―― ロシアの首都モスクワ近郊で生まれ育ったパヴェルさんは東京藝術大学音楽学部大学院修士課程で尺八を専攻しています。どのようにして尺八に出会い、そして日本にやってきたのでしょうか。 尺八に出会う前にも音楽には触れていました。母がプロのコーラスで歌っていたこともあり、3歳ごろから歌には親しんでいて、物心ついたころからステージに立つことが大好きだったのを覚えています。 尺八との出会いは、14歳くらいのときだったでしょうか、映画《バラカ~地球と人類の詩~(1993年)》を観たときです。オープニングに流れた何とも言えない笛の音色。その美しさに衝撃を受けました。何という楽器、どんな楽器からこの音が出てくるのか……調べたところ、それが尺八だったのです。 ―― 楽器が判明しても、それが遠い日本の楽器となったら習うのも容易でないと思いますが? モスクワ音楽院にはマルガリータ・カラティギナ教授の教室「ワール