『殺人犯はそこにいる』著者の清水潔氏が早稲田ジャーナリズムスクールで熱弁【前編】 「世の中を動かす調査報道の出発点は小さな"気づき"」 早稲田大学ジャーナリズムスクールでの特別講演 新聞社に入社した新人記者がまずやらされるのが地方支局での「サツ回り(警察取材)」だ。ここでは警察に深く食い込み、捜査情報をいち早く聞き出すことが至上命題になっている。特ダネ競争に勝つためである。 サツ回りは伝統的に新人記者教育の基本になっている。しかし、新聞がもっぱら警察側の情報に頼って事件報道を展開していたら、権力迎合型の記者を育ててしまう恐れもあるのではないか。 新聞は警察など巨大権力ではなく、読者のために存在する。「警察目線」ではなく「市民目線」が重要なのだが、当たり前のことが徹底されないのが新聞界の現状だ。記者教育に事件取材は欠かせないにしても、育てるべきは「事件記者」であって「警察記者」ではない。 ど