昨年十月の台風19号で川崎市市民ミュージアム(同市中原区)の地下収蔵庫が浸水した問題で、市は被災した収蔵品名に関する本紙の情報公開請求に対して「個人情報保護」を理由に「黒塗り」で応じ、明らかにしなかった。同館に作品を寄贈した作家からは「作品、作家名から関心を持ち支援してくれる人も増える。一刻も早い修復へ、作品名を明らかにするべきだ」との声が上がった。 (大平樹) 市は一月二十八日、収蔵品の搬出状況が、総数約二十二万九千点のうち三分の一にとどまっていることを発表。ふやけた映画フィルムなど修復困難な収蔵品もあることは公表したが、個別の作品名は寄贈者や作者の理解を得られていないとして明かさなかった。 本紙は市役所で同日に開かれた、同館の被害状況に関する庁内会議資料を市に公開請求。十二日、「被災収蔵品に係る修復等の判断基準について(案)」と題したA4判の資料などが公開されたが、ほぼ全面的にマスキン
国際芸術祭「あいちトリエンナーレ2019」に対する文化庁の補助金不交付決定を巡っては、文化庁の事業に携わる三人の委員が相次いで辞任し、抗議の意思を表明した。このうち、日本の現代アートの国際評価向上を目指す「文化庁アートプラットフォーム事業」を運営する「日本現代アート委員会」副座長だった林道郎・上智大教授(美術史)に、不交付の国際的な影響などを聞いた。 (聞き手・望月衣塑子) 文化庁は「手続き上の不備」が理由だというが、その説明は極めて曖昧で、誰がどのように不交付を判断したかを示す議事録さえない。不交付決定が報じられた九月二十六日、複数の文化庁職員に問い合わせたが、彼らも理由や決定を把握していなかった。政治的な意向が強く働いたと感じる。せめて第三者である有識者に議論させた上で決めるべきで、極めて異常だ。
国際芸術祭「あいちトリエンナーレ2019」に対する補助金不交付決定などに怒りと危機感を強め、表現の自由を守ろうと有志の美術家やデザイナーらが集結した作品展「不自由の不自由展~吉祥寺トリエンターレ2019」が十八日、東京都武蔵野市吉祥寺北町の「ギャラリーナベサン」で始まった。三十日まで。 呼び掛けたのは、東京都西東京市の美術家木村哲雄さん(45)。新宿・ゴールデン街の酒場「ナベサン」に通う客の一人で、店主で画家の渡辺ナオさんや常連、知人ら二十一人が絵画やオブジェなど計三十一点を出品した。「不自由の不自由展」には、日本に漂う「同調圧力」や「自主規制」の風潮を不自由ととらえ、そこから生まれた不自由を表現する意味を込めた。タイトルの「トリエンターレ」は萩生田光一文部科学相の言い間違えに由来するという。 日本とオーストリアの国交百五十年記念事業としてウィーンで開催され、日本政府側が公認を撤回した芸術
5日、ウィーンで、芸術展「ジャパン・アンリミテッド」で展示された、安倍首相に扮した人物の動画作品=共同 【ウィーン=共同】オーストリアの首都ウィーンの「ミュージアム・クオーター」で、同国外務省が協力し、日本との国交百五十年の記念事業として開かれた芸術展について、在オーストリア日本大使館は五日までに公認を取り消した。東京電力福島第一原発事故や安倍政権を批判的に扱った作品などが問題視されたとみられる。 この芸術展は、日本の美術家、会田誠氏らの作品を展示する「ジャパン・アンリミテッド」。政治的テーマへの抗議が高まり、公権力との関係が物議を醸した国際芸術祭「あいちトリエンナーレ2019」の企画展「表現の不自由展・その後」に参加していた美術集団「Chim↑Pom(チンポム)」も出展した。公式ロゴが使えなくなるだけで芸術展は続いているが、表現の自由を巡る不寛容が国外に波及した格好。 日本での政治社会批
国際芸術祭「あいちトリエンナーレ2019」で一時中止された企画展「表現の不自由展・その後」に出品された映像作品などを上映する催しが十一月三日午後一時から、文京区民センターで開かれる。参加費千円(二十代以下は五百円)。 憲法を考える映画の会など主催。昭和天皇の肖像をコラージュした版画を燃やす場面が物議を醸した、美術家大浦信行さんの映像作品「遠近を抱えてPart2」(二十分)が上映される。同作は企画展に出された。
愛知県で開かれた国際芸術祭「あいちトリエンナーレ2019」の企画展「表現の不自由展・その後」が一時中止された問題で、造形作品を出展した前橋市の美術家・美術評論家、白川昌生(よしお)さん(71)が本紙のインタビューに応じた。白川さんは同展再開後、会期末の十四日に現地を訪れ、出展者として不自由展への抗議の電話に対応したり、来館者に作品の趣旨を解説したりした。今回の問題と表現の自由に対する思いを聞いた。 (菅原洋) まず、作品を出展した作家が再開に対する抗議の電話を受ける試みに参加した。私が受けたのは男女三人。中年の女性は(文化庁が問題を受けて芸術祭への補助金を不交付にしたことに)「国家が不交付を決めたのに再開するとは、日本国民か。国に従わないのなら国家反逆罪に当たる」と持論を展開した。作家としてはいい経験になった。
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