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booklogに関するultimate-ezのブックマーク (163)

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    どこまでも、誠実な話だった。 どこからどうみても、だらしなくてどうしようもない劇作家が主人公で、恋人を不幸にしていく話。冷静に見ればそういう話。 ただ、そんな人間に対して、どこか"羨ましい"という気持ちを抱かせる。 僕も"芸術"に携わる大学を卒業し、今も広義の意味では"ものを作る"仕事をしている。 プロとしてやる以上、お客さんの意向もあるし、〆切もある。その中で、数々の"妥協"をしながらものを作っている。 作り上げるものに関しては、大学生の頃の自分よりはるかにクオリティーが高いし、周りからもそれなりの評価は受けている。でも、"大学生の頃の自分"が今の自分を「スゴい」「羨ましい」と感じるだろうか?というモヤモヤは常につきまとっている。 「あの頃の自分」や「芸術」や、つくりだす「作品」に対して、果たして今の自分は"誠実"といえるのか? そういう思いを抱えながら生きている自分にとって、作「劇場

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    これも一応"叙述トリック"になるのだろうか? いわゆる「映像化不可」のトリックがいくつも使われていて、映像として一目見ることができればミステリーとしては機能しない。 とは言え、主人公が視力を失った人物ということで、読者"だけ"を騙すトリックではなく、感情移入する主人公も同様に騙される側である点が仕掛けとしておもしろい。 "映像"を持たないメディアである小説において、この主人公設定はものすごく効果的に機能していて、普段何気なくやっている小説を読むという行為が、ミステリーにおける"手探り状態で謎の真相に向き合う"という行為とリンクしている。 ストーリー自体は、主人公が"障害者"であることや、真相を探る同期が孫娘の重病にあったり。また謎に深く関係する要素が"戦争孤児"であるなど、ゲンナリするほど重いアイテムが幾重にも重なっている。 そういう意味で、序盤はちょっと読むのが辛い。 ただ、それを乗り越

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    このミス1位ということで期待値を上げすぎてしまったのか、ちょっと"期待はずれ"の印象を持ってしまった。 格ミステリーものとゾンビものの定石をうまく取り込みながらリミックスしている構成は面白かったし、熱中して読んだのは事実。 コンパクトにまとまっていて、格ミステリーとしてのロジカルさも楽しめて、"ゾンビ"という要素によるハラハラ感もあって、楽しい読書にはなったはずなんですが、なんとなく印象に残らない"消化"の読書になってしまった。 あまりに"キャラクターもの"としての狙いが強いのが気になった。単に私の好みではないというだけかもしれないけど。。 "死者"という特殊なアイテムをミステリーのなかでどう活用するか?という点でも、やっぱり山口雅也の「生きる屍の死」とかの強烈さに比べるとちょっと物足りなさが残ったというのが正直なところでした。 "このミス1位"も年によっては「??」となる作品もあるん

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    私はも子どももいる"夫"なんですが、えぐるような、突き刺してくるような、息ができなくなるような小説だった。 とりようによっては"官能小説"で、性描写はなかなかエグい。男として当たり前にやっている行為を女性目線で描かれるとなかなかきつい。愛のある行為と惰性でやる行為の落差が残酷だった。 「ブルー・バレンタイン」という映画で、愛が冷めた状態でのセックスのエグ〜い描写があるんだけど、映像よりもさらにきつい。をこういう気持ちにさせないようにしなくちゃな、と考えさせられる。 主人公や主人公が愛する人たちよりもむしろ、脇役の、主人公を"壊す"人たちのリアリティーがすごい小説だった。とくに夫。 正直、「浮気してる」「借金がある」「暴力を振るう」「ギャンブルをする」というような客観的にみて悪い人間と結婚するほうがまだ楽なんじゃないかと思えるほど、"他人からは魅力的に見える"という地獄は苦しい。 私も、

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    表紙の絵がほぼほぼ編に関係なくて騙された!!この嘘は見抜けなかった。。 物語の最後に"謎"として残るある言葉。 これをあえて"謎"として残した意図もまた、見抜けなかった。 確かに私はいろいろ見抜けなかった…。 https://ultimate-ez.com/2017/08/24/4856/

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    今まで未読だったのを公開した。すごく、良かった。 倒叙ミステリーとしても優秀で、犯人の"隙"がちゃんと高校生らしさだったりで違和感なく。心情として犯人サイドに寄り添いすぎてしまうので、追い詰められていく焦りから、やがて静かに事実を受け入れて最後のアクションに至るまでが、胸に刺さった。 理論的ではなく、感覚的な意味で「じゃあ、他にどうすればよかったんだ」の解がないのも見事だった。

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    現代版&超ライト版の"落語"という感じ。 星新一のショートショートみたいに「すごい!」とはならないけど、過度にひねらずに落ちるべきところに落としていく様式美を楽しむ作品群として、結構おもしろい試みだと思った。

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    物語として綺麗だなとは思うけど、こういう愛され方も愛し方もしたくはないなー、と思った。 僕は月のようではなく樹木のような生だからこそ、生きることや人を好きになることに精一杯向き合えると思うから。

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    Todoistを使いこなすために読んでみた。書いてあることは当たり前のことばかりだけど、ここまでシステムとして落とし込んであるとすごく役に立つ。 タスクに対し「今はやらない」というラベルを貼るのがすごく重要で、"やらないことをやらない"を徹底することで実働の量は変えずにパフォーマンスを数倍〜数十倍にすることも可能なんじゃないかと、すごく期待が持てた。

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    『冷たい校舎の時は止まる』に似た、ちょっと不思議で、ちょっと残酷で、すごく優しい物語。 著者が年をとったのか、読者である私が年をとったのか、それとも子どもができたことが影響しているのか、『冷たい…』と比べると、子どもの目線ではなく、子供を見る大人の目線で物語に接する感覚があり、その変化が面白い。 序盤はじわじわと絶望的な気持ちも追体験しながら、後半の救い、あたたかさには当に優しい気持ちになれる。 自分自身を愛せない子どもたちが、「誰かを愛せる人たち」になっていく様がすごく誇らしく感じられた。 ”ミステリー”要素に対してヒントが出過ぎていて、わかりやすすぎる点が完全にハマれなかった点。 とはいえ全部のオチに気づけたわけではなく、”オオカミさま”の存在の謎には気づかなかった。なんだけど、この設定がちょっと後付け感というか、物語全体の中では浮いている気がして、これもちょっとモヤッとしてしまった

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    何の話やねん!と思えるほどのダイナミックな展開をしていく物語。 ホラーで始まり、サイエンスの比率が増していく展開はリング三部作にも通じるものがあるが、サイエンス部分のスケールの大きさが驚愕する。 それでいて、登場人物たちが考えることはひどく矮小で、それが”宇宙””世界”といったスケールと、人間”個人”のスケールの違いを強く意識させるリアリティがあった。 きっと人間は、終末の直前に実際こんな話をするんだろうなぁ、と。 私もきっと、あと数時間後に宇宙が終わると知ったら、家族のことで頭がいっぱいで、どこか間抜けな会話をするんだろうなぁ。 終盤は著者のキャパを超えていく(失礼?)ようにも思えるが、風呂敷を畳むことを投げたのではなく、最初からこのスケールに風呂敷を放り投げるのが目的だったのかなとも思える。 科学的にどこまで正しいかはよくわからないけれど、あらゆる事象が納得感を持っていて、面白かった。

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    昔読んだリング三部作にさらなる続編があったことを知り読んでみた。…が、これは必要だったのだろうか。。 「リング」好きとして、「らせん」「ループ」は物語としては微妙だな…と思いつつも、ダイナミックな根からのちゃぶ台返し的展開は結構魅力を感じていたが、「エス」「タイド」にはそれも無く、並行世界を描いたということなのか前作で描いた登場人物の人物像を汚すようなストーリーがある点もモヤっとしてしまう。 三部作で終わりで良かったかも。。。

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    作品自体もさることながら、文庫版の辻村深月による解説を読むことに意味があった作品。 作品自体は確かによくできた作品で、後味も含め傑作なのは間違いない。ただ、"よくできた”作品すぎてリアリティーを感じられずにいた。 あらゆる面で辻褄が合いすぎていて、文章がうまいこともあり、サラサラと読めてしまう。 ラストシーンを見ても、"救いがない"という世界を描きたかったにしてはあまりにきれいにまとまりすぎて引っかかりがないというか。 「最期、あの瞬間に彼が間に合えば救われたのに…」とは思えないのがモヤモヤしていた。仮に間に合っていれば救われたかといえば、決してそうじゃないからだ。 そんなモヤモヤとした気持ちにまさに雷を落としたのが辻村深月の解説。 そうか、これは”救いのない物語"ではなく、間違いなく"救いの物語"だったのだ。 「死ぬために生きようとする姿」。 "救いのない人生"の中で、懸命に生き、そして

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    圧倒的。当に美しく、眩い物語だった。「すべての見えない光」というタイトルに反し、最後に心に残るのは確かな"光"だ。 主人公の一人が目の見えない少女なのに、なぜか音は感じず光を感じる文章なのが不思議。 小説を評価するときに、"映像的"と表現するのが良いのか悪いのかわからないけれど、作はとても"映像的"な小説だった。 断片のように細かく区切られた文章が、時間や場所をまたいで複雑に並べられている構成。ただ、時間軸や場面の交錯はプロットを複雑にするのではなく、様々なカットが細かく切り替わっていく映像的な演出のようだった。細かな断片の一つ一つには重要なメッセージがみつからない場面もあるけれど、断片が層になり世界を彩りながら形作っていく。 イメージしたのは宇多田ヒカルの「真夏の通り道」という曲のMVだった。 私はこういう世界観を撮りたくて、GRというカメラを買ったんだけど、映像的な理想像を、まさか

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    作中でも表現されているように、”螺旋階段”を思わせる物語。同じところをぐるぐる回っていて解決になかなか辿りつかないように見えて、着実としっかりと螺旋階段を上りつづけ、ついには”真実”に辿りつく。 後出し的な情報も多く、古典ミステリーのように「証拠はすべてそろったので、さあ推理してみてください!」みたいな場面もあるんだけど、実際は情報は完全には足りてなかったり。 そういうところは気になったんだけど、”鍵の掛かった男”である梨田という人間への興味がぐいぐいとページをめくらせた。 火村英生シリーズの一冊ということで、シリーズを一冊も読んだことが無いとキャラクターの説明があんまりなく、作中に出てくる”謎”が今回の作品だけなのか、シリーズ読者へのサービスなのかがわからないのがちょっと困った。

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    モノを見る視点が一段階上がるようなだった。 特に序盤のホモ・サピエンスという種が他の”人類”の中で唯一の勝者として生き残り、世界の覇者に至るストーリーは興奮した。 ”鶏が先か?卵が先か?”の繰り返しのような、偶然なのか必然なのかもよくわからない様々な要因の重なり合いが今へとつながる様は実に面白い。 そこから中盤は、わりと普通の「世界史モノ」という感じでちょっとダレるものの、現代から未来を語る終盤がまた面白い。 個人的に最大の収穫と言えるのは「日人って○○」と思いがちな特徴が、実は世界的に共通しているということを知った点。 例えば、「日人は平和ボケしてる」とか、「日人は自己肯定感が低い」とか。そういう多くが、日人の特徴ではなく、世界で共通の”現代人の特徴”であるということを知れたのが収穫だった。 (途中、翻訳であることを忘れるほど、「そうそう、日人ってそういうとこあるよなー」と思

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    ピアノコンクールの予選から選までを余さず描ききった小説。恩田陸と言えば「夜のピクニック」も有名だけど、人物が極短期間で劇的に変化してく様を描くことに当に長けている作家だと思う。 少年少女の苦悩を重くなりすぎずに描き、才能が花開いてく劇的な奇跡。青春の甘酸っぱさ。様々な要素が整理されずにそこにある。そういう当たり前の人生の一瞬が見事に切り取られていた。 テーマがピアノコンクールということで、クラシックを中心とした”音楽”が各章に添えられているため、音楽に対する知識や教養があるとより楽しめる作品だと思う。 私もある程度は知っている曲があったものの、聞いたことが無い音楽も多く、そういう場合は演奏シーンの描写も頭の中で音楽が鳴らない。必然的に周りのリアクション頼りに鑑賞しているような状態になり、描写が少し冗長に感じてしまった。 一方、知っている曲の場合は頭の中で音楽を鳴らしながら読むことができ

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    思いっきり刺激を受けた。普段この手のを読まないので比較対象はないけど、これからの人生に影響を与えてくるになったと思う。 ざっと一読しただけの状態なので、次は実践を交えながらもう一度精読してみようと思う。 今年やりたいことの大目標の一つである「健康的ダイエット」でPDCAを回してみるか。

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  • ultimate-ezさんの感想・レビュー

    "いつか辿り着きたいと思っていたミステリーの頂に、一度だけ足を踏み入れてみた"といった読書体験だった。この物語との対峙はこれで終わりではなく、「10年後にまた会おう!」と言いたくなるような物語だった。 ミステリー小説の世界最高傑作とも言われる「薔薇の名前」。超難関な物語を覚悟して読んでみたところ、意外なほどにすんなりと読める。プロローグこそ難解な文章が続くが、編が始まってみると文章は非常に読みやすい。 物語の構成も突飛なところはなく、ホームズとワトソンを思わせる二人組が、ある閉鎖環境で起きた殺人事件の謎を解いていく。迷宮のような館を舞台に隠された暗号を解読しながら、黙示録に見立てられた連続殺人を解決。まさに基で王道なミステリーのプロットだ。 しかし、そこに圧倒的物量の情報の洪水が押し寄せている。キリスト教の様々な宗派、様々な立場の登場人物が「異端とは?正統とは?」という問いに対し、持論

    ultimate-ezさんの感想・レビュー
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    池井戸潤作品的なスカッとオチを期待したらやや肩透かし。とは言え後味悪いというほどでもないし、闇を描いたどろどろ感もないし、なんとなくふわっと読み終えてしまった。 関西弁の台詞回しってコミカルにもなるし怖くもなりうるんだけど、作はややコミカル寄り。内容が内容だけに、もっと重く、怖く、シリアスに描いても良かったんじゃないかな―と思った。 作自体はかなりマイルドなので、もっと深淵を見たい気もするので、小説の元ネタでもあるいくつかの事件のルポを読んでみようと思う。そういう意味では、新たな読書のネタが広がるではあった。

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