『天気の子』を観た。前作以上の大傑作だったので、取り急ぎべた褒めしておきたい。 新海先生の最大の才能は、老若男女問わずどんな観客も少女に恋する少年の視点に没入させてしまう点にある。ヒロインの天野陽菜はガワだけみるとパンチが弱くて、ぶっちゃけ広告とかだとあんまし映えない。でも映画本編だと魔法のように美しくて眩しくて、一瞬で心を奪われてしまうのだよ。それはこの映画においてこの少女は徹底して彼女に恋する主人公の帆高少年の視点を通して描かれているからだ。16歳の思春期真っ盛りの少年の恋のフィルターの威力たるや神憑り的で、彼女の一挙一動すべてがファンタジーのように思えるんだけど、それはあくまでも少年の主観で、本来だったらその視界は他人と共有できる類のものではない。でも、新海先生の魔法はそれを可能にしてしまうんだよ。 この魔法が今回存分に力を発揮できたのは、帆高少年が本当にいい奴で、いっぺんにこいつを