東京近郊在住なら、誰でも一度はその店構えを目にしたことがある居酒屋「加賀屋」。もつの串焼き、煮込み、ホッピーを看板に、現在約50店舗にまで広がっている。 だが、よく見ると「加賀屋」に始まり「ニュー加賀屋」、「加賀廣」「加賀藤」など微妙に店名が違っている。加賀屋十数店舗を束ねる加賀屋共栄会の曽根敏会長は、その理由をこう話す。 「ウチはチェーンではありません。昔ながらの“のれん分け”です」 つまり、みんなどこかの加賀屋で修業を積んでから、加賀屋ブランドの自分の店を出しているのだ。それは、チェーン店に多いフランチャイズ展開とはまったく異なる。 「かつて一度だけフランチャイズ展開しようということで、2,3店舗やったんですが、僕ら修業を積んで独立した弟子たちが反対したんです。 煮込みの味を作るのは非常に難しいですからね。レシピはあっても、味の深みを舌に覚え込ませていくのは簡単じゃない。最低でも5年は