DavitRiceのブックマーク (1,848)

  • 2023年のおすすめ本(哲学&社会科学系がメイン) - 道徳的動物日記

    なんかこのタイミングで「2023年おすすめ」の記事を書いたら多くの人に読んでもらえそうな流れなので、書いておきます(それぞれのの詳細な感想や書評は各記事へのリンクをクリックしてください)。 ■今年のベスト 今年に発売されたなかでの個人的なベストはポール・ケリーの『リベラリズム:リベラルな平等主義を擁護して』です。 リベラリズム: リベラルな平等主義を擁護して 作者:ポール・ケリー 新評論 Amazon davitrice.hatenadiary.jp 大晦日まで新宿ブックファーストの「名著百選 2023」フェアコーナーにわたしのコメント付きで並べられているはずなので、関東に住んでいる方は年内に新宿まで急いで行って購入してください。 【ブックファースト新宿店様「名著百選2023」フェア】ポール・ケリー『リベラリズム』が選ばれました🎉推薦者は気鋭の批評家ベンジャミン・クリッツァー氏、

    2023年のおすすめ本(哲学&社会科学系がメイン) - 道徳的動物日記
    DavitRice
    DavitRice 2023/12/29
  • 真・公共的理性とはなんぞや(読書メモ:『政治的リベラリズム』①) - 道徳的動物日記

    政治的リベラリズム 増補版 (単行) 作者:ジョン・ロールズ 筑摩書房 Amazon 年明けからは分厚いを読めるタイミングもしばらくなさそうなので、以前にほしいものリストからいただいた『政治的リベラリズム』を手に取り*1、とりあえず第二部第六章の「公共的理性の理念」のみ読んだ。今回の記事は過去の二つの記事のつづき。 davitrice.hatenadiary.jp davitrice.hatenadiary.jp ……しかし、『正義論』や「アレクサンダーとマスグレイヴへの返答」(『平等主義基論文集』)を読んだときと同じく、相変わらずロールズの文章はまわりくどくて堅苦しい悪文で、事前に「ロールズってこういうことを言っているらしい」「ロールズの主張はこういうもの」という知識をほかのいろんなから得ているからナントカ読み進められるのだがそれがなかったらさっぱりわからない。おそらくロールズの

    真・公共的理性とはなんぞや(読書メモ:『政治的リベラリズム』①) - 道徳的動物日記
    DavitRice
    DavitRice 2023/12/22
  • 「恥辱」と法、ヌスバウムによるJ・S・ミル論(読書メモ:『感情と法』③) - 道徳的動物日記

    感情と法―現代アメリカ社会の政治的リベラリズム 作者:マーサ ヌスバウム 慶應義塾大学出版会 Amazon davitrice.hatenadiary.jp davitrice.hatenadiary.jp 前回からだいぶ間が空いたが、「恥辱感」をテーマにした4〜6章とジョン・スチュアート・ミルの自由論やジョン・ロールズの政治的リベラリズム論について再考する最終章もなんとか読み終えられたので、メモっておく*1。 ……とはいえ、「恥辱」に関するヌスバウムの議論にも「嫌悪感」についての彼女の議論にあったのと同様の問題を感じてしまったし、だんだんと飽きてきて読み進めるのが面倒になっちゃった。 これまでにも書いてきた、わたしがヌスバウムの「感情」論に対して感じる疑問は以下の通り。 生理的な「感じ(感覚経験)」に関して論じることは早々に切り捨てて、「思考」に関連するものとして「感情」を定義している。

    「恥辱」と法、ヌスバウムによるJ・S・ミル論(読書メモ:『感情と法』③) - 道徳的動物日記
    DavitRice
    DavitRice 2023/12/21
  • インターネット時代におけるマスメディアの必要性(読書メモ:『マスメディアとは何か 影響力の正体』) - 道徳的動物日記

    マスメディアとは何か 「影響力」の正体 (中公新書) 作者:稲増一憲 中央公論新社 Amazon マスメディアを研究する分野といってもさまざまにあるだろうが、書の内容は「マスメディアが人々にもたらす影響をデータを用いて科学的に検証する研究分野」である「メディア効果論」に立脚しており、「取材方法などに関する情報の送り手についての議論ではなく、視聴者などの受け手に対する影響」に関する議論がメインとなっている(p.v)。 そして書のもうひとつの特徴は、マスメディアを擁護したり肯定したりする議論がたびたび登場すること。市井の人々がマスメディアに対して抱いているさまざまなイメージ……「偏っている」「人々を洗脳している」「何も影響力がない」「オワコンだ」……が誤っていることを指摘して、マスメディアの影響力について冷静に分析しながら、その存在が民主主義社会には不可欠であることが主張されているのである

    インターネット時代におけるマスメディアの必要性(読書メモ:『マスメディアとは何か 影響力の正体』) - 道徳的動物日記
    DavitRice
    DavitRice 2023/12/05
  • 感情の普遍性と合理性(読書メモ:『一冊でわかる 感情』) - 道徳的動物日記

    感情 (〈1冊でわかる〉シリーズ) 作者:ディラン エヴァンズ 岩波書店 Amazon 『福祉国家』、『ポピュリズム』、『法哲学』、『マルクス』、『古代哲学』、『懐疑論』などに続いてVery Short Introduction シリーズの邦訳書を紹介するシリーズ。 当たり外れも大きいVery Short Introduction シリーズだが、書は役者解説が充実しているのも含めて、かなり「当たり」の部類。原著は2000年と古いが、(一部の議論を除けば)現代でも通じる内容であると思われる。 書の特徴のひとつは、進化心理学の観点に基づいて感情の「普遍性」が強調されていること*1。第一章の章名は「普遍言語」であり、ポール・エクマンによる基情動理論や表情の研究などを紹介しながら、「どんな感情があってどんな感情がないかは文化によって異なる」とする文化人類学的な「情動の文化理論」を否定する議論

    感情の普遍性と合理性(読書メモ:『一冊でわかる 感情』) - 道徳的動物日記
    DavitRice
    DavitRice 2023/12/01
  • 反共同体主義としてのリバタリアニズム(読書メモ:『自由はどこまで可能か』) - 道徳的動物日記

    自由はどこまで可能か=リバタリアニズム入門 (講談社現代新書) 作者:森村 進 講談社 Amazon タイトル通り、思想や哲学としてのリバタリアニズムの入門書。 書の初版は2001年ともう20年以上前であるし、わたしが書を最初に読んだのも学部生だったときだ。書の書評やレビューはネットの内外にて既に大量に書かれているだろうから、この記事では書の内容を要約するということはせず、先日に読み直したときにとくに印象に残った箇所……第4章「政府と社会と経済」で、共同体主義(コミュニタリアニズム)や共和主義などの「連帯感」を重視した発想に対して批判を行なっている箇所を主に紹介しておこう。 経済的不平等は社会内部の連帯感を損なう、と言われるかもしれない。だが、リバタリアンはそもそも相互に人間性を認め合うという、礼儀正しい尊重以上の濃い連帯感が社会全体の中に存在しなければならないとは考えない。濃い連

    反共同体主義としてのリバタリアニズム(読書メモ:『自由はどこまで可能か』) - 道徳的動物日記
    DavitRice
    DavitRice 2023/11/28
  • 最近読んだ本シリーズ:『体育がきらい』&『サイエンス超簡潔講義 動物行動学』&『サイエンス超簡潔講義 うつ病』 - 道徳的動物日記

    ●『体育がきらい』 体育がきらい (ちくまプリマー新書) 作者:坂拓弥 筑摩書房 Amazon 著者は大学で体育やスポーツを教えており、また「体育哲学」という研究を行なっているそうだ。書で哲学っぽいことが書かれるのは終盤になってからだが、身体を通じて個々人が世界を経験したり知覚や認識をしたりすることを重視したり、「体が変わる」ことで「世界が変わる」と論じたり、あと全体的に「〜のために運動すべきだ」とか「〜な身体になったほうがいい」とかいった基準や規範に否定的で個々人の多様性や独自性を重視している感じなど、どことなく現象学を思い出させるような議論がなされている。 全体的には、日独自の「体育」教育が発達した歴史的経緯や現在の教育現場における体育教育の状況が紹介されていたり、体育や運動とスポーツとの違いについて論じられたりしている。体育教育やスポーツ論に関する知識が得られるという点ではよい

    最近読んだ本シリーズ:『体育がきらい』&『サイエンス超簡潔講義 動物行動学』&『サイエンス超簡潔講義 うつ病』 - 道徳的動物日記
    DavitRice
    DavitRice 2023/11/28
  • 内在的公正世界信念と究極的公正世界信念(読書メモ:『「心のクセ」に気づくには 社会心理学から考える』) - 道徳的動物日記

    「心のクセ」に気づくには ――社会心理学から考える (ちくまプリマー新書) 作者:村山綾 筑摩書房 Amazon 「公正世界仮説」についてはいまや多くの人が知っていることだろう(小賢しいネット民好みの理論でもあるし)。しかし公正世界仮説(書では公正世界信念と書かれており、また公正世界誤謬と呼ばれることもあるらしい)には二種類あるということは、わたしは書を読むまで知らなかった。 まず1つ目は、「内在的公正世界信念」です。良い行いをすれば良い結果が、悪い行いをすれば悪い結果がもたらされる、と信じる傾向です。この考え方は小さな頃からの学習や経験を通して、多くの人に身についていきます。 (p.68) 2つ目は「究極的公正世界信念」です。今、何かしらの不公正に巻き込まれて被害を負っていても、将来必ず、何らかの形で埋め合わされるに違いないと信じる傾向を指します。この信念は、信仰や宗教とも関わりがあ

    内在的公正世界信念と究極的公正世界信念(読書メモ:『「心のクセ」に気づくには 社会心理学から考える』) - 道徳的動物日記
    DavitRice
    DavitRice 2023/11/28
  • 「怒り」はよくて「嫌悪感」はダメなのか?(読書メモ:『感情と法』②) - 道徳的動物日記

    感情と法―現代アメリカ社会の政治的リベラリズム 作者:マーサ ヌスバウム 慶應義塾大学出版会 Amazon 前回の記事でも触れたように、『感情と法」の第2章と第3章では、おおむね「嫌悪感は不適切で理に適っていない感情だから法律に組み込んではいけないが、怒りは適切で理に適った(ものになり得る)感情であるから法律に組み込むべきである」という議論が展開される。 この議論はかなり興味深いものではあるが、わたしとしては、ヌスバウムは「怒り」という感情を過剰に高く評価したり理想化したりしているように思えたし、逆に「嫌悪感」という感情を低く評価し過ぎて貶めているように思えた。 わたしがまず疑わしく思ったのは、嫌悪感(disgust)について、「汚染源を拒否したいという感覚」であるとしているだけでなく「自分の死や有限性を思い起こさせるもの」とか「アニマル・リマインダー(自分が動物であることを思い起こさせる

    「怒り」はよくて「嫌悪感」はダメなのか?(読書メモ:『感情と法』②) - 道徳的動物日記
    DavitRice
    DavitRice 2023/11/26
  • 法律に「感情」が必要である理由(読書メモ:『感情と法』①) - 道徳的動物日記

    感情と法―現代アメリカ社会の政治的リベラリズム 作者:マーサ ヌスバウム 慶應義塾大学出版会 Amazon 書の序章や第1章などでまず強調されるのは、「感情はともかく非合理的であり、法的なルールを作るうえで感情に配慮することは常に間違いだ」(p.6)とする世間に広く普及した考え方や、刑罰というものは「犯罪を抑止する効果という観点」からでのみ考えるべきでありそこに被害者や加害者の感情を考慮する余地はないとする(功利主義に代表されるような)見方などの「非感情主義」は誤っており、この社会に法が存在することに感情は大きく関わっている、という主張だ。 …反感情主義的な立場のさらに大きな問題点は、それが、実際には、己の目的を達成できないことにある。その立場は、一方で、犯罪者の心情を判断しないという点においては感情を排除するが、他方のより根的な点、すなわち、なぜ犯罪への罰則が存在するのかを説明する点

    法律に「感情」が必要である理由(読書メモ:『感情と法』①) - 道徳的動物日記
    DavitRice
    DavitRice 2023/11/22
  • 読書メモ:『フェミニズムズ:グローバル・ヒストリー』(+『はじめてのフェミニズム』補足) - 道徳的動物日記

    フェミニズムズ――グローバル・ヒストリー 作者:ルーシー・デラップ 明石書店 Amazon 書の目的や、書における「フェミニスト」や「フェミニズム」の定義は下記の通り。 書ではフェミニストおよび活動家の女性たちとナショナリズム、宗教教義、帝国主義、ユートピア主義、および人種に基づく思考との関係を明らかにしていくが、そのなかでフェミニズム的なひらめきがどんなものかを、異なるフェミニズムの世代や時代の間に予想外の結びつきや共鳴が立ち現れることを通じて示していきたい。ひらめきは紛争や緊張関係といった別の物語とも合わせて考えることが必要である。フェミニズムの名のもとの連合には長きにわたって限界が伴い、過去におけるフェミニズム的観点からの関心がジェンダーによる傷を可視化し、根絶するための今日の取り組みと簡単に合致するとは限らないのも事実だ。 フェミニズムは、人類の半分以上に及ぶ人々の連合を目指

    読書メモ:『フェミニズムズ:グローバル・ヒストリー』(+『はじめてのフェミニズム』補足) - 道徳的動物日記
    DavitRice
    DavitRice 2023/11/21
  • 読書メモ:『なぜ美を気にかけるのか :感性的生活からの哲学入門』&『近代美学入門』 - 道徳的動物日記

    なぜ美を気にかけるのか: 感性的生活からの哲学入門 作者:ドミニク・マカイヴァー・ロペス,ベンス・ナナイ,ニック・リグル 勁草書房 Amazon 『なぜ美を気にかけるのか』は美学の入門書でもあるが、そのなかでも「美的価値」や「美的感性」「美的生活」の問題を扱っており、「優れた芸術の定義とは何か」といったトピックではなくタイトル通り「なぜ美を気にかけるのか」という問題……なぜわたしたちは服や髪型のお洒落さ/ダサさや事の美味しさ/不味さを気にしたり、聴く音楽や視聴する動画について自分なりの選択を行おうとしたりしているか、といったトピックを扱っている。ここでいう「美」はかなり広い範囲の物事を指していること……「 "美"といえるのは素晴らしい芸術のみである」といったエリート主義を排して、どんな人でも日常的に様々なタイミングで様々な領域の「美」を気にかけている、というスタンスで各人が論じていること

    読書メモ:『なぜ美を気にかけるのか :感性的生活からの哲学入門』&『近代美学入門』 - 道徳的動物日記
    DavitRice
    DavitRice 2023/11/11
  • 読書メモ:『人生の意味とは何か』 - 道徳的動物日記

    人生の意味とは何か (フィギュール彩) 作者:テリー イーグルトン 彩流社 Amazon Very Short Introduction シリーズの邦訳書を紹介するシリーズ(カテゴリを新設しました)。 U -NEXTの余っていたポイントを使ってビル・ナイ主演の『生きる LIVING』を観たということ、そして「人生の意味」というテーマには昔から関心を抱いていたということもあって書を手に取ったが、結論としてはいままで読んできたVery Short Introduction シリーズのなかでも最悪クラス。訳者あとがきでは著者のテリー・イーグルトンの文章について「…体制への鋭い批判精神にあふれ、ウィットとアイロニーに富む卓抜なレトリックに裏打ちされている」(p.167)とヨイショされているが、実際には、論理的な説明によって議論を整理することなく思いつくがままに話を飛躍させながら「人生」とか「意味

    読書メモ:『人生の意味とは何か』 - 道徳的動物日記
    DavitRice
    DavitRice 2023/11/07
  • 最近読んだ本シリーズ:『悪口ってなんだろう』『「美味しい」とは何か』『ケアしケアされ、生きていく』 - 道徳的動物日記

    図書館で借り、出退勤の電車で流し読みした新書たち。どのもdisることにはなるけれど、ちゃんと読めてはいないです。 悪口ってなんだろう (ちくまプリマー新書) 作者:和泉悠 筑摩書房 Amazon 「「からかい」の政治学」や『笑いと嘲り』を読んだ流れで、関連してそうな書も読んだ。 書では「悪口は人のランクを下げるから悪い」という主張に基づいて議論が展開されるのだが、悪口の問題の一部や一側面を説明する理論として「ランキング説」を採用するならともかく、まるで悪口の問題がすべて「ランキング説」で説明できるかのような書き振りであるところが微妙だった。少なくともわたしとしては、悪口を言う側としても言われる側としても、ランキングの優劣よりももっと重要なポイントがあるように思える。たとえば悪口を言う人は「相手の痛いところをついてやろう」と思うものだし、悪口を言われる人は自分の弱みを攻撃されるか、逆

    最近読んだ本シリーズ:『悪口ってなんだろう』『「美味しい」とは何か』『ケアしケアされ、生きていく』 - 道徳的動物日記
    DavitRice
    DavitRice 2023/11/04
  • ユーモアのダークサイド(読書メモ:『笑いと嘲り』) - 道徳的動物日記

    笑いと嘲り―ユーモアのダークサイド 作者:マイケル ビリッグ 新曜社 Amazon 先日に江原由美子の「からかいの政治学」を読んだ流れで、前々から図書館で見かけてタイトルだけは知っていたこのも中古で購入して読了*1。 著者のマイケル・ビリッグは心理学者であると同時に左翼であり、書で展開されるのも「批判心理学」である。訳者あとがきによると批判心理学とは「現在の主流の心理学に対する批判的な諸勢力の総称」であり、量的研究や実験室研究より質的研究とフィールドワークを重視する派閥であるようだ。それだけでなく、書のなかでもハーバート・マルクーゼが何度も登場するように、フランクフルト学派の「批判理論」に影響された、(左翼的な)政治的問題意識をもって既存の心理学の「中立性」を擬似的なものだとして弾劾したり修正したりするといったことを目的にした学問であるように思える。 そして、著者が書でとくに問題視

    ユーモアのダークサイド(読書メモ:『笑いと嘲り』) - 道徳的動物日記
    DavitRice
    DavitRice 2023/11/03
  • 読書メモ:『哲学がわかる 懐疑論:パラドクスから生き方へ』 - 道徳的動物日記

    『福祉国家』、『ポピュリズム』、『法哲学』、『マルクス』、『古代哲学』などに続いてVery Short Introduction シリーズの邦訳書を紹介するシリーズ。 哲学がわかる 懐疑論──パラドクスから生き方へ 作者:ダンカン・プリチャード 岩波書店 Amazon 書の冒頭でまず論じられるのは、営業係のセールストークや星占いのような疑似科学を疑う、小規模で健全な懐疑(論)はわたしたちの人生や社会にとって有益かつ必要なものであるが、科学的にほぼ立証された事実や社会において共有されている常識なども含めてなにもかも疑うような大規模で過激な懐疑(論)はわたしたちに悪影響をもたらす、ということ。 つまり、大規模な懐疑論は真理に対する関心を失わせてしまい、「なにが真実であるかなんて判断できないから人それぞれの真実があるということなのだ」といった真理に関する相対主義を蔓延させてしまう。ここで著者が

    読書メモ:『哲学がわかる 懐疑論:パラドクスから生き方へ』 - 道徳的動物日記
    DavitRice
    DavitRice 2023/10/26
  • 読書メモ:『一冊でわかる 古代哲学』&『哲学がわかる 中世哲学』 - 道徳的動物日記

    古代哲学 (〈1冊でわかる〉シリーズ) 作者:ジュリア アナス 岩波書店 Amazon 『福祉国家』、『ポピュリズム』、『移民』、『法哲学』、『マルクス』などに続いてVery Short Introduction シリーズの邦訳書を紹介するシリーズ。 『一冊でわかる 古代哲学』の著者は『徳は知なり』も書いたジュリア・アナスなだけあって内容が充実しており、このシリーズのなかでもとくに良書といえるだろう。 書の良い点のひとつは、単に古代哲学を紹介するだけでなく、哲学そのもののおもしろさや「哲学研究」への入門にもなっているところ。たとえば第一章「人間と野獣 自分自身を理解する」では「理性と感情の綱引き」という哲学のなかでもオーソドックスかつ多くの人にとって身近で興味深いトピックについて古代哲学者たちがどんなことを言っていたかということが紹介されている。その次の、二章「なぜプラントンの『国家』を

    読書メモ:『一冊でわかる 古代哲学』&『哲学がわかる 中世哲学』 - 道徳的動物日記
    DavitRice
    DavitRice 2023/10/25
  • 「からかいの政治学」(読書メモ:『増補 女性解放という思想』) - 道徳的動物日記

    増補 女性解放という思想 (ちくま学芸文庫) 作者:江原 由美子 筑摩書房 Amazon 『増補 女性解放という思想』は昨年の12月にネット上の「からかい」に関する記事を書いた後にAmazonのほしいものリストから買ってもらったのだが、最近は「からかい」に関する文章を改めて書いて文学フリマに出品しようかなと考えているところであり、そのために書に収録されている「からかいの政治学」やその他の文章をいまさらながら読んだ。 とりあえず、「からかい」という行為の特質や悪質さをうまく表現していると思った文章はこちら。 なぜなら、「からかい」という表現には、単なる批判や攻撃、いやがらせにとどまらない固有の質があるからである。たとえばそのことは、「からかわれた」側の女性たちの反応、怒りが、単なる攻撃に対するのとは異なる質を持っていたことからも明らかである。それは、いわば内に屈するような、憤りの捌け口を

    「からかいの政治学」(読書メモ:『増補 女性解放という思想』) - 道徳的動物日記
    DavitRice
    DavitRice 2023/10/09
  • 読書メモ:『14歳から考えたい レイシズム』&『14歳から考えたい セクシュアリティ』&『14歳から考えたい 優生学』 - 道徳的動物日記

    『福祉国家』、『ポピュリズム』、『移民』、『法哲学』、『マルクス』などに続いてVery Short Introduction シリーズの邦訳書を紹介するシリーズ。 今回はすばる舎から出ている『14歳から考えたい』シリーズのうち3冊を一気に流し読みしたので、ごく短い感想だけ残しておく。なおいずれも「14歳」向けではないし、「14歳」向けにしようとする努力が裏目に出ているように思えるのだが、これに関しては『14歳から考えたい 貧困』の感想を書いたときに十分に愚痴ったので割愛。 テーマがテーマだということもあり、基的にどのもサヨクというか左派的な観点から書かれていて、他のVery Short Introduction シリーズに比べても中立性や客観性には欠ける。とはいえたとえば『レイシズム』というテーマを中立的に扱うことは可能ではあろうがそのような行為自体が他の左派からの批判を受けるリスキー

    読書メモ:『14歳から考えたい レイシズム』&『14歳から考えたい セクシュアリティ』&『14歳から考えたい 優生学』 - 道徳的動物日記
    DavitRice
    DavitRice 2023/10/06
  • 読書メモ:『市民的抵抗:非暴力が社会を変える』 - 道徳的動物日記

    市民的抵抗:非暴力が社会を変える 作者:エリカ・チェノウェス 白水社 Amazon 『福祉国家』、『ポピュリズム』、『移民』、『法哲学』、『マルクス』、『貧困』と、最近のこのブログではVery Short Introduction シリーズの邦訳書を紹介し続けているが、今回は同じくオックスフォードのWhat Everyone Needs to Knowシリーズからの邦訳である『市民的抵抗』を紹介。 「市民的抵抗」の定義とか書の目的とかは以下の通り。 市民的抵抗とは、政治的、社会的、経済的な現状を打破しようとする目的で、暴力を用いる、あるいはちらつかせる者に対して、暴力を用いずに、暴力をちらつかせたりせずにおこなう集団行動様式である。市民的抵抗は、手段と目的において、組織立っており、民衆によるものであり、明確に非暴力である。書は、市民的抵抗キャンペーンがかたちづくり、戦略を立て、組織化し

    読書メモ:『市民的抵抗:非暴力が社会を変える』 - 道徳的動物日記
    DavitRice
    DavitRice 2023/10/02
    イライラして書き殴ったところのある記事なので(読んでいておもしろくなかったりムカついたりした本を取り上げるときはだいたいそうなる)、あまりこの記事の内容は真に受けないようにしてください。