ついに出ました、ロバート・T・キャロル『懐疑論者の事典』(小久保温ほか訳、小内亨ほか日本語版編集、上下巻、楽工社)。 懐疑論者の事典(上) 懐疑論者の事典(下) さすがに「事典」という名を冠しているだけあって、インテリジェント・デザイン論やホメオパシーなどといった典型的なニセ科学のほか、占い、信仰、魔術などといった宗教・呪術的な概念、さらには精神分析に至るまで、懐疑的に見るための視点が詰まっている。他、回帰の虚偽、実用性の虚偽、大数の法則、論点先取りなどといった論理学や統計学に冠する概念まであり、まさに懐疑論者必携のものに仕上がっている。 上巻p.163には「科学」という項目があるが、科学を論じるなら心得ておくべき下りがいくつかある。例えば、 ――――― 科学理論とは、ある特定の範囲の経験的現象のありようを説明するための原理・知識・方法を統合したものである。(p.165) 外なる宇宙空間と