ジョン・ゲイの『乞食オペラ』では、薄い皮膜の下にあるものがこれ見よがしに剥き出しにされる瞬間がある。最後の乞食の口上だ。 この芝居全体をご覧になって、貴君もお気づきだと思うんだが、当節は上層と下層の人間の行状が互いにすこぶる似通っているんだよ。目下人々が耽っている種々の悪徳にしたって、お歴々が追い剥ぎの真似をしているのか、それとも追い剥ぎがお歴々の真似をしているのか、区別ができかねるほどさ。芝居の結末が当初私の意図したままだったら、素晴らしい教訓を観客に伝えられたと思うんだがね。つまり、下層の人間も金持ち連中と同様に悪徳に染まっていて、その結果立派に罰を受けているってことをね。(P140、141『乞食オペラ』) 『乞食オペラ』は下層の追い剥ぎたちを描いたバラッド・オペラだが、当時の観客には、それが実は上層の人間たち――ロバート・ウォルポールなど――を描いたものであり、真の狙いが下層の追い剥