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ブックマーク / www.newsweekjapan.jp/joyce (9)

  • テロと対立は昔の話? 北アイルランドの薄れゆく分断

    <イギリスの北アイルランドに史上初めて、アイルランド共和国との統合を望む「ナショナリスト」政権が誕生。人口でもカトリックがプロテスタントを逆転し、北アイルランドはこのままイギリス離脱・統合の道へと進むのか> イギリスの北アイルランドが特定の目的を持って設計されたことは、外ではほとんど知られていない。ちょうど100年と少し前にアイルランド南部がイギリスからの独立を果たしたとき、イギリスは合法的に主張し得る領土を最大限確保しようとはしなかった。もしそうしていたなら、イギリス残留を望む住民が50%を少しでも超える地域を最大限手に入れようとしただろう。 歴史的な論理に基づいて境界線を引こうとしたわけでもない。もしそうだったら、北アイルランドは古代アルスター県を構成した9つの郡で成立していたことだろう。 そうする代わりにイギリスは、プロテスタントが人口の約3分の2という大多数を占めていた6郡の統治権

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  • 欧州の観光地も限界点......世界はオーバーツーリズムをどう克服している?

    <地元経済を潤すものの、大混雑と価格高騰と地元住民への不利益をもたらす観光公害に、ヨーロッパの各都市も知恵を絞っている> オーバーツーリズム(観光公害)は「自分以外の誰か」が引き起こしているもの――大抵の人は大人気の観光地を旅行したことがあるのにもかかわらず、自分がその一因になっているとはなかなか考えないものだ。 幸運にも「古き良き時代」にこうした観光地を訪れ、大好きな場所が今やマスツーリズム(観光の大衆化)で台無しにされていると嘆く人もいるだろう。もちろんそう思うのは偽善的だが、これも人間の性だ。僕もご多分に漏れず、最近のヨーロッパ周遊旅行でもついつい同じ旅行者たちに腹を立ててしまった。旅行者たちはこぞって同じ列車を予約し、ホテルの宿泊料金を吊り上げ、サグラダファミリアの周りで大群を作る。 ヨーロッパのいくつかの都市、とりわけイタリアのベネチアやフィレンツェ、ベルギーのブルージュやクロ

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  • 腹立たしくともジョンソンはウクライナで「善戦」

    ウクライナの首都キーウ(キエフ)を訪問しゼレンスキー大統領(右)と会談したジョンソン英首相(4月9日) UKRAINIAN PRESIDENTIAL PRESS SERVICE-HANDOUT-REUTERS <新型コロナウイルスの規制を破ってのパーティーでイギリス国民から完全に嫌悪されたと思われたが、もっと嫌悪すべき相手(ロシア)の登場でむしろウクライナ対応の適切さが際立つジョンソン英首相> 現時点では、ジョンソン英首相の最大の味方は「相対評価」だ。イギリスの人々は、ロックダウンで国民に課された規制を彼が破ったことを今もまだ怒っているし、この件で彼は罰金も科された。だがロシアウクライナを侵攻する前でさえも、ロシアのプーチン大統領が黒海沿岸に1億ポンドの宮殿(資金源は1つしか説明がつかない)を建てても許されている一方で、ジョンソンがバースデーケーキにありついただけで窮地に立たされるという

    腹立たしくともジョンソンはウクライナで「善戦」
  • 95歳のエリザベス女王がコロナ感染しても働き続ける理由|ニューズウィーク日本版 オフィシャルサイト

    <新型コロナウイルスに感染しても「軽い公務」を行っていたという英エリザベス女王。そこまでして働き続ける在位70年の95歳女性と、現代イギリス人の王室観とは> 新型コロナウイルスに感染したため、95歳の女性が仕事を軽減している。なんとも混乱する言い回しだ。まず、なぜ彼女は回復するまで仕事を休まないのか。次に、そもそもなぜそんな高齢女性が働いているのか。 (編集部注:3月1日、バッキンガム宮殿は女王の通常公務復帰を発表) 彼女の世代の女性の退職年齢は60歳だったから、同世代より35年も長く仕事を続けていることになる。職業人生を丸々1回分また繰り返しているくらいの期間だ。そこまでする理由は、もちろん、「彼女がイギリス女王だから」。通常の退職ルールは当てはまらず、王室支持者でなくとも格別と認めるほどの高い義務感に縛られて職務を続けている。 大掛かりな祭典はなかったが、英女王エリザベス2世は2月6日

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  • カトリックかプロテスタントか......聞くに聞けない北アイルランドのタブー

    <北アイルランドの人にはタブーな質問から独特のなまり、南北が唯一結束するあの分野まで北アイルランドの基礎知識、その後編> 北アイルランドについて興味を持ってくれた読者のために、もう少し「逸話的な」話を少々加えておきたい。 前回、北アイルランドには民族的マイノリティーが少ないということを書いた。僕の子供時代、こんなジョークがあった――若い男たちの集団がある若者をつかまえて、おまえはカトリックかそれともプロテスタントかと聞いた(自分たちとは「違うほう」だったら叩きのめしてやるつもりだったのだ)。「実は、僕はユダヤ人なんです」と、彼は答えた。男たちの集団は混乱した。それから1人が口を開いた。「ええと、それでお前はカトリック系ユダヤ人か、それともプロテスタント系ユダヤ人か?」 見知らぬ人に囲まれて自分の属性を明らかにさせられることは、北アイルランドでは当に大変なことだった。でもそれは別にしても、

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  • 100年を迎えた英領北アイルランドの複雑すぎる歴史と現状

    アイルランドには長年テロや暴力が付きまとってきた(写真は今年4月の抗議デモで炎上するバス) Jason Caimduff-REUTERS <テロと暴力が続くが単純に線引きも解決もできない北アイルランド問題を読み解く入門、その前篇> 英領北アイルランドは、誕生から100年を迎えた。でも、北アイルランドには長年にわたりテロリズムや集団暴力が付きまとい、世界でも問題山積の場所であるだけに、100周年の「お祝いムード」とはとても言えないだろう。比較的平和な期間が長く続いた後、今年に入り新たな暴力が発生しているから、ハッピーな周年記念とは程遠い。 北アイルランドが世界の人々によく理解されているとは思わないから、僕はいくつかの考察を記しておこうと思う。深い分析と言うよりはちょっとした「入門編」のようなものだ。 ところで、北アイルランドの状況は、(北アイルランド以外の)イギリス国内でさえちゃんと理解され

    100年を迎えた英領北アイルランドの複雑すぎる歴史と現状
  • 階級社会イギリスに「コロナ格差」はなし

    <国家の危機に際して特権階級が率先して危険な任務を果たしてきた伝統が、イギリスでは今も残っている> オックスフォード大学のクライストチャーチ・カレッジの壁には、461人の名前が刻み込まれている。第1次大戦で命を落とした239人と、第2次大戦で亡くなった222人の同カレッジ出身者たちの名前だ。1年にほんの200人ほどの男子学生しか入学を許されないカレッジにとってこの数字は、一世代ちょっとの期間に驚くほどの犠牲者を出したことを意味する。 クライストチャーチはエリート中のエリート校で、オックスフォード大学のカレッジの中で最高峰であり、イギリスの最高特権階級や超富裕家庭の子息が通う場所。この壁に刻まれた戦争記念碑は、こうした最も「幸運に恵まれた」若者が、アンバランスなほど過度に、国のために戦って死んだことを思い起こさせる。 よくありがちな戦争のイメージは――第1次大戦の場合は特に――貴族階級の将校

    階級社会イギリスに「コロナ格差」はなし
  • ラグビー嫌いのイギリス人さえ目覚めさせた日本代表

    スポーツというのは不思議なものだ。子どもの頃、僕は不運なことにラグビーをやる学校に入ってしまった。僕はラグビーがとことん嫌いだった。僕の学校の校庭はひどい粘土質で、ほんのちょっとでも雨が降れば、すぐにどろどろの沼地のようになった。 そんな校庭で、ほとんど誰も好きじゃないラグビーのために、僕たちは泥の中でダイブさせられた。ラグビーとはまず間違いなく汚いもの、そして時には寒くて痛いものだった。 イングランドでは、ラグビーといえば上流階級の子供のいく私立学校でやるものと決まっている。だから、公立学校である僕たちの学校がラグビーをするのは、上流の学校のまねごとをしていますよと宣言しているようなものだ。そのせいでまわりの学校の子供たちからは嫌われ、嫌がらせをされることもあった(嫌がらせされないのはラグビー部の部員だけだった)。 その悲惨な学校に11歳で入学するまで、僕たちのほとんどはラグビーなんて一

    ラグビー嫌いのイギリス人さえ目覚めさせた日本代表
  • 「イギリス人は階級が9割」......じゃない!

    僕は気でニールのことを心配している。トニーのような情熱がほしい。チャールズにはがっかりさせられる。ニックの成功は感心するけれど、いちばん喜べるのはポールのことだ。ジョンは思っていた以上に好きになったけど、ブルースにはイライラする。もっとも、ブルースだって10年前に会っていたら誰より気に入ったかもしれない。なぜだかわからないけど、「女の子たち」にはあんまり感情移入しない。とりわけスージーには。 何のことか説明しなければ。僕はいま、10年以上気になりながらずっとできずにいたことを実行している真っ最中。『UP』というドキュメンタリーシリーズをぶっ続けで見ているのだ。僕的にはこれはおそらく、史上最高傑作のドキュメンタリー番組の1つ。14人のイギリス人の人生を、何十年もかけて追ったシリーズだ。 初放送は1964年。主演者全員が7歳だった。以来、7年ごとに『7UP』『14UP』というタイトルで彼らの

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