兵庫県たつの市で1994年9月、放課後に首をつって自殺した小学6年の男児について「事故死」として処理し、直前の教師の暴行との因果関係を否定していた市教委が、今月になって「体罰による自殺」と認めて両親に謝罪、文部科学省に訂正を報告したことがわかった。市教委は、因果関係が認定された民事訴訟判決の確定後も見解を変えていなかったが、大津市のいじめ自殺問題などで教育現場の隠蔽体質に批判が強まる中、訂正せざるを得ないと判断したとみられる。両親は「やっと息子の死と向き合ってくれた」としている。 市教委が新たに「自殺」として同省に報告したのは、龍野(現・たつの)市立揖西(いっさい)西小の内海平君(当時11歳)。教室で運動会のポスターの作り方を質問した際、担任の男性教諭から「何回同じことを言わすねん」などと言われ頭や頬を殴打されたことにショックを受け、その日の夕方、自宅の裏山で首をつって死亡した。 警察は自
知的障害のある女性(59)の預貯金を成年後見人の親族が着服したのは、後見人を選任した奈良家裁葛城支部と後見監督人だった弁護士(奈良弁護士会)が注意を怠ったためとして、女性が国と弁護士に約4500万円の損害賠償を求めた訴訟の判決が14日、大阪地裁堺支部であった。大藪和男裁判長は「後見監督人として必要な調査を一切しなかった」と述べ、弁護士に約4100万円の支払いを命じた。国への請求は棄却した。 後見監督人は、後見人の活動が適切かどうかをチェックするため、家裁が必要に応じて選任する。後見人による着服が全国で相次ぐ中、監督人の賠償責任が認められるのは極めて異例。 判決によると、葛城支部は2005年3月、弁護士を後見監督人に選任。08年9月、当時後見人だった親族の男性らが女性の預貯金から計約7500万円を着服していたことが発覚した。判決で大藪裁判長は、弁護士は家裁が必要な調査をしていると誤認し、選任
授産施設に通う知的障害者の男(47)に歩道橋から投げ落とされ、重傷を負ったとして、当時3歳の男児(9)側が施設側に損害賠償を求めた大阪地裁の訴訟で、利用者による犯罪に施設が責任を負うのかが論争になっている。男は事件を繰り返していた「累犯障害者」で、男児側は「施設職員らが監督を怠った」と主張。施設側は「賠償責任が認められれば受け入れ先がなくなる」と争う。今春には刑務所などを出所した知的障害者らを支援する拠点が全都道府県に設置されており、全国の福祉関係者が審理の行方を見守っている。 男は、グループホームで生活しながら施設に通っていた2007年1月、大阪府八尾市の歩道橋で、施設のクッキー販売に参加中、通りがかりの男児を道路に投げ落とし、頭蓋骨骨折などの重傷を負わせたとして、殺人未遂罪で実刑判決を受け服役している。当時現場には施設の職員1人が付き添っていた。 男児側は、視力が大幅に低下し、身長が伸
逮捕した容疑者に知的障害がある場合、裁判所や捜査機関から連絡を受け、専門の「障害者刑事弁護人」を派遣する大阪弁護士会の新制度が順調な滑り出しだ。全国初の導入から8か月間で派遣は33件。従来、福祉関係者や家族が個別に障害に理解のある弁護士を探すしかなかったのが実情といい、弁護士会側は「予想を上回る派遣件数だ。実績を重ね、『当番弁護士制度』のように全国の弁護士会に広がっていけば」と、定着を期待している。 知的障害を持つ容疑者の捜査では〈1〉取調官に迎合して虚偽の自白をする恐れ〈2〉「黙秘権」など捜査に関する言葉の意味が理解できない可能性――などが指摘されている。2010年には大阪地検堺支部が、知的障害のある男性被告について「妄想を交えて話す傾向があった」として放火事件での起訴を取り消している。 同弁護士会は09年から、知的障害者の特徴を理解した専門弁護士養成のため、返答を誘導しないような会話の
奈良県立奈良病院(奈良市)に勤務する産科医の当直勤務は違法な時間外労働に当たるうえ、割増賃金も支払っていないとして、奈良労働基準監督署が、同病院を運営する県を労働基準法違反容疑で書類送検していたことがわかった。同病院は昨年4月、産科医2人が当直勤務に対して割増賃金の支給を求めた民事訴訟の奈良地裁判決で、計1540万円の支払いを命じられ、控訴審で係争中。公立病院の医師の勤務実態に関して、刑事責任を問われるのは異例という。 捜査関係者らによると、同病院では、産科医らが当直中に分娩(ぶんべん)や緊急手術など通常業務を行っているが、病院は労基法上は時間外労働に相当するのに割増賃金を支払っていなかったうえ、同法36条に基づき、労使間で時間外労働や休日労働などを取り決める「36協定」も結ばず、法定労働時間を超えて勤務させた疑い。 昨年4月の民事訴訟判決で、奈良地裁は「当直の約4分の1の時間は、分娩や緊
よく耳にするようになったものの診断・支援体制が整わず、親の戸惑いも多い「発達障害」。日本発達心理学会理事長で京都大教授の子安増生さん、日本臨床発達心理士会幹事長で筑波大教授の長崎勤さん、発達障害のある次男を育てる作家の堀田あけみさんの3人が、障害とうまくつきあうコツなどを語り合った。 子安 単に「発達障害」「広汎性発達障害」といった呼び方でとらえるのは非常に難しく、様々な特徴を個々人が持っている。共通性と個別性の理解が一番難しいんじゃないでしょうか。 堀田 次男の状態を説明するのに「障害」という言葉を使っています。私の腰にしがみついてニコニコ笑っている。「自閉症だから」と説明して「何でそんなニコニコ笑っている子が自閉症なの」と軽く言われると、かなりつらい。「障害がある」と言うと、受け入れてもらいやすいことが経験からわかったんです。 長崎 学術的には最近、発達障害の子どもたちを自閉症や学習障
全国各地で医師を志す若者にへき地での勤務をどう思うか尋ねたところ、「従事したい」と答えた医学生や研修医は約7割に上ることが、武田裕子・三重大教授(地域医療学)のグループによるアンケート調査で明らかになった。へき地では深刻な医師不足に陥っているが、武田教授は調査結果を踏まえ、「勤務を前向きに受け止めている若者は多く、どう現場に導くかが課題となる」としている。 調査は2008年から昨年にかけ、全国41大学の医学生(4、6年生)と342医療機関の初期研修医計1万1128人を対象に行い、計7199人から回答を得た。へき地での勤務について回答したのは6965人で、「積極的に」(12%)、「一定期間ですむなら」(57%)を合わせ、4810人が「従事したい」と回答。「なるべく避けたい」(20%)、「自分にはありえない」(7%)の回答を大きく上回った。 最終的に勤務地域を決める際の条件を19項目挙げ、何を
知的障害者が学ぶ日高養護学校(高知県日高村)の分校を高知ろう学校(高知市中万々)に併設する案を含んだ高知県教委の特別支援学校再編計画を受け、ろう学校の保護者や県聴覚障害者協会などが、高知市内で計画の見直しを求める署名活動を行った。 県内の知的障害を持つ子どもは増加傾向にあり、日高養護学校では10年前の約2倍に増え、対策が必要という。県教委の計画では「増加に対応するとともに、それぞれの障害教育の専門性を確保する」としているが、ろう学校の保護者らは「聴覚障害と知的障害には、それぞれ異なる教育環境が必要」と訴えている。 嘆願書は▽高知市内で小学―高校の一環教育を受けられる知的障害者の特別支援学校を新設▽難聴園児の早期教育、福祉や労働機関との連携を深めるなど、ろう学校の機能強化――を求め、3月上旬をめどに県議会に提出する予定。署名は3万人が目標で、この日は約50人が高知市内の商店街でビラを配るなど
脳機能を画像化する装置の発展で、脳に関する非科学的な俗説が広まっていることから、日本神経科学学会(津本忠治会長)は8日、新たに研究者が守るべき注意点を盛り込んだ研究倫理指針を発表した。 指針は2001年に策定、昨年12月、大幅に改定した。近赤外光脳計測装置(NIRS)など、人体を傷つけない装置の開発で、工学、文学など異分野の研究者が脳科学に参入した。しかし、ゲームに熱中すると、脳の前頭前野の働きが低下する「ゲーム脳」になるといった研究などが、科学的検証を受けずに流布。発表時には科学的根拠を明確にするよう求めた。また、実験で被験者へのインフォームド・コンセント(説明と同意)が十分ではない研究者が目立つとして、人権への配慮を徹底すべきだと指摘した。指針は、学会のホームページ(http://www.jnss.org/)で公表している。
広島少年院(広島県東広島市)の法務教官らによる暴行事件で、法務省は10日、元院長ら監督責任のあった5人と、暴行に加わったり、黙認したりしていた一般職員12人を減給、停職などの処分とした。事件に関する調査報告書も公表。その中で、当時の院長ら幹部は、収容少年の日記や職員の日誌などで暴行について知りながら、適切な対応をとらなかったと指摘した。 処分を受けたのは、事件があった2008〜09年に勤務していた中川崇元院長(61)(戒告)、梅崎照行元院長(61)(減給6か月、100分の20)ら当時の幹部5人と、一般職員12人(停職2か月〜厳重注意)。元院長2人は10日付で依願退職した。 一連の事件では、野畑勝也被告(32)ら4人が特別公務員暴行陵虐罪で起訴され、懲戒免職処分を受けたほか、元同少年院首席専門官の向井義被告(47)が同罪で起訴されている。 同省の調査報告書は、暴行を行った4教官について、「厳
2006年4月に施行された障害者自立支援法で、「障害者の福祉サービス利用料が原則1割の自己負担となったのは、憲法の保障する生存権の侵害」だとして、聴覚障害や知的障害などがある旭川市春光6の5、川村俊介さん(29)が旭川市と国に、自己負担の取り消しと福祉施設利用費など約26万円の支払いを求めた訴訟の第1回口頭弁論が7日、旭川地裁(湯川浩昭裁判長)であった。 被告側は「原告の訴訟能力に疑問がある」などとする答弁書を提出し、請求の却下を求めた。原告側は「障害者が生きるには福祉サービスが必要。施設利用料の支払いを求めるのは、障害者の人格を否定している」などと主張した。
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