歴史的事実の検証に必要な古文書。だが、その中に嘘が含まれているものもある。そんな偽文書の一つが、江戸時代後期に国学者の椿井政隆によって作られた「椿井文書(つばいもんじょ)」だ。京都や滋賀を拠点に偽の歴史を大量につくったとされる。それを検証する本が昨年出版されると、各地で困惑する人が出始めた。椿井文書には何が記され、どんな影響を与えているのか。取材した。(取材、撮影:ノンフィクションライター・伊田欣司/Yahoo!ニュース 特集編集部)
2020年3月、江戸時代後期の椿井政隆という人物が作った偽の家系図や絵図など「椿井文書」と呼ばれる一連の偽文書(ぎもんじょ)についてまとめた『椿井文書――日本最大級の偽文書』(中公新書)が出版され、話題を集めました。椿井文書の実体と、それを根拠に町おこしが行われている実態を明るみにした同書は「新書大賞2021」3位にも選出。歴史の嘘が真実へと置き換わっていくことについて、著者の大阪大谷大学・馬部隆弘准教授に話を聞きました。 「椿井文書」は山城国相楽郡椿井村(現在の京都府木津川市)出身の椿井政隆(1770~1837年)が、中世の地図や絵図、家系図と称して偽作した文書の総称。現在の滋賀県北部から京都南部、大阪まで数百点が広く流布した。代表的なものとして、興福寺(奈良県)の末寺をリストにまとめた「興福寺官務牒疏(こうふくじかんむちょうそ)」がある。 <名前を見ただけでむず痒くなりますね> ――「
2027年開業を目指すリニア中央新幹線の静岡工区が未着工になっている問題で、トンネルを掘削せず、隣接する山梨・長野両県に設置したジャンプ台から新幹線を超高速で射出して静岡上空を飛び越える「静岡滑空ルート」を採用すべきだとする専門家の提案に注目が集まっている。 リニア中央新幹線の静岡工区(8.9キロ)は、トンネル掘削によって県内を縦断する大井川の水量が減少するおそれがあるとして、未着工の状態が続いている。当事者間の交渉は難航しており、このまま平行線の状態が続けば、予定している2027年の開業は極めて厳しい状況だ。 そんな中、「事態を打開するアイデアはとてもシンプル。トンネルを掘らなければいいだけ」と主張する人物がいる。航空力学専門家の落田燃(もゆる)さんだ。落田さんは、静岡工区をジャンプ台で飛び越える「静岡滑空ルート」の建設を提案する。 「静岡工区を挟む山梨県と長野県の両端に、スキージャンプ
財政破綻寸前の大阪府泉佐野市が、歳入確保のため自治体名の命名権(ネーミングライツ)売却に乗り出すという21日の一部報道を受け、さっそく多くの企業から市名購入の打診が相次いでいることがわかった。 泉佐野市では、国内外の企業を対象に年内いっぱい買い手を募集。契約期間は最大5年で、広告料は企業から提案してもらう。また市名以外にも、市の愛称、市庁舎や図書館など公共施設、市道にも命名権を設けるほか、企業名を入れた制服を市職員に着用させるなど、なりふり構わず命名権を積極的に販売していく方針だ。 21日の報道後、市にはさまざまな企業から問い合わせが殺到。市側はまだ明らかにしていないが、市関係者によると、すでに「ルンバ市」「皇潤市」「TENGA市」など、各企業から新市名の提案がなされているという。 また、あるテレビ局からは番組のPR企画として、市営火葬場に「追いオリーブオイルでおなじみのMOCO’Sキッチ
東京都世田谷区の住宅街で9日午後2時すぎ、野生のネコが道路を歩いているのを住民が目撃し、西世田谷署に通報した。近くの小学校では、集団下校に切り替えるなどして対応した。同署では住民に警戒を呼びかけている。 目撃した男性によると、ネコの体長は40センチほどで、茶トラのオスとみられる。住宅街の路地から突然姿を現すと、ゆっくりと道路を横断し、そのまま駐車中の乗用車の下へと潜り込んでいった。 通報を受けた同署員が付近を捜索したところ、目撃されたネコは見つからなかったが、三毛やハチワレなど茶トラとは異なる他のネコ7匹を発見。住民の安全確保のため、発見現場から半径500メートル内を立ち入り禁止区域とした。また、隣接する区立豪徳小学校では、この日の課外活動を見合わせ、集団下校に切り替えるなどして対応にあたった。当面の間、集団での登下校を続ける予定だという。 野生のネコの中には、人間に対する警戒心が弱い個体
2020年の東京五輪・パラリンピックのメイン会場となる新国立競技場横で建設が進められていた巨大風鈴の設置作業が13日に完了し、試験運用が始まった。来年夏に迫った大会を前に、早くも道行く人々に涼を振りまいている。 巨大風鈴は高さ100メートルの強化ガラス製。昨年の酷暑をきっかけに起きた暑さ対策への懸念を払しょくするため、昨秋急きょ建設が決定した。設置工事は今年4月、新国立競技場横で開始。4カ月という短期間で完成させ、今夏の試験運用に間に合わせた。工事担当者によると「半径5キロ圏内に涼しげな音を響かせる能力がある」という。 風鈴の建設費用は200億円。新国立競技場整備計画について検討した2015年に安倍晋三首相がカットを指示した冷暖房設備案なら100億円の追加投資で済んだが、今年12月の完成を優先させた結果、より高額な風鈴案を採用することになった。「当初1500億円を予定していた国の負担は8千
20年に開催される東京五輪・パラリンピックの期間中、猛暑対策として全国から祈祷師3千人を招集し、都内各所に派遣する計画があることが19日までにわかった。かつて、国じゅうの祈祷師を総動員して敵国調伏の祈りをささげた例にならい、大会期間中の猛暑撃退をねらう。 大会関係者が明らかにした。大会本番を来年に控え、今年は都内各所でテスト大会が行われているが、多くの競技で水質や体調など暑さに起因する問題についての指摘が相次いでいる。 大会委員会では、傘と一体化した前衛的な帽子を製作したり、会場でかち割り氷を配布したりするなど、隙のない万全の暑さ対策を講じているが、追加策として全国から祈祷師を3千人程度招集し、気温を抑え込むための祈祷を都内各地で行うことを決めた。大会関係者は「念には念を入れる。言葉通りだ」と説明する。 計画では、競技会場周辺を中心に都内2千カ所に護摩壇を設置。期間中は24時間不眠不休で護
私たちが暮らす21世紀は、当初予定されていた未来から「Bルート」に逸れた偽の21世紀だ――。米国の未来学者が9月に発売した著作「FAKE FUTURE(偽の未来)」が話題を集めている。 未来学の重鎮として知られる米国人ハーマン・トースター氏(83)の著作。発売後1カ月で80万部を突破した。トースター氏は同書の中で「この世界は、本来たどるはずだった本当の21世紀=Aルートから外れ、偽の21世紀=Bルートに迷い込んだ」と主張する。 「FAKE FUTURE」によると、本当の21世紀「Aルート」では、透明なチューブ状の道路が流線型を基調とした超高層ビルに絡まるように伸び、空飛ぶ自動車が行き交っているという。また、世界政府による理性的な統治によって、戦争やテロは過去のものになっており、体に張り付くようにフィットした服を着た市民によって平和な都市生活が営まれている。 このような未来像は、古くから未来
京都市民でつくる市民団体「町衆連合京都」は29日、非京都市民の流入を防ぐため、市全体を取り囲む壁の建設構想を発表した。今後署名活動などを通じて、市に建設を訴えたいとしている。 構想によると、壁の高さは20メートルで、全長は約30キロ。北大路通、西大路通、九条通、東大路通に沿って、かつて平安京があった「洛中」と呼ばれる地域を取り囲む壁の建設を予定している。このため、同じ京都市でも山科区や伏見区、南区の一部など「洛外」は壁の外に置かれることになる。 建設の目的は、「よそさん」と呼ばれる非京都市民が市内に流入するのを制限するためだ。近年、同市では全国からの修学旅行客に加えて、アジアを中心とする海外からの観光客が急増している。このため、市内各地でホテルや民泊の建設ラッシュが続いているが、2020年の東京五輪・パラリンピックに向けて観光客は増加するさらに見込みで、収容能力は依然不足しているという。
秋の風物詩、たい焼き漁が3日、高知県で解禁され、一本釣り漁の基地として知られる月宮漁港では水揚げが始まった。需要が増える冬に向けて本格的なシーズンに入るが、ここ数年身の付き方の良くないたい焼きが増えているという。「今年もあまり期待できそうにない」と漁師もため息をつく。 高知県のたい焼き漁は、清流・四万十川での稚魚放流から始まる。地元の子どもを集めて毎年開かれる放流会では、サケやアユの稚魚のように遡上を願って「大きくなって帰っておいで」と声をかけるのではなく、「二度と帰ってくるな」「顔も見たくない」などけんか腰に罵倒して追い出すのが特徴だ。けんかして海に逃げ込ませて川に戻る気を失わせることで、稚たい焼きは海にとどまり、大きく育つのだという。 遡上意欲を削いだ後、エビを食べて育ったたい焼きを釣り上げるのが、高知県の伝統的な漁獲方法として知られる「たい焼きの一本釣り」だ。水揚げされたたい焼きは仲
政府は11日、日本国内に住む未来人を確保して活用することを新たな成長戦略の柱に加えると発表した。未来人から最先端技術を取得することで、他国との技術競争を優位に進める狙いがある。 未来人は、1990年代後半までSF作品のみに登場する架空の存在と考えられてきたが、インターネットが普及し始めた2000年代初頭から「未来人」を名乗る人物が世界中で急増している。国内のネット上の書き込みに限っても、4千人程度の滞在が確認できるという。 未来人は未来に影響を及ぼさないよう、身元の詳細を明らかにせず、ネット掲示板やSNS上にのみ出没する特徴がある。また、市民生活など身近な話題についてはひた隠しにする一方、「日本という国は他国に分割統治されて存在しない」「大地震が起きる」「第3次世界大戦が勃発する」など歴史改変につながりかねない重要な情報ばかり小出しにして注目を集めたがる点でも共通している。 このため、政府
財務省や文部科学省など、中央省庁の官僚による不祥事が相次いだことを受け、政府が現在の1府12省庁を4省に再々編する検討に入っていることが、関係者への取材でわかった。省庁を減らして官邸の目を光らせることで、綱紀粛正を徹底させる狙いがあるとみられる。 橋本龍太郎首相(当時)が行政改革の一環として掲げた、1府12省庁からなる省庁再編は、01年の移行から17年が過ぎ、さまざまな問題点が浮き彫りになりつつある。財務官僚による森友・加計学園問題に関する公文書改ざん、高度プロフェッショナル制度に関する厚労省の不適切データ問題、文科省幹部の相次ぐ汚職逮捕など、官僚による一連の不祥事は、再編によって一旦はスリム化した行政が、税の食べ過ぎでリバウンド(再肥大化)してきた兆候だと指摘する専門家もいる。 政府案では、現在の省庁を4省に統合して再スリム化を図る内容が主な柱となっている。外交を担う防衛省、外務省を「平
大手メディアに写真を掲載する「戦場フォトグラファー」のエドゥアルド・マルティンス。実は名前から職業まで全て捏造だったのである。この事件は、世界中のプロのフォトグラフィー業界が現在抱えている問題を浮き彫りにしたといえる。 最近、あるブラジル人の許し難い所業が世界的に話題になっている。その人物の名は、エドゥアルド・マルティンス。32歳のモデルばりのイケメンのブラジル人で、不幸なことに、若くして患った白血病で闘病生活を送ったこともある。生きがいは、サーフィンで、自身のインスタグラムのアカウントにも、鍛え上げられたマッチョな体で海に出る写真をアップしている。 そして職業は、大手メディアに写真を掲載する「戦場フォトグラファー」。紛争地の現場に足を運び、戦争の現実、巻き込まれた無実の市民たちの姿を切り取り、命の危険と隣り合わせの生活を送りながら、仕事を済ませるとカメラをサーフボードに持ち替えて、海に出
「近畿の水がめ」として知られる滋賀県・琵琶湖の外来魚を駆除するため、1日から始まった環境事業「琵琶湖の水ぜんぶ抜く」プロジェクトで、22日、全体の98%まで抜き取り作業が完了した。 ブルーギルやブラックバスなど外来魚による生態系の破壊に頭を悩ませてきた滋賀県では、外来魚のキャッチ・アンド・リリースを条例で禁止するなど、長年対策に取り組んできた。しかし実際には外来魚の撲滅から程遠く、県は14年、いったん琵琶湖の水を全部抜き、外来魚を駆除した後、再び水を入れ直す環境事業「琵琶湖の水ぜんぶ抜く」の検討に入り、環境省と協議してきた。 総事業費は県収入100年分に相当する約60兆円に上るとの試算が出たほか、実施中は県内のほぼ全域で断水になったり、豪華客船「ミシガン」「ビアンカ」「うみのこ」が休航したりするなど、県経済への影響は計り知れないが、「外来魚と共存するくらいなら死んだほうがまし」という県民の
太陽フレアによる通信障害でツイッターが使えなくなった場合でも、紙に書き込んでツイートできる「ペーパーツイッター」の街頭配布が8日早朝から東京都内で始まり、ペーパーを求める利用者らが長蛇の列を作った。これまで多くの利用者が味わってきた「ツイッター障害の愚痴をツイッターで発信できない歯がゆさ」の回避に一役買いそうだ。 6日午後9時ごろに観測された太陽フレアで放出されたガスによって、8日午後3時から9日午前0時にかけてGPSや通信機器に障害が起きる恐れがある。このため混乱が発生する前に、あらかじめ都内8カ所でペーパーツイッターを配布することが決まった。 ペーパーツイッターは、200枚つづりのブロックメモ。災害などで通信障害が起きた場合でも、ペーパーの空欄に自分のアカウント、本文、日時などを記入することでツイートした時と同じ満足感を得ることができる。またリツイート数やいいね数も好きな数字が書き込め
「共謀罪」の趣旨を新たに設けた改正組織的犯罪処罰法の成立に伴い、犯罪集団に該当しない一般人であることを認定する資格試験「一般人検定(IPJ)」の実施を法務省が検討していることがわかった。早ければ来年4月から行い、検定に合格した一般人資格保有者は公安調査庁の観察対象に加えない予定をしている。 15日に成立した改正組織的犯罪処罰法は、テロ等組織犯罪を実行する前の段階で関係者全員を処罰できることから、取り締まり対象が組織の構成員でない一般人まで及ぶのではないかとの懸念が示されている。 このような懸念を払拭するため、法務省では反社会的でない一般人であることを認定する資格試験「一般人検定」の実施を検討している。 新たに立ち上げる一般人検定協会(仮称)が作成する検定試験は、首相の名前や憲法改正についての意見を問うなど記述問題を中心とした1次試験(筆記)と、公安調査庁調査官との2次試験(面接)からなる。
明治がスナック菓子「カール」の販売を中部地方以東で中止すると発表したことを受け、三重県は27日、カールを公正に売買する「カール特区」の設置を内閣府の「国家戦略特区」に申請することを決めた。中部地方と近畿地方の両地域に帰属している地の利を生かし、県経済の活性化を図る。 明治は25日、カールを9月以降、滋賀県、京都府、奈良県、和歌山県以西のみで販売すると発表。三重県も中部地方の一部として販売中止地域に指定された。 事態を受け県では26日、関係部局による緊急検討会議を招集。県財務局は、隣県から法外な価格で持ち込まれる「闇カール」の流通やカールが買える他府県への人口流出など、最大で1兆8千億円もの損失が県経済に発生すると試算した。 また同時に対応策として、県が近畿地方のスーパーから大量に仕入れたカールに手数料を上乗せして、愛知県以東のスーパーに販売する中継貿易を提案。仕入れたカールを県の管理下で適
東京都世田谷区内の自宅で父親(53)に暴行を加えたとして、警視庁は3日、同居する26歳の息子を傷害の現行犯で逮捕した。「頼んだゲーム機を買ってこなかったからやった」と容疑を認めているという。父親は頭部を打撲する全治2週間のけがを負った。 西世田谷署によると、息子は3日発売の新型ゲーム機「ニンテンドースイッチ」の購入を父親に依頼したが、頼んだゲーム機と違うものを買ってきたことから激高。午前10時30分ごろ、台所にあったスキレット(パン渡り15センチ)で、父親の額を毎秒16連打で小刻みに何度も叩きつけたとしている。 父親の悲鳴を聞きつけた警戒中の署員より早く宅内に駆け付けた女性が「夫が台所で倒れている」と119番通報。少し遅れて到着した署員が息子を傷害の現行犯で逮捕した。近くの病院に搬送された父親は、HD脳振盪(しんとう)を起こして一時意識を失ったが、現在意識は回復しているという。 調べに対し
全国有数の米どころとして知られる新潟県の男性が、洗米専用合成洗剤の開発に成功した。開発にかかった期間は11年。豊かな泡立ちで米表面の頑固な汚れをしっかり落とせるという。 洗米専用洗剤「ウタカタ石けん」は、新開発の洗浄成分が米表面の小さなごみやぬかを浮かせる働きをする。これまでは研ぎ汁が透明になるまで何度も水を変えなければならなかったが、ウタカタ石けんを使えばたった1回のすすぎで完全な汚れ落としが可能だ。 開発したのは新潟県蔵王堂町に住む森須優斗さん(28)。11年の歳月をかけて個人で開発した。開発のきっかけは高校生の頃、アルバイト先の居酒屋で「米を洗う」と口に出したところ、店長から「『洗う』ではなく『研ぐ』。これだからゆとり世代は」とからかわれたことだった。 納得のいかない森須さんは過去の文献に「昔の日本人はひえやあわを食べていた」という記述を見つけた。洗剤を使って食べていた証拠だ。 米を
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