人はかならず間違いを犯す。人の集合体である組織も社会もしばしば間違いを犯す。人間に無謬はありえない。 間違ったまま走りつづけると、間違いはどんどん拡大して修正不能になり、最後は断崖から破綻の底へまっさかさまに落ち込むようなことになる。新聞やテレビを連日賑わしているさまざまな"事件"の多くも、人生のどこかでできてしまった小さなヒビに本人も周囲も気づくことなく、あるいは気づいても修正することなく長い時間放置したため、それが大きな裂け目に成長してついに"事件"という破綻の形で立ち現れてきたのだろう。 組織や社会が間違えれば、その構成員である個人も破綻に巻き込まれてとんでもない目にあう。それが企業犯罪や倒産であれば、職や名誉を失い、戦争であれば最悪の場合は自分の命をなくしたり見ず知らずの人を殺したりさえもする。 人間の情緒も思考も行動も一種の慣性をもっていて、いったんある方向に向かって進みは