近年、「ブラック企業」という言葉が流行っている。昔から労働者を酷使して、使い潰すような企業はあった。産業革命のころのイギリスでも、明治時代の日本でも、当時の本や政府の報告書を見ると、そんな事例が山のようにある。しかし、最近、ブラック企業が問題になっているのは、これとは性格が違う。 どこが違うか。一番明確なのは、いまの日本にしろ、どの先進国もそうだが、産業革命から100年以上たって、きちんと労働者を守る仕組みは確立していることだ。少なくとも法制的には、労働者を酷使して使い潰すなどという無茶はできないことになっている。 なのに、なぜブラック企業がまかり通ってしまうかといえば、いまの若者たちは労働者の権利を知らないからというのが、よく言われる説明だ。だから若者たちに、自分たちにはどんな権利があるか、きちんと教えなければいけない、労働法教育が必要だと言われる。実をいえば、筆者も関わって厚生労働省で