生活に困窮していたわけでも、盗んだ物が欲しかったわけでもないのにやめられない――。精神疾患の一種のクレプトマニア(窃盗症)と食べ吐きなどを繰り返す摂食障害を併発した西日本に住む40代女性が毎日新聞の取材に応じた。4年半前に初めて警察に逮捕され、罰金刑を受けた。二度と繰り返すまいと誓ったが、2020年秋、再び万引きした。刑事処分を待つ今、ようやく自身の病気と向き合おうと模索し始めた女性の思いとは。 「刑務所だけには行きたくありません」。女性はこの数カ月間、窃盗症の治療ができる自助グループや医療機関のパンフレットを集めてきた。窃盗症とは、物を盗もうとする衝動に抵抗できずに万引きを繰り返す症状で、窃盗の緊張感や成功した際の解放感を得ようとするケースが多いとされる。女性は20年近く症状を自覚しながら、初めて自分を変えたいと思っている。