.そこに1980年彗星のように現れたのがノーベル物理学賞受賞者のルイス・アルヴァレズと地質学者であるその息子ウォルター・アルヴァレズが提唱した小惑星衝突説だった.メディアが大きく取り上げ,(漸進的進化を否定したい)スティーヴン・ジェイ・グールドが熱狂的に支持したこともあり,衝突説は巷に一気に広がった.私も最初にこの話を「日経サイエンス(当時は「サイエンス」という雑誌名だった)」で知り,直後に出版されたブルーバックス「恐竜はなぜ絶滅したか:進化史のミステリーに挑む」を読んで,この衝撃的な展開に熱中した.しかし古生物学界は一気にこれを受け入れたわけではなく,衝突否定論,漸

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  • 書評 「進化のからくり」 - shorebird 進化心理学中心の書評など

    進化のからくり 現代のダーウィンたちの物語 (ブルーバックス) 作者:千葉聡発売日: 2020/02/13メディア: Kindle書は「歌うカタツムリ」で極上の進化生物学物語を届けてくれた千葉聡による講談社ブルーバックスの一冊.書名からは適応進化についての概説書のように見えるが,そうではなく,千葉が出合った様々な研究者(その多くは千葉と同じく島嶼生物や貝類を専門とする)の研究物語を語っていくものだ. 第1章はガラパゴスを訪れた千葉によるホテルのテラスの描写から始まる.千葉はグラント夫のフィンチのをそこで読んでいるのだ.そして話はグラント夫の研究,ダーウィンの航海と考察そしてフィンチの伝説*1を語り,(グラント夫に自分の論文が引用されているのを発見し)進化の研究には誰でも参加できるといって書の幕を上げている. 第2章から第4章の前半まで巻き貝の巻き方向のテーマが採り上げら

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  • 書評 「世界は美しくて不思議に満ちている」 - shorebird 進化心理学中心の書評など

    世界は美しくて不思議に満ちている――「共感」から考えるヒトの進化 作者: 長谷川眞理子出版社/メーカー: 青土社発売日: 2018/09/19メディア: Kindle版この商品を含むブログを見る 書は進化心理学者である長谷川眞理子による様々なところに発表した小文を集めたいわばエッセイ集になる.序文のあと大きく3部に分けられており,第1部で人生や心についてのエッセイ,北極紀行などの様々なテーマを扱ったものを集め,第2部で進化心理学や行動生態学からわかってきたヒトという生物についての解説文,第3部でそれらの知見から社会問題を考える小文が集められている. 序 序文としては今回書き下ろしのものではなく,3.11直後の2011年5月に書かれた「文明の先を見据える」という寄稿が採用されている.現在の文明の状況が生態系の中の1生物種としては異常なものであること,(原子力発電に対してどういう立場に立とう

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  • 「進化心理学を学びたいあなたへ」 その14 - shorebird 進化心理学中心の書評など

    進化心理学を学びたいあなたへ: パイオニアからのメッセージ 作者: 平石界,長谷川寿一,的場知之,王暁田,蘇彦捷出版社/メーカー: 東京大学出版会発売日: 2018/05/30メディア: 単行この商品を含むブログ (11件) を見る 第5章 文化と知性を進化から考える その1 5.1 文化の進化抜きにはヒトの進化は語れない ピーター・リチャーソン リチャーソンはロバート・ボイドとともに文化進化についての分析フレームを提示していることで有名な生態学者だ.進化心理学者とは言い難いし,そのナイーブなグループ淘汰擁護論やヒトの利他性をグループ淘汰と文化との共進化で説明しようとする議論には首をひねらざるを得ないところがある.ここでは文化進化研究の第一人者として寄稿を依頼したということだろう.寄稿の中身も文化進化についてのものになっている. 文化については「個体の行動に影響を与えうる情報のうち,教育

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    symbioticworm
    symbioticworm 2018/10/23
    “現在の社会的ニッチつまりECAへの適応は社会的に賢い行動(生存や繁殖という適応度を高める行動)として表れる.制度アプローチの核は何がある行動を社会的に賢いものにするのか(適応価を上げるのか)を分析”
  • 書評 「知ってるつもり」 - shorebird 進化心理学中心の書評など

    知ってるつもり 無知の科学 (早川書房) 作者: スティーブンスローマン,フィリップファーンバック出版社/メーカー: 早川書房発売日: 2018/04/15メディア: Kindle版この商品を含むブログを見る 書はスティーヴン・スローマンとフィリップ・ファーンバックという認知学者2人によって書かれた「無知」についてのだ.原題は「The Knowledge Illusion: Why We Never Think Alone」. 書の中心的なテーマは,「ヒトは自分が何かを知っていると思いこんでいるが,ほとんどの場合には断片的で不完全な知識しか持っていないし,そのことについて自覚していない.そしてそれはヒトが集団生活をする中で,お互いを外部記憶として使っていることに由来している」というものになる.私はこの二人の学者の業績については何も知らなかったが,スティーヴン・ピンカーが推薦文を寄せて

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  •  「進化はモラルを説明できるか」 - shorebird 進化心理学中心の書評など

    東大文学部の社会心理研究室では「新・社会心理学コロキウム」として国内外で活躍する研究者を招聘したコロキウムを郷で開催している.先月25日開催コロキウムには数理生物学者の大槻久が登場するということで参加してきた.演題は「Can Evolution explain morals?:進化はモラルを説明できるか」 縁者紹介では「協力する種」の訳者解説にも触れていた.あの解説はあのの問題点をきちんと読者に開示していて確かに見事だった. 進化はモラルを説明できるか 大槻久 これまでヒトの協力についてずっと研究してきた.モラルの定義は分野によって考え方が違うが,それに関連する問題をモデルを組み立てて調べてきた. 特に興味があるのは「間接互恵性」の説明だ.(ここであまり進化的な議論になれていない参加者のために間接互恵性の基的な説明がなされる) 直接互恵性はヘルプ行動(ここではコストがかかることが前提

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  •  「Darwin Comes to Town」 - shorebird 進化心理学中心の書評など

    Darwin Comes to Town (English Edition) 作者: Menno Schilthuizen出版社/メーカー: Quercus発売日: 2018/02/08メディア: Kindle版この商品を含むブログ (1件) を見る 書は現代の都市を1つの進化環境と捉えてそこでの様々な進化現象についての科学啓蒙書.著者のメノ・スヒルトハウゼンはオランダのライデンにあるナチュラリス生物多様性センター(Naturalis Biodiversity Center)に所属する進化生物学者であり,前著「ダーウィンの覗き穴」では生殖器に焦点を絞った性淘汰を濃密に扱って大変面白かった.というわけで新刊が出ると聞いて迷わず購入した一冊になる. 都市への入り口 冒頭で採り上げるのはロンドンの地下鉄の蚊だ.これは地下の暖かな環境下で1年中繁殖するようになったアカイエカであり,最初にロンドン

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  •  「したがるオスと嫌がるメスの生物学」 - shorebird 進化心理学中心の書評など

    したがるオスと嫌がるメスの生物学 昆虫学者が明かす「愛」の限界 (集英社新書) 作者: 宮竹貴久出版社/メーカー: 集英社発売日: 2018/03/16メディア: Kindle版この商品を含むブログ (1件) を見る 書は昆虫学者宮竹による性的コンフリクトを扱った一冊.序章にあたる「はじめに」がかなり率直で楽しい.まず虫にも個性があることが強調され,そして昆虫の交尾行動を研究し続けてきた著者による「虫のオスにとってのモテの極意」が述べられている.それはまず「アクティブ&マメであること」だが,さらに重要なのは「アクティブになるタイミング」なのだそうだ.そして最後に著者の学者としての心意気も書かれている.現在岡山大学の教授である著者は数年前に管理職となる.そして「これを続けていくと,管理職手当は増え,定年退職後には新たな就職先も準備され,困らない老後を過ごせる」のだが,やってみるとそれは苦痛

  •  「The Hidden Agenda of the Political Mind」 - shorebird 進化心理学中心の書評など

    The Hidden Agenda of the Political Mind: How Self-Interest Shapes Our Opinions and Why We Won't Admit It 作者: Jason Weeden,Robert Kurzban出版社/メーカー: Princeton University Press発売日: 2014/10/05メディア: Kindle版この商品を含むブログ (2件) を見る 書は進化心理リサーチャーでワシントンの法律家でもあるジェイソン・ウィーデンと進化心理学者のロバート・クルツバンによるアメリカ政治の党派性がどこから来たのかを読み解くだ.基的に進化心理学的な洞察をデータで裏付けしていくになる.アメリカは近年とみに2大政党支持者間の分断が大きくなり,民主党支持のブルーステートと共和党支持のレッドステートにくっきり色分けさ

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    symbioticworm
    symbioticworm 2018/04/04
    “ヒトはインセンティブに反応して行動するが,その真の動機は『後付けの理屈づけをする報道官』に過ぎない『意識』からは隠されている”
  •  「猫はこうして地球を征服した」 - shorebird 進化心理学中心の書評など

    はこうして地球を征服した: 人の脳からインターネット、生態系まで 作者: アビゲイル・タッカー,西田美緒子出版社/メーカー: インターシフト発売日: 2017/12/27メディア: 単行この商品を含むブログ (3件) を見る 書は(もちろん)ネコ好きで,子供時代からネコを飼い続けているサイエンスライターのアビゲイル・タッカーによるネコについての科学啓蒙書だ.私はどちらかといえばイヌ派だが,そういえばネコについてはきちんと読んだことがないなと思って手に取った一冊になる.原題は「The Lion in the Living Room: How House Cats Tamed Us and Took Over the World」. 序章では書の中心テーマが提示される.それは「ネコは我々の役に立っているようには見えないし,最近では野鳥殺しの侵略的外来種としての悪評も高いのに,なぜこんな

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    symbioticworm 2018/03/31
    “ネコは,そのヒトの赤ん坊と同じような大きさ,ニャーという鳴き声,両眼視可能なとても大きな目によってヒトの「ベビー・リリーサー」を刺激する.彼等は私たちに社会寄生しているのだ. ”
  •  長谷川寿一先生・眞理子先生の節目を祝う会 - shorebird 進化心理学中心の書評など

    人間行動進化学会(HBESJ)創設者の長谷川寿一・眞理子ご夫にとり,今年度は,寿一先生がこの3月で東大を退官,眞理子先生が昨年4月に総研大の学長に就任という節目の年にあたるということから記念講演会と謝恩パーティによる「節目を祝う会」が2月23日に開かれる運びとなった.光栄にも私にもご案内いただいたので,枯れ木も山の賑わいと参加させていただいた.ありがたく嬉しい限りである. 場所はご夫ご成婚の地でもある東京神田錦町の学士会館.受付を済ませると,式次第が特製のクリアホルダーとともに手渡される.キクマルのシルエットの中にクジャクやダマジカなどの動物がデザインされたしゃれたものだ.催しの英語タイトルは「Celebrating the history of Hasegawa & Hasegawa Labs」ということになるらしい. 記念講演会 講演会の司会は佐倉統.司会も業績紹介者もいろい

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    symbioticworm
    symbioticworm 2018/02/27
    “D計画”、悪の組織の秘密計画みたいでいいなあ(笑)。わたしもこのブログの書評がきっかけで手に取った書物は数知れず。世界に広がるD計画の輪!
  •  Enlightenment Now その1 - shorebird 進化心理学中心の書評など

    Enlightenment Now: The Case for Reason, Science, Humanism, and Progress (English Edition) 作者:Pinker, Steven発売日: 2018/02/13メディア: Kindle書はスティーヴン・ピンカーの2018年2月の新刊だ.ピンカーはこのような主題を扱った前著「The Better Angels of Our Nature」で,世界に暴力の減少傾向が実在することを示し,その要因を実に詳しいデータとともに解説した.それは私の目から見ると圧倒的に説得的だったが,進歩嫌いのインテレクチュアルには,なお頑強に抵抗する人々が存在したらしい.ピンカーも「人々が悲観的に傾く原因として,ニュースビジネスの傾向と心理学的バイアスがあることは理解していたが,それでもデータとグラフで説得できると思っていた.しか

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  •  「Improbable Destinies」 - shorebird 進化心理学中心の書評など

    Improbable Destinies: Fate, Chance, and the Future of Evolution (English Edition) 作者: Jonathan B. Losos出版社/メーカー: Riverhead Books発売日: 2017/08/08メディア: Kindle版この商品を含むブログ (1件) を見る 書はカリブ海のアノールトカゲのリサーチで有名な進化生物学者ジョナサン・ロソスによる「実験による進化仮説の実証」にかかるであり,実証対象として取り上げるのは「進化における偶然と必然」というテーマになる.これは「進化における浮動と淘汰」とちょっと似ているが,すこし観点が異なっていて,「自然淘汰による進化は(歴史をもう一度やり直しても)同じ経過をたどるのか」というものになる.このテーマはスティーヴン・ジェイ・グールドが「ワンダフル・ライフ」で「バ

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  •  「反共感論」 - shorebird 進化心理学中心の書評など

    反共感論―社会はいかに判断を誤るか 作者: ポール・ブルーム,高橋洋出版社/メーカー: 白揚社発売日: 2018/02/02メディア: 単行この商品を含むブログ (2件) を見る 以前私が書評したポール・ブルームによる「Against Empathy: The Case for Rational Compassion」が「反共感論」という邦題で邦訳出版されるようだ. 原書の私の書評はhttp://d.hatena.ne.jp/shorebird/20170103 書は,発達心理学者で道徳獲得や質主義についてリサーチを行っている著者による,世間にはびこる「共感こそ,道徳の向上,そして差別のない世界を作るために最も重要な要素であり,手放しで礼賛されるべきものだ」という風潮に対する批判を行うである.書の基メッセージは「共感は絶対的な善などではない.それは容易にバイアスし邪悪な目的にも

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    symbioticworm 2018/01/28
    邦訳出るんだ! 以前の書評読んでとても気になっていたので訳出されるのはありがたい。
  •  「モラルの起源」 - shorebird 進化心理学中心の書評など

    モラルの起源?実験社会科学からの問い (岩波新書) 作者: 亀田達也出版社/メーカー: 岩波書店発売日: 2017/07/20メディア: Kindle版この商品を含むブログ (2件) を見る 書は社会心理学者亀田達也による「モラルの起源」と名打った一冊.このテーマについてはこれまでも様々な議論があり,私としても大変興味があるところでもあり,手に取った一冊ということになる. 冒頭では書の書かれた経緯が記されている.それはここ十数年に渡り繰り返されてきた「教育学部や文学部などの文系の学問は社会の役には立っていないのではないか」という批判の流れが,ついに2015年6月に文科相から全国の国立大学に対して教育養成系学部,人文社会科学系学部について速やかな組織改革を求める公式通知が出されるという形になり,その中で「組織の廃止や社会的要請の高い分野への転換」に努めるように明示されたことが背景にある.

    symbioticworm
    symbioticworm 2018/01/10
    グリーンにも言及されてるようで面白そう。
  •  「Words and Rules」 - shorebird 進化心理学中心の書評など

    Words and Rules: The Ingredients Of Language (English Edition) 作者: Steven Pinker出版社/メーカー: Basic Books発売日: 2015/07/14メディア: Kindle版この商品を含むブログを見るWords And Rules: The Ingredients of Language (SCIENCE MASTERS) (English Edition) 作者: Steven Pinker出版社/メーカー: Weidenfeld & Nicolson発売日: 2014/05/22メディア: Kindle版この商品を含むブログを見る*1 書はスティーヴン・ピンカーによる1999年に刊行された一般向けのであり,英語に現れる動詞の過去形や名詞の複数形の規則型と不規則型を深く掘り下げて,ヒトの心にある「概念

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  •  「What Women Want」 - shorebird 進化心理学中心の書評など

    Mate: Become the Man Women Want (English Edition) 作者: Tucker Max,PhD, Geoffrey Miller出版社/メーカー: Little, Brown and Company発売日: 2015/09/15メディア: Kindle版この商品を含むブログ (1件) を見る 書*1は,酒と女性についてのユーモアエッセイストとして有名なタッカー・マックスが,「Mating Mind(邦題:恋人選びの心)」でヒトの多くの特徴について性淘汰産物ではないかと議論したジェフリー・ミラーと一緒に書いた,いわば「オタク*2のための進化心理学的な知見を生かした『女性とつきあうためのハウツー書』」である. 序章で書執筆にいたる経緯が書かれていて面白い. 書はある年のサンクスギビングにミラーがガールフレンドのいない若いいとこたちと話をしたときの

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  •  「化石の植物学」 - shorebird 進化心理学中心の書評など

    化石の植物学: 時空を旅する自然史 (Natural History Series) 作者: 西田治文出版社/メーカー: 東京大学出版会発売日: 2017/06/24メディア: 単行この商品を含むブログ (1件) を見る 書は植物進化を化石から考察する専門書.東京大学出版会によるNatural History Seriesの一冊である.著者は古植物学者の西田治文.40年にわたり植物化石を研究し続けてきた著者による自分のリサーチ歴も振り返りつつの充実の著書だ.冒頭の「はじめに」では,書執筆の真の意図は,植物の化石を知ることで読者に生物多様性についての“生物学的教養”を深めて欲しいということであると説明し,さらに「書はとても難解かもしれない」と宣言し,読者に覚悟を要求している.というわけで私も居住まいを正して読ませていただいた. 第1章 植物化石と古植物学 ここでは古植物学そのものの歴

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