著名な料理研究家が、SNSで「味噌の殺菌効果」はO157のような凶悪な食中毒菌も死滅させ、これまで、味噌に関する食中毒の報告例は一件もないと述べて話題になっている。本当だろうか。 危険な病原性大腸菌の感染症 先日、大分県豊後高田市や長野県上田市で腸管出血性大腸菌O121の感染者が出た。O121はO104、O111、O157などと同じ腸管出血性大腸菌(Enterohemorrhagic Escherichia Coli、EHEC)の一種で、ベロ毒素(Verotoxin、志賀様毒素=Shiga-Like Toxin)を出す凶悪な大腸菌だ。これらの細菌に感染すると、血便を伴う下痢や嘔吐、腹痛、発熱といった症状を引き起こす腸管出血性大腸炎になる(※1)。 大腸炎ですめばまだいいが、数日から2週間ほど経過した後、数%から10%ほどの危険率で溶血性尿毒症症候群(Hemolytic-Uremic Syn