JR姫路駅(兵庫県姫路市)から南西に向かうと、巨大なコンクリート製の橋脚や橋げたが、建物や道路の間を縫うように点在しているのが目に入る。昭和41年に開かれた姫路大博覧会のアクセスとして開業し、9年間走っただけで廃止された旧市営モノレールの高架軌道跡だ。市は廃線後から撤去作業を始めたが、費用がかさむ上、周辺に建物が立て込んで重機が出入りできる土地の確保も難しくなり、いまだ完全撤去のめどは立っていない。世界遺産の姫路城の改修が大詰めを迎えた同市だが、一方では高度成長期の「負の遺産」の処理という難しい課題に直面している。(上阪正人) 国内2番目のモノレール モノレールの軌道跡は高さ約10メートル、長さ数十メートルの巨大なコンクリートの遺構として市の中心部から南西方向に点在。橋げたの下に後から建物が建ったところもあり、コンクリートには葉が絡むように生い茂るなど、時間の経過を感じさせる。 街中の“オ