児童虐待が深刻さを増している。昨年(2016年)3月までの1年間の虐待相談対応件数は、全国でおよそ10万件。10年前のおよそ3倍だ。こうした中、子どもたちをさらに苦しめる新たな実態が明らかになった。虐待を受け、病院で治療を受けた子どもは、入院の必要がなくなれば親元に戻るか、施設や里親などで養育を受ける。しかし、元気になっても行き先がなく、そのまま入院を強いられる子どもたちがいるのだ。この“不必要な入院”を「クロ現+」では「虐待入院」と呼ぶことにし、その背景を取材した。 “虐待入院” 全国356人の衝撃 埼玉県立小児医療センター。ここには、親からの虐待を受けた子どもが数多く運ばれてくる。暴行で肋骨が折れたり、育児放棄で皮膚が変色してしまったりと、大半が痛々しい姿だ。ある赤ちゃんは呼吸が弱った状態で救急搬送された。幸い治療を終え、退院できるまでに回復したが、2週間近くたっても退院できずにいる。