千葉県松戸市の未明の住宅街で、突然13発の銃声が響いた。暴力団の抗争ではない。3人の警察官が銃口を向けたのは、住民らに相次いでかみついた紀州犬。なぜ13発も撃ったのか? 「女性が犬にかまれた」。110番通報は9月14日午前2時。松戸署員3人が現場へ行くと、左腕をかまれた飼い主(71)が犬と相対していた。体長122センチ、体重21キロの大柄な犬が牙をむいて、警部補(55)に向かってきた。 「犬から離れて下さい。射殺します」。4時間半前にも、近くで「犬にかまれた」との通報があり、すでにけが人は3人。もう被害者を増やせないと、警部補はその場で飼い主から射殺の許可を得ると、続けざまに5発撃った。犬との距離は3~4メートル。だが、犬は倒れず、後ずさりした警部補が路上で転倒。後ろにいた巡査部長(47)と巡査(27)が交互に計8発撃った。犬がやっと倒れたのは約2メートルの距離から巡査部長が撃った最後の1