国立大学法人・奈良教育大付属小(奈良市)で16日、教育法令を無視した不適切な指導の実態が明らかになった。校長の権限が機能せず、一部の教員が実権をにぎる閉鎖的な環境が問題の根底にあったとみられる。先進的な授業研究を担い、全国の学校の模範となる役割が期待される国立校の不祥事は、開かれた教育現場の必要性を物語っている。 「人事が硬直した閉鎖的な環境が、一部の教員たちによる独善的な授業を許してきたのだろう」。学校関係者の1人は、今回の問題の背景をこう指摘する。 公立校では、教員は学校間を転任し、教育委員会で教育行政に携わりながらキャリアを重ねていくのが一般的なステップだ。国立校でも、地域の教委と交流を行い、校外から教員を受け入れているケースは少なくない。 しかし、関係者によると、同校では令和元年度以降、奈良県教委から校長や教員の派遣を受けるようになるまで、長期にわたり校外との人事交流はなかったとい